【情報局】アニメ音楽CD瓦版(23)
10月新番組の主題歌が続々と登場!

 今週もまずチャートの話から。10月20日付けのオリコン週間ランキングで『マクロスFrontier』のサントラ第2弾「娘☆トラ」が10.2万枚を売り上げ、初登場2位にランクインした。前作の初動売上を3万枚ほど上回る好調なペースである。これまで同作の関連CDはシングル4枚、サントラ2枚がリリースされたが、売上総枚数はすでに50万枚を超え、アニメ音楽においてはかなりのヒット作となった。こうしてCDを紹介させていただく立場としては嬉しい限りだ。

 さて、10月も下旬に入ったところでそろそろ秋期新番組の主題歌がリリースされ始めている。発売点数が多いため全てを紹介することはできないが、気になるCDをいくつか取り上げてみたいと思う。
 『とらドラ!』OP主題歌「プレパレード」のサンプル盤を入手することができたので、まずはこれからご紹介しよう。派手なテクノポップサウンド、覚えやすいメロディ、たたみかけるような早口の歌詞というキャッチーな内容で、個人的にもポータブルプレーヤーに入れて愛聴している。
 歌うは主演声優の3人で、作曲は『ネギま!?』『みなみけ』『sola』などのOP主題歌でお馴染みの大久保薫。曲調はテクノポップど真ん中と言ってよく、従来の大久保サウンドとはやや毛色が違う。このあたりは編曲と打ち込み全般を担当した、鈴木光人(SQUARE ENIX)の起用によるところが大きいのだろう。
 カップリング曲の「カ・ラ・ク・リ」も捨てがたいナンバー。BPM=170の速さでかっ飛ばすハウスサウンドに、釘宮理恵のロリータボイスが載る組み合わせはなかなかに刺激的だ。Perfumeを思わせるヴォーカル加工も面白く、ポップかつアッパーな仕上がり。

『とらドラ!』OP主題歌「プレパレード」/逢坂大河・櫛枝実乃梨・川嶋亜美(釘宮理恵・堀江由衣・喜多村英梨)

KICM-3184/1,200円/キングレコード
発売中
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 同じく『とらドラ!』からED主題歌「バニラソルト」も紹介しておこう。堀江由衣にとって9枚目となるシングルで、こちらもテクノポップ色を強く打ち出した楽曲だ。ゆったりしたメロディに緻密なビートという組み合わせが心地よい。歌詞のテーマは「素直になれない女の子」で、番組内容にもぴったり。
 白を基調にしたジャケットは無機的な雰囲気があり、テクノっぽさを印象づけている。初回限定盤はデジパック仕様で、楽曲のPVを収録したDVDが付属する。
 『とらドラ!』では本編からEDへとオーバーラップする演出が多く、いつもこの曲が番組に爽やかな後味を残してくれるのが印象的だ。

『とらドラ!』ED主題歌「バニラソルト」/堀江由衣

初回限定盤:KICM-91255/1,890円/キングレコード
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通常盤:KICM-1255/1,200円/キングレコード
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 山本寛が京都アニメーションからの独立後、満を持して監督に挑んだのが『かんなぎ』。この作品の主題歌「motto☆派手にね!」が29日に発売される。『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』に続いて、今回もOP映像はたっぷりとダンスが盛り込まれた意欲作だ。
 作曲は高校・大学で監督と同期生だった神前暁が担当。「THE IDOLM@STER」で多くの楽曲を手がけた作曲家だけに、ナギがアイドルに扮する今回のOPには相応しい人選だろう。
 CDは「かんなぎ盤」「初回生産限定盤」「通常盤」と3種類のバージョンでリリースされる予定。かんなぎ盤はナギの描き下ろしジャケットでイラストブックが付属する。限定盤の方にはPVを収録したDVDが付くとのこと。
 恐らくこのOP映像がオマージュの対象としているのが、1987年のTVドラマ「ママはアイドル」、および同作のOPで中山美穂が実際に踊りながら歌った「派手!!!」だろう。舞台、構成、歌詞、メロディなど色々な点で意識しているのが感じられる。山本監督自身、スタッフにこのドラマを観るように勧めているそうだ。
 僕は山本監督と同い年なのだが、この世代が中・高校生だった1980年代後半というのはアイドル文化の爛熟期であり、ファン層以外の一般にも広くアイドルの影響力が浸透していた時代だった。「ママはアイドル」などは企画・キャストの話題性から、それこそクラスの男子生徒の大半が観ていたように記憶している。

『かんなぎ』OP主題歌「motto☆派手にね!」/戸松遙

かんなぎ盤:SMCL-158/1,500円/ミュージックレイン
10月29日発売予定
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通常盤:SMCL-157/1,223円/ミュージックレイン
10月29日発売予定
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 水島努監督の新作『THE UNKOWN GIRL FRIEND ケメコデラックス!』よりOP「ケメコデラックス!」とED「プリップリン体操」の2曲を収録したCDが29日にリリースされる。
 この作品は本編のギャグとアクションの密度もさることながら、OPとEDでも視聴者にインパクトを与えたのではないだろうか。監督本人の作詞と高木隆次による作曲の組み合わせは、『撲殺天使ドクロちゃん』『大魔法峠』主題歌などの傑作電波ソングを世に送り出してきたいわば黄金コンビ(笑)。今回も期待に違わぬ出来と言えそうだ。
 OP「ケメコデラックス!」はスウィングジャズ風のサウンドに、主演声優7人よるハイテンションな歌声や「わっしょいわっしょい」と元気のよい掛け声が相まって楽しげな雰囲気。しかしながら歌詞はどんどん奇妙な方向へと突き進んでいくのが水島作品ならでは。
 ED「プリップリン体操」は深夜によくあるフィットネス器具の通販番組を思わせるような、過剰なまでにアメリカンで暑苦しいノリが秀逸。ケメコ役の斎藤千和が台詞を織り交ぜながら熱唱・熱演している。
 そもそも2頭身のケメコに「誰でもナイスバディになれる!」と言わせるあたり、水島監督のセンスにはマーベラス! と言わざるを得ない。

『ケメコデラックス!』OP主題歌「ケメコデラックス!」・ED主題歌「プリップリン体操」/ケメコとデラックス(斎藤千和・戸松遥・高橋美佳子・釘宮理恵・白石涼子・川澄綾子・後藤麻衣)・ケメコ(斎藤千和)

GNCA-0126/1,260円/ジェネオンエンタテインメント
10月29日発売予定
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 今回紹介したCDの他にも、秋期新番組の中には注目すべき主題歌がいくつもあり、なかなかの豊作ではないかと思う。今後も可能な限り多くの楽曲を取り上げてみたい。(W)

(08.10.27)