アニメ音楽丸かじり(48)
KalafinaライブBD/DVD、梶浦由記3枚組CDが発売!

和田 穣

 12月10日に渋谷C.C.Lemonホールで行われた、「Kalafina LIVE 2010 “輝く空の静寂には”」追加公演に足を運んできた。これは11日の本公演が早々にソールドアウトになったため、実施されたもの。今回はレコード会社(ソニーミュージックエンタテインメント)のご厚意により、招待していただいた。
 Kalafinaは個人的にも好きなグループで、過去に発売されたCDは全て購入済みだが、実演を見るのはこれが初めて。結果を言うなら、Wakana、Keiko、Hikaruの生み出すハーモニーは想像以上に素晴らしいもので、ライブアクトとしての魅力に溢れていると実感した。ライブをやるたびにチケットが売り切れるのも、納得というものだ。
 来年1月から放映開始予定の『魔法少女まどか☆マギア』ED主題歌となる「Magia」が今回のライブで初披露。リードを担当するHikaruと、Keikoの低音ボイスを活かしたパワフルなナンバーで、これまでのKalafinaのシングル曲における華麗なイメージとはちょっと違う、新たな魅力を見せるものだ。また、1月から新たに「歴史秘話ヒストリア」のEDも担当する事が発表された。タイトルは「symphonia」とのこと。

 さて、そんなKalafinaのライブを自宅で楽しむのに最適な、初のライブ映像作品「Kalafina LIVE 2010 “Red Moon” at JCB HALL」のBD/DVDが12月1日に発売された。今年6月に東京JCB HALLで行われた公演をほぼ完全収録した全21曲。さらに8月の香港ツアーのドキュメントも収録した150分のボリュームだ。
 Kalafinaと言えば、元々は劇場『空の境界』主題歌のために結成されたグループ。このDVDでも「ARIA」「sprinter」「fairytale」が披露されているものの、デビュー曲「oblivious」などの名曲が漏れているのは残念なところ。その代わり、シングルカットされた「Lacrimosa」(TVアニメ『黒執事』ED主題歌)や「光の旋律」(TVアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』OP主題歌)など、アルバム「Red Moon」から全曲が演奏されている。特に本編最後を飾る「光の旋律」は、すっかりKalafinaの代表曲として定着したようで、ライブで聴くとより一層感動的(僕は中間部のWakanaとHikaruによるユニゾンで、いつも泣かされてしまうのだ)。
 購入してからほぼ毎日BD版を視聴しているが、何度聴いても飽きないだけの楽曲のよさと、演奏クオリティを誇る1枚だと思う。BD版は映像も綺麗で、メンバー3人の美しさと華麗な衣装は目を楽しませてくれる。今冬おすすめのライブ作品だ。

Kalafina LIVE 2010 “Red Moon” at JCB HALL

BD:SEXL-3/6,615円/ソニーミュージックエンタテインメント
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DVD:SEBL-125/5,565円/ソニーミュージックエンタテインメント
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 今月は、梶浦由記関係でもう1枚注目の作品がリリースされている。12月8日発売の3枚組CD「The Works for Soundtrack」だ。これはいわゆるベスト盤ではなく、単体のサントラ盤として入手しにくい音源をひとつにまとめたもの。多くの音源が初CD化、もしくは現在入手困難なもので占められている。
 アニメ関連の劇伴としては、2001年の『NOIR』で注目される以前の初期作品を収録。1996年の劇場『新きまぐれオレンジ☆ロード そして、あの夏のはじまり』から5曲、真下耕一監督との初タッグとなった1997年の『EAT-MAN』から7曲、2000年の実写劇場作品「ブギーポップは笑わない Boogiepop and Others」から7曲といったところ。いずれも過去にサントラが発売されてはいるが、現在新品を入手するのは困難だろう。完全収録でないのは残念だが、それぞれ作品を象徴する楽曲は概ね入っているように思う。「ブギーポップ」は、ピアノ富樫春生、ピアノ&オルガン難波弘之、ベース中村キタロー、ドラム山木秀夫、サックス矢口博康といった、日本を代表する演奏家によるセッションが特徴。梶浦作品の中でも演奏技術はトップクラスで、一聴の価値がある。
 注目すべきは、1999年の実写劇場作品「Rainbow」から、メジャーデビュー前のKOKIAをボーカルに迎えた2曲を収録したこと。これが初CD化の楽曲であり、貴重な梶浦&KOKIAコラボとあって興味のある方も多いことだろう。KOKIAの声にはまだ若さもあるが、クラシックと民族音楽を融合したような、独特の個性が既に芽生えている。
 そのほか、今年8月15日の終戦記念日に放送されたスペシャルドラマ「15歳の志願兵」と、2007年のNHKスペシャル「世界里山紀行」からの楽曲を収録。それぞれ16曲、23曲とほぼ完全収録。いずれも今回が初CD化だ。
 ブックレットには10ページにわたって、梶浦由記による各作品へのコメントと、参加ミュージシャンの一覧を掲載。彼女がどんな心境でそれぞれの作品と向き合ったのか、うかがい知る事ができるよい資料となっている。

The Works for Soundtrack/梶浦由記

BVCL-149〜151/3,780円/アリオラジャパン
発売中
[Amazon]

(価格はすべて税込)

(10.12.14)