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細田守監督・マッドハウス制作の劇場新作
『時をかける少女』製作発表レポート

 国内最大級のアニメイベント「東京国際アニメフェア2006」が、有明の東京ビッグサイトで開催された。毎年、このイベントに合わせて製作記者会見や新作トレーラーの公開が行われているが、今年は例年よりも新作発表が多数行われた様子。各社の展示ブースは多くの来場者で賑わい、豊富な新作タイトルの数々が業界関係者とファンの目を奪っていた。

 中でも注目を集めたのは、24日に行われた、細田守監督・マッドハウス制作の劇場新作『時をかける少女』の記者会見。つい前日にできあがったばかりというプロモーション映像も上映され、クオリティの高い映像で期待を煽った。
 ステージに登場したのは、製作を務める角川書店専務取締役の井上伸一郎、原作者の筒井康隆、監督の細田守、そしてキャラクターデザインの貞本義行。自らこの原作を映画化したいと言って企画を実現させた細田監督を始め、それぞれが作品への意気込みを語った。

▲左から井上伸一郎、筒井康隆、細田守、貞本義行
▲抱負を語る細田監督と、原作者の筒井康隆

細田 非常に伝統ある作品を手がける事になりまして、とても光栄に思っています。今までに何度も映像化されている作品ですが、各時代の中学生・高校生の姿を通して、その時代に生きる意味が描かれてきました。そして今回の『時をかける少女』でも、今の時代や、今の人達がどういう未来を夢見て生きているのかを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。
貞本 今までは野球に喩えるなら変化球というか、魔球っぽい作品に参加してきましたが、今回この『時をかける少女』という直球ド真ん中なタイトルに巡り会えまして、なかなかこんな機会はないだろうという事で、社を越えて参加させていただきました。プレーンで、力強くて、皆様に愛していただけるようなキャラクターができたと思います。
筒井 この『時をかける少女』という作品は、私にとって「よく稼いでくれるお嬢さん」でしてね。(映像化されるのは)もう何作目にもなりますが、それぞれの時代における制服のアイドルとして活躍してくれました。今回は初めての、本当の意味での2代目「時をかける少女」という事になります。

 この細田監督版『時をかける少女』は、かつて映像化されてきた作品群とは全く違う、新たなヒロインを主人公に据えた大胆な脚色も話題となっている。脚本を手がけたのは、映画「お引越し」「学校の怪談」シリーズなどで知られる奥寺佐渡子。

細田 この映画には2人のヒロインがいます。1人は、仲里依紗さんが演じる紺野真琴。そしてもう1人が、原沙知絵さん演じる芳山和子という30代後半の美しい独身女性。これまでの歴代『時をかける少女』でヒロインを演じてきた、あの芳山和子です。彼女が30代後半となって、今再びこの映画に登場します。だからこの映画には、2人の「時をかける女性」が出てくるわけですが、それがどういう物語になるのかは、見ていただけると分かります。
筒井 私も台本を読んで、今作るのであればこういう作り方であろう、と思いました。いつまでも主人公が芳山和子ではないと思います。新しい時代の「時をかける少女」というのはこうでなくちゃいかん、こういう風に行動的なヒロインでなければいけない、と思いました。……それに、古いとか新しいとかいった事は、今の時代の人にはよく分からないと思うのです。古いファッションも新しいファッションも、ごっちゃにある時代ですから。例えば従来の芳山和子の物語を知っている人が、今回の『時をかける少女』を観ても、全く違和感はないと思います。

 そして、主人公・紺野真琴を演じる仲里依紗を始め、6人のキャスト陣がステージ上に勢揃い。細田監督曰く、今回のキャスティングには絶対の自信があるという。当日初めて出演者達と顔を合わせた筒井康隆も、「このまま実写映画化してもよさそう」と太鼓判を押した。

▲舞台挨拶を行う出演者達
▲メインキャストの3人。左から間宮千昭役の石田卓也、紺野真琴役の仲里依紗、津田功介役の板倉光隆

仲 今回、初めてのアフレコなんですが、ちゃんと自分で勉強して、あんまり難しく考えすぎないように頑張りたいと思います。真琴役になりきって、もう動いて飛び出しちゃうくらい、タイムリープしちゃうぞ! という感じで頑張りますので、よろしくお願いします。

 スタッフ、キャスト陣の 熱い思いが伝わってくる記者会見だった。何度も映像化されている『時をかける少女』に、どんな新風を吹き込んでくれるのか、今から期待が高まる。今夏、テアトル新宿他にてロードショー予定。

●メインスタッフ
原作/筒井康隆(角川文庫刊)
監督/細田守
脚本/奥寺佐渡子
キャラクターデザイン/貞本義行
美術監督/山本二三
アニメーション制作/マッドハウス
製作/角川書店

●関連サイト
『時をかける少女』公式サイト
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/

「東京国際アニメフェア」公式サイト
http://www.taf.metro.tokyo.jp/


(06.03.31
)

 
 
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