アニメ音楽丸かじり(72)
『SKET DANCE』サントラは音声コメントつき!

和田 穣

 先週発売されたPS3/Xbox360用ゲーム「SaintsRow:TheThird」が面白い。シリーズ3作目だが、いい意味で益々くだらなくアホな内容に進化している。街中を素っ裸で走り回ったり、通行人にプロレス技をかけたり、戦車で街中を破壊しまくったりとやりたい放題。オープンワールド(箱庭)系本来の、なんでもできる自由度を満喫できるゲームと言えよう。キャラクターメイクも自由自在で、白人や黒人、アジア系はもちろんのこと、肌を緑にしたり金色にしたりと何でもござれだ。アメコミヒーローや超人ハルクのような主人公キャラが簡単に作れてしまう。今年の秋冬は洋ゲーの大豊作なのだが、中でも本作はオススメのひとつ。

 MOSAIC.WAVのベスト盤「AKIBA-POP√RECOLLECTION」が11月23日に発売される。2枚組の両ディスクは「元気side」「電気side」と題され、計28曲を収録し、6曲の新曲も含まれている。新曲では、ニコニコ動画などで活動するボーカロイド系作曲者、いわゆるボカロPの面々とのコラボレーションに注目だ。
 初回限定盤には、製造終了となったデビューシングル「Magical Hacker☆くるくるリスク」のマキシシングル盤が付属するという面白い仕様。すでに入手困難となった1枚であり、ファンにとってはありがたいだろう。
 収録されたTVアニメ主題歌は『すもももももも』OP「最強○×計画」と、『ぽてまよ』OP「片道きゃっちぼーる」のみ。「キュン・キュン・パニック」「切情!佰火繚乱」「超妻賢母宣言」などの主題歌は入っていない。やはり、現在のところ唯一のメジャーアルバムである「Amusement Pack」との楽曲重複を避ける狙いと、ライブでの定番曲や人気曲など、グループの代表曲を網羅したい意向があるのかと推測する。実際、ライブで確実に盛り上がる「Love Cheat!」「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト」「洗脳・搾取・虎の巻」や、動画サイト(※)でアクセス数を稼ぐ「ないしゃおだくーにゃん」「百合星人ナオコサン」「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」はしっかりと網羅されており、MOSAIC.WAVの入門編として、あるいはライブの予習としてはぴったりの内容だ。
※MOSAIC.WAVは、ショートバージョンに限り楽曲の使用を許可している。

AKIBA-POP√RECOLLECTION/MOSAIC.WAV

初回限定盤:GNCA-1308/4,725円/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
11月23日発売予定
[Amazon]

 11月30日発売予定の『SKET DANCE』のサウンドトラックを紹介しよう。このCDのサンプル盤を取り寄せたところ、エイベックスの担当者の方が、できたてホヤホヤのところをバイク便で送ってくださった。ありがたいことである。内容は全61トラックで、第1OP「カッコ悪い I love you!」(フレンチ・キス)、第1ED「Comic Sonic」(the pillows)、それに第2OP「道」(The Sketchbook)、「クローバー」(The Sketchbook)のそれぞれをTVサイズで収録している。
 『SKET DANCE』といえば、原作が「週刊少年ジャンプ」連載で、TVアニメも木曜18時というメジャー枠。子供たちや一般層が多く視聴する時間帯だけに、サントラの方もできるだけ分かりやすくしたいという配慮だろうか。なんと、収録された劇伴32曲のうち、23曲に音声コメントが入っている。コメント担当は、劇中のアニメ研究部部長・小田倉くんだ。ネットスラングを多用したオタクらしい語り口で、楽曲の内容や感想をハイテンションに紹介していく。これがOPトーク、EDトークも含めると25トラックもあるのだ(トーク内の小田倉のセリフによれば「CDの収録時間さえ許せば全曲解説していた」とのこと)。劇中のキャラクターを活用して、とかくマニアックになりがちなサントラの世界を、視聴者に身近なものとして感じてもらうのはいい試みだと思う。
 音楽担当は鳴瀬シュウヘイ。本人もロックバンドでの活動経験のあるアーティストだが、近年は「仮面ライダーディケイド」「仮面ライダーダブル」「仮面ライダーフォーゼ」といった平成ライダーシリーズの劇伴作家としても知られる。本作での起用もそういった経緯からであり、特撮番組を好む川口敬一郎監督からのオファーであったことが、ライナーノーツに書かれている。
 本盤の収録曲の大半は、数多い登場人物たちそれぞれのテーマ曲となっている。当然ながら楽曲の方向性はキャラクターにあわせて幅広いのだが、特に目立つのが鳴瀬シュウヘイが得意とするロック調。主人公ボッスンのテーマ(2曲目)や、スケット団のテーマ(42曲目)、それに各話のクライマックスで流される音楽はいずれもロックであり、それがイマドキの高校生を扱った『SKET DANCE』の作風にマッチしている。なお本盤のジャケットデザインやタイトルは、あの洋楽番組「ベストヒットUSA」を意識している事は言うまでもない。

『SKET DANCE』オリジナルサウンドトラック BEST HIT KAIMEI!(音楽:鳴瀬シュウヘイ)

AVCA-49096/3,150円/エイベックス・エンタテインメント
11月30日発売予定
[Amazon]

(価格はすべて税込)

(11.11.22)