アニメ音楽丸かじり(70)
10月の注目盤『TIGER & BUNNY』サントラが登場!

和田 穣

 秋期新番組の主題歌がそろそろ店頭に並び始めている。僕が好んで聴いているのが10月12日にリリースされた『C3』オープニング主題歌「Endless Story」だ。田村ゆかりにしては珍しい東洋的な旋律と、激しいロックビートの組み合わせがドラマティックで、新境地を切り開いている。桜の下でダンスするフィアの映像も独特の美しさ。やっぱりアニメのオープニングっていいなあ、と改めて思ってしまった。「田村ゆかりの曲ってアイドル色が強すぎてちょっと……」という人にも、おすすめできる楽曲だ。オリコン週間ランキングでも、自身最高位となる4位を記録しており評価も上々の様子。大物作詞家・松井五郎と組んでのアニメ主題歌という点でも、エポックになりそうな楽曲と言えるだろう。

『C3』オープニング主題歌 Endless Story/田村ゆかり

KICM-1357/1,200円/キングレコード
発売中
[Amazon]

 10月19日に『TIGER & BUNNY』のサントラ盤がリリースされた。2枚組に44曲を収録しトータル97分という大ボリュームだ。OP、ED主題歌の収録はなく、シングル化されたブルーローズの挿入歌「GO NEXT!!」「My Song」も収録されていない。ほぼ純然たるBGM集だが、1曲だけ第14話で使用された挿入歌「夏の恋はお疲れサマー」が収録されている。ブルーローズとタイガー&バーナビーによる一度限りのユニット「B.T.B」の楽曲だ。歌詞の2番までフルサイズで収録されている。
 音楽担当は池頼広。劇伴作家としてのキャリアは1995年あたりからだが、2000年以降は毎年コンスタントに10作品以上を手がける売れっ子だ。TVアニメ、映画、実写ドラマ、バラエティ、CMとその活動範囲は広い。アニメでは『BLOOD THE LAST VAMPIRE』『Ergo Proxy』『FLAG』『COBRA THE ANIMATION』などハードな作品が多い。さとうけいいち監督とは、『KARAS』でもタッグを組んでいる。元々はアメリカで活動していたミュージシャンで、ハリウッド映画を思わせる大仕掛けの楽曲を得意としており、『TIGER&BUNNY』の作風とは相性ぴったりだ。
 各話の冒頭でお馴染みの1曲目「HEROES N.C.1978」や、主役2人のテーマソング「TIGER & BUNNY」は池頼広お得意のハリウッド風サウンド。25曲目「Barnaby」はバーナビーのテーマ曲で、オペラ風の女性ボーカルが印象的。彼のトラウマである両親の殺害場面のリフレインで使用されている。収録曲は尺の長いものが多く、楽曲単体でも充分に楽しめるはずだ。
 『TIGER & BUNNY』は日本のTVアニメとしては音響が独特で、会話シーンや動きの少ないシーンでも分厚く劇伴が鳴っているケースが多い。そのあたりにも注目して本編を見直してみると、サントラもより深く楽しめるのではないかと思う。

『TIGER & BUNNY』オリジナルサウンドトラック(音楽:池頼広)

LACA9219~20/3,300円/ランティス
発売中
[Amazon]

(価格はすべて税込)

(11.10.25)