アニメ音楽丸かじり(59)
『まりほり』主題歌、新海監督の新作サントラを紹介!
和田 穣
5月2日に発売されたさよなら絶望先生全書、みなさんご覧になっていただけただろうか。僕は主に音楽関係者のインタビューを担当させてもらった。特に大槻ケンヂの取材記事は18000文字を超えるボリュームで、内容面でもかなりの濃度だったように思う。アニメソングの現状が、ミュージシャンから見てもかなり先進的で高水準になってきている、というオーケンからのメッセージは、アニメを好む者としてとても心強い。普段アニメ業界の外側にいるからこそ、アニメソングの現状が客観的に見えるのだろう。他にも面白いインタビューが満載なので、ぜひご一読を!
さて、5月下旬にリリースされるCDから注目作をご紹介。まずは小林ゆうが歌う『まりあ†ほりっく あらいぶ』の主題歌シングル「るんるんりる らんらんらら」だ。第1期オープニングの「HANAJI」もインパクトがあったが、今回はさらに強烈。「みんな、メス豚になれ〜」という過激なセリフから始まり、メルヘンチックな前半、ワイルドでパワフルな後半と極端に曲調が変わり、それに合わせて小林ゆうの声色も激変するのが聴きどころだ。
CDは通常版と初回限定盤の2種が発売される予定。通常盤には「るんるんりる らんらんらら」とエンディング曲で山本リンダのカバー「どうにもとまらない」を収録。最近はオープニング曲とエンディング曲が別売のケースが多いので、これは嬉しいところだ。限定盤では、さらに第1期から「HANAJI」「君に、胸キュン。」の両主題歌を収録しており、ちょっとしたベスト盤のような作りになっている。
放映前から公式サイトにて小林ゆうのレコーディングの様子が公開されているので、ご覧になった方もいるだろう。即興の振り付けをしながら、全身を激しく揺り動かし、髪振り乱してヘッドフォンまで落とす熱演。観客のいない密室のスタジオで、何が彼女をそこまで熱くさせるのか。そういえば「絶望先生全書」の取材で、大槻ケンヂは「ゆうちゃんは天才」、NARASAKIは「彼女は本物です」と言っていた事を思い出した。本職のロックミュージシャンも驚くほど、存在そのものがロックしている彼女である。
5月7日に公開された新海誠監督の新作『星を追う子ども』。そのサントラが劇場公開に合わせてリリースされた。これまでの新海作品とは毛色の異なる、異世界を舞台にした冒険活劇という事で注目の作品だ。音楽を担当するのはもちろん長年のパートナーである天門だが、今回は多田彰文をアレンジャーに迎えているのが特徴。これは以前紹介した新海作品のイメージアルバム「Promise」からの流れだろう。
天門らしいノスタルジックなメロディや和声は健在だが、作品のスケール感にあわせて、オーケストラをフィーチャーしたより壮大な楽曲を指向したという。ピアノを中心とした小編成で淡々とした情緒を紡いでいた、これまでの楽曲とは方向性が大きく異なる、いわば劇場アニメの本道をいくようなサウンド。サントラには劇中BGMに加えて未使用曲も追加されており、熊木杏里の歌う主題歌「Hello Goodbye & Hello」も収録している。
(価格はすべて税込)
(11.05.24)