アニメ音楽丸かじり(26)
1月スタート番組の主題歌を紹介!

和田 穣

 1月24日にNHK-BS2で放送された「アニメギガ」はゲストが作曲家の梶浦由記。これがなかなかに興味深い内容だったように思う。ドイツで過ごした少女時代や、父親がオペラを嗜んでいた関係でいつも家の中に歌曲が流れていた事など、彼女の創作活動のルーツになる話が色々と紹介されていた。
 梶浦が20歳の誕生日を迎えた時に、彼女のピアノ伴奏と父の独唱でシューベルトの「冬の旅」を演奏する約束になっていたこと、その約束を果たす前に父が亡くなってしまったエピソードは特に印象的だ。「冬の旅」といえばフィッシャー=ディースカウの名歌唱でも知られるドイツリートの最高傑作であり、ドイツ在住経験のある親子にとってはきっと愛着の深い楽曲だったのだろう。
 他にも真下耕一監督から受けた強い影響についても語られており、監督から梶浦へのコメントも紹介されるなど見どころの多い番組だった。1月29日(金)の深夜24:50からBS-hiで再放送される予定なので、見逃してしまった方はそちらをチェックしてみてはいかがだろうか。

 さて、早くも1月にスタートした新番組の主題歌がリリースされ始めている。まずは梶浦由記が手がけたKalafinaの新曲から紹介してみよう。
 神戸守監督にとってTVアニメとしては実に2004年の『エルフェン リート』以来となる最新作『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』のOPは、1月20日発売のKalafina「光の旋律」だ。『エルフェン』でお馴染みとなったクリムト絵画風のアプローチに、2拍子のリズムとフォークロア調のアンサンブルがよくマッチしている。イントロと間奏の牧歌的なフルートは、どことなく「瞳の欠片」(『MADLAX』OP)を想起させ、梶浦サウンドの原点に立ち返ったような雰囲気だ。
 初回限定盤にはKalafina出演のPVや番組の予告映像を収録したDVDと、番組OPからのカットを掲載したブックレットが付属する。神戸監督もコメントを寄せており、「この作品には「歴史秘話ヒストリア」のようなOPがいいと思っていた」と述べている。その「ヒストリア」の音楽担当は梶浦由記であり、両者の出会いはやはり必然だったのだろう。

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』OP「光の旋律」/Kalafina

初回限定盤:SECL-836〜837/1,575円/ソニー・ミュージックエンタテインメント
発売中
[Amazon]

『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』OP「光の旋律」/Kalafina

通常盤:SECL-838/1,223円/ソニー・ミュージックエンタテインメント
発売中
[Amazon]

 『まりあ†ほりっく』ではYMOの「君に、胸キュン。」を取り上げ、『夏のあらし!』では懐かしのドーナツ盤シングルのジャケットをOPで多用した新房昭之監督。最新作『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』ではレベッカの代表曲「フレンズ」のカバーをOPテーマとして採用した。歌うのはこれがデビュー曲となる中野愛子で、CDは1月27日に発売予定。
 あまりにも有名な曲であり、オリジナルのNOKKOの声が強い印象を与えるものだっただけに、この曲の使用については当初やや疑問に思っていたものだ。しかし実際にOPを視聴してみると、そんな杞憂は完全に吹き飛んでしまった。
 ご存知のとおり本作の劇伴は元レベッカの土橋安騎夫が担当しているが、OP曲のアレンジについてはあえて彼ではなくElements Gardenの藤田淳平を起用している。いかにも藤田らしい攻撃的でスリリングな弦のアレンジは、OP映像のスピード感をより一層引き立てる仕上がり。「フレンズ」はオリジナル盤のリリースが1985年という4半世紀も前の楽曲だが、このCDは藤田の手腕によって2010年のアニメOP曲に相応しくリニューアルされた。

『ダンスインザヴァンパイアバンド』OP「フレンズ」/中野愛子

VTCL-35081/1,155円/flying DOG
1月27日発売
[Amazon]

 『コードギアス 反逆のルルーシュ』『マクロスFrontier』『バスカッシュ!』『DARKER THAN BLACK —流星の双子—』など立て続けに話題作を世に放っている毎日放送の木曜深夜枠で、現在放映されているのが『デュラララ!!』だ。大森貴弘監督を始め主要なスタッフは、同じ成田良悟の原作による『BACCANO!』に引き続いての起用となる。OP曲は日本のベテランロックバンド、シアターブルックによる「裏切りの夕焼け」で、彼らにとって始めてのアニメ主題歌。CDは2月24日に発売予定だ。
 雑然とした池袋駅周辺の街並みを舞台とし、不良やチンピラがわんさと登場する世界観。それだけにやはりOPに相応しいのはロック、それもちょっとワルの雰囲気が漂うロックだろう。今回OPを担当するシアターブルックはそんなアニメの雰囲気にもぴったり。1986年結成という長いキャリアを持ち、個人的にも10年以上前から注目してきたバンドだ。このOP曲「裏切りの夕焼け」でも明らかなように、各パートがガッチリと噛み合ったパワフルかつキレのある演奏は、これまで数々のロックフェスでトリを飾ってきたのも納得! という存在感がある。
 CDは3種類リリースされる予定。通常版はCDのみ、初回限定盤はアーティスト出演のPVがDVDとして付属する。期間限定の「デュラララ盤」は更にキャラクターカードとノンクレジットOPが付属する2面デジパック仕様となる予定だ。

『デュラララ!!』OP「裏切りの夕焼け」/THEATRE BROOK

デュラララ盤:ESCL-3378〜9/1,575円/エピックレコード
2月24日発売
[Amazon]

『デュラララ!!』OP「裏切りの夕焼け」/THEATRE BROOK

初回限定盤:ESCL-3375〜6/1,300円/エピックレコード
2月24日発売
[Amazon]

『デュラララ!!』OP「裏切りの夕焼け」/THEATRE BROOK

通常盤:ESCL-3377/1,020円/エピックレコード
2月24日発売
[Amazon]

(価格はすべて税込)

(10.01.26)