アニメ音楽丸かじり(69)
『セイクリッドセブン』サントラは中島愛の挿入歌に注目!
和田 穣
10月5日にリリースされた『六神合体ゴッドマーズ』の30周年記念BD-BOXが凄い。本編映像をBD3枚に押し込んだ思い切りのよさもさることながら、音楽CDが6枚、特典CDが1枚付属するという太っ腹仕様。しかもすべてBlu-spec CDで高音質化が図られている。CD-BOXとして考えても魅力的な商品なのだ。
各CDの内容は、TVシリーズのサントラ「六神合体ゴッドマーズBGM集」「六神合体ゴッドマーズBGM集vol.2」、劇場作からは「映画 六神合体ゴッドマーズ BGM集」、ボーカル集の「ベスト・オブ・六神合体ゴッドマーズ」、イメージアルバム「メモリー・オブ・ゴッドマーズ 若草恵の世界」、そしてアウトテイクを集めた「未収録BGMコレクション4 六神合体ゴッドマーズ」の6枚だ。これらの『ゴッドマーズ』関連音源は1993年にCD化されているのだが、現在はいずれも新品を入手するのは難しい状況だ。まとまったかたちで発売されるのは嬉しいところ。
ひととおり全ディスクを聴いてみたのだが、音質がずいぶん鮮明になっていて驚いた。放映当時はハイテクなSFテイストを意識したであろう、デジタルシンセやフュージョンを取り入れたサウンドは、いま聴くと逆に生演奏の持つ荒々しさとパワーを感じさせる。「クラッシャー隊のテーマ」「ガイヤーロボット」などは、これぞTV劇伴フュージョンの定番! とでも言いたくなるような爽快なサウンドだ。
特典CDについても触れておこう。BGM担当の若草恵がこのBOXのために書き下ろした新曲2曲と、今となっては貴重な「六神合体ゴッドマーズ17歳の伝説 ゴッドマーズ・スペシャルカセット」の音源、「ラポートデラックス7 六神合体ゴッドマーズ大辞典」の音源を収録。さらに主題歌・挿入歌のカラオケを計10トラック収録している。
サンライズ制作のオリジナルTVアニメ『セイクリッドセブン』のサントラが10月5日にリリースされた。全38曲で72分とたっぷり内容が詰まった1枚だ。FictionJunctionによるオープニング主題歌「stone cold」、南里侑香が歌ったエンディング主題歌「輝跡 -kiseki-」はTVサイズで収録(第7話から第11話までは、OP曲とED曲を入れ替える試みも行われた)。
ヒロインの藍羽ルリ役に中島愛が起用されたことで、歌を望むファンも多かったと思うが、第8話では挿入歌「恋」、最終話ではエンディング曲「つながるまで」が流れて期待に応えた。もちろんこの2曲は本盤にフルサイズで収録されている。特に「恋」は、多くの視聴者をニヤニヤさせた第8話でのアルマとルリの鎌倉デートを、切なくも可愛らしく盛り上げた楽曲。『マクロスF』でデビューした頃に比べると、演技・歌唱ともに格段の成長を遂げた中島愛の魅力を堪能できる。
劇伴については、全般的に多くの楽曲で木管、金管、弦楽器がたっぷりと使われており、ゴージャスな内容。そしてロック色やテクノ色は控え目に、あくまで上品にまとめられている。4曲目「藍羽学園」におけるハイドン風の典雅なクラシックは、本作の雰囲気を特徴づけている。
23曲目「悪石出現」、27曲目「悪石との戦い」といった戦闘シーン用の音楽では、弦楽器のいわゆる「刻み」に乗せて、金管楽器のスタッカートで緊迫感を出している。往年の怪獣映画にも通じる古典的な作風を、現代の鮮明なサウンドで表現していて興味深い。
(価格はすべて税込)
(11.10.11)