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世界のアニメーションを劇場・DVDで紹介
「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」発足


 1月16日、東京・渋谷の映画館シネマ・アンジェリカで、2007年春より開始される新事業「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」の発表会見が行われた。これは三鷹の森ジブリ美術館が、世界の優れたアニメーション作品を選定・配給し、劇場公開やDVDリリースによって広く一般に紹介していこうという活動。ライブラリー選定作品はシネマ・アンジェリカで公開され、DVDリリースをジブリ作品も手がけるブエナ ビスタ ホーム エンターテイメントが担当する。

▲会見に出席した三鷹の森ジブリ美術館館長の中島清文(左)、シネマ・アンジェリカ代表の畠中基博(中央)、ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント日本代表の塚越隆行(右)

 劇場配給作品第1弾となるのは、独特のアニメーション技法で“動く印象派絵画”を実現させたロシアのアレクサンドル・ペトロフ監督による新作『春のめざめ』(3月17日公開)。19世紀末のロシアを舞台に、2人の女性に恋をした少年の夢想と現実をダイナミックに描く、27分の作品だ。ガラス板の上に油絵の具で画を描き、主に指を使って描き変えながら撮影していくという手法で、大胆かつ迫力ある映像を生み出している。まさにスクリーンで堪能するべき力作である。
 それに併せ、三鷹の森ジブリ美術館では1月24日から企画展示「アレクサンドル・ペトロフ『春のめざめ』原画展」を開催。1枚画としてのクオリティも高い貴重な撮影素材を観覧できる、またとない機会だ。この展示の企画・制作は、監督作品『ゲド戦記』のヒットも記憶に新しい宮崎吾朗前館長が手がけている。

▲『春のめざめ』本編より

 そして4月4日には、DVDライブラリー第1弾として、昨年リバイバル公開され好評を博したポール・グリモー監督の名作『王と鳥』を発売。本編はもちろんデジタルリマスター版で、さらに映像特典として、グリモー監督の短編作品集『ターニング・テーブル』などを収録する。2枚組のスタンダード版と、ドキュメンタリーやCFなどを追加した3枚組の「エディシオン・コレクトール」の2バージョンをリリース。

 会見当日は『春のめざめ』本編と、併映作品『岸辺のふたり』の上映が行われた。上映後にはペトロフ監督自身が登場し、『春のめざめ』が本国ロシアに先駆けて日本で劇場公開される喜びを語った。

ペトロフ「私が作っているような個人作家の映像作品は、世間ではアートフィルムと呼ばれています。その多くは映画館で上映される機会が少なく、DVDなどでやっと皆さんの元へ届くという運命を辿っています。そんな中、今回の新事業で私のささやかな作品が取り上げられ、このような素晴らしい劇場で公開されるという事になり、とても嬉しく思っています。以前から日本の方々と共に仕事をしてきた私にとっては、第2の故郷と言えるこの国で、この『春のめざめ』が世界のどこよりも早く劇場公開されるという喜びを、今は噛みしめている最中です」

▲アレクサンドル・ペトロフ監督
▲ジブリ美術館にて展示される『春のめざめ』原画の一部。1枚のガラス板の上に少しずつ描いては消し、消しては描いていくという手法なので、残される原画は数少ない

 シネマ・アンジェリカの畠中基博代表は、『もののけ姫』以降に作られたスタジオジブリ作品のキャスティング・ディレクターを務めていた人物。一方で実写映画のプロデュースも手がけており、そのアウトプットの場を求めて、2005年12月にシネマ・アンジェリカを開業した。同館では昨年『王と鳥』をジブリ提供でリバイバル公開し、旧作にも関わらず好調な動員を記録。その成功が今回の企画への参加に繋がった。

畠中「10年前に初めて鈴木敏夫プロデューサーに会って、『もののけ姫』のキャスティング・ディレクターというかたちで参加したんですが、それまで僕はアニメーションをあまり観た事がなくて、スタッフの皆さんがされるお話もちんぷんかんぷんでした。本当に失礼な話なんですが、それから10年経ってやっとその言葉の意味や価値というものが分かってきて、今は心からアニメーションというものを尊敬しています。今回のジブリ美術館の新事業が、とてもいいかたちで広がっていければと思っています。微力ですが、我々も全力をもってお手伝いしていきたい」

 『春のめざめ』に続く「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」配給作品には、ミッシェル・オスロ監督の新作長編『アズールとアスマール』が決定している(夏公開予定)。今後も夏休み・冬休み・春休みと、各シーズンごとに配給活動を続けていきたいとの事だ。新作だけでなく、宮崎駿・高畑勲の推薦する旧作タイトルの劇場公開・ソフトリリースなどもありうるという。


●関連サイト
三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー 公式サイト
http://www.ghibli-museum.jp/library/

三鷹の森ジブリ美術館 公式サイト
http://www.ghibli-museum.jp/

シネマ・アンジェリカ 公式サイト
http://www.gojyu.com/

●商品情報
『王と鳥』スタンダード版(2枚組)
4月4日発売
価格/4935円(税込)
スタンダード(4:3)/フランス語2.0chサラウンド/ドルビーデジタル/日本語字幕
Disc1:本編(約84分)、映像特典「太田光(爆笑問題)×高畑勲 劇場初日対談」(約15分)
Disc2:映像特典『ターニング・テーブル』(約77分・モノラル)、劇場予告編ほか
発売/ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
[Amazon]


『王と鳥』エディシオン・コレクトール(3枚組)
4月4日発売
価格/6825円(税込)
スタンダード(4:3)/フランス語2.0chサラウンド/ドルビーデジタル/日本語字幕
Disc1・Disc2:スタンダード版と同仕様
Disc3:ドキュメンタリー映像「ポール・グリモー 1コマ1コマ」(約56分)、ドキュメンタリー映像「おかしな鳥」(約21分)、短編アニメーション「大熊座号の乗客(完全版)」(約9分)、ジャン・オーランシュの実写CF(3作品計約7分)、ポール・グリモーのアニメーションCF(4作品計6分)、「ポール・グリモー展と高畑勲 in France」(約20分)、「高畑勲とポール・グリモー展 in Toyko」(約20分)
封入特典:ポール・グリモー展図録“Livre illustre de l'Exposition Paul Grimault”(60ページ)
発売/ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
[Amazon]


(07.01.25)

 
 
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