大藤信郎・初の本格的な回顧展
この夏、フィルムセンターで開催
「毎日映画コンクール大藤賞」——日本で最も古いアニメーションの賞にその名を留めているアニメーション作家・大藤信郎。我が国のアニメーションの先駆者の1人として知られる人物だ。カンヌ映画祭で激賞されるなど国外での名声の割に、国内での評価は今ひとつ定まらないまま、今日にまで至っている。うねるようなアニメート、時に野卑な表現も辞さないエロチシズムなど独特の作風が、評価を拒んできたのかもしれない。そのせいか、国立近代美術館フィルムセンターには、遺族から多くの資料が寄贈されたが、長く眠ったままになっていた。この資料を一般公開する初めての展示が、6月末より催される。題して「アニメーションの先駆者 大藤信郎」。“知られざる著名作家”大藤の全貌を知るまたとない機会となる。
大きな話題は、大藤信郎の残したセルを使った、『竹取物語』の映像化だ。彼が亡くなる直前まで進めていた企画のひとつが『竹取物語』である。アニメーション作家・山村浩二が監修を務め、大藤のセル画に命を吹き込んだという。この映像が特別に公開される。
また、7月3日、7月24日、8月28日には、おかだえみこ、津堅信之、山村浩二各氏による講演も予定されている。
さらに、8月20日〜9月5日までの金・土・日には同センター小ホールにて、大藤信郎作品の上映が予定されている。詳細は、今後フィルムセンターのWEBサイトで告知されるという。
あわせて、今月26日には紀伊國屋書店より、彼の短編18作品を収録したDVD「アニメーションの先駆者 大藤信郎 孤高の天才」も発売予定。
彼の残した作品は、想像するような堅苦しいものでは、決してない。海外で賞賛された鮮やかでグラフィカルな映像、エロティックな表現は、今のアニメーションファンにとっても一見の価値がある。
アニメーションの先駆者 大藤信郎 |
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会場 |
東京国立近代美術館フィルムセンター展示室 |
会期 |
6月29日(火)〜9月9日(木) |
料金 |
一般200円 |
●関連サイト
東京国立近代美術館フィルムセンター
http://www.momat.go.jp/FC/fc.html
アニメーションの先駆者 大藤信郎
http://www.momat.go.jp/FC/OFUJI/
(10.06.25)