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アニメ本・聞いた・見た・買った(17)
記録、ビジネス、河童に突破


 まずはすでに発売中の本から。
 原芳子「アニメーション映画に魅せられて 『記録』という仕事を知っていますか」(新風舎)は、東映アニメーションで「記録」を務めてきた著者の自伝兼役職紹介だ。記録とは、スクリプターとも呼ばれ、映像制作の工程管理をする仕事だ。実写映画ではありふれた役職だが、アニメ制作では、おそらく東映アニメーションのみだろうと著者はいう。このあたり、いかにも映画会社を母体に誕生した会社らしい。工程管理と言っても、実際にどういう仕事をしているのかは分かりづらいだろう。読んだ限りでは、打ち合わせに立ち会って演出意図を把握し、AR台本の書き起こしや手配など音響まわりのコーディネートを行い、撮影したフィルムを管理して編集へと橋渡しし、リテイク箇所をチェックするのが主な仕事だったようだ。詳しくは実際に手に取ってみてもらいたい。
 もうひとつ。前回も紹介した増田弘道「アニメビジネスがわかる」(NTT出版)が、店頭に出ている。様々な資料からアニメの制作費を明らかにするなど、たしかに類書のない内容で面白い。ビジネスとしてのアニメに興味がある人は必読。誤記が目立ったり、奇妙な記述がちらほら目につくのは本書の信頼性を損ねる点で、玉に瑕だが……。

 さて、8月上旬までの注目書を紹介しよう。
 明日からの注目作『河童のクゥと夏休み』の公開に合わせて、関連書が出版される。バジリコからは「河童のクゥと夏休み 絵コンテ集」。この作品は2時間を超える大作だが、各種インタビューでも言われているように、もともとは3時間近いコンテが描かれている。その全長版を収録したのが、この本だ。4000円超とそれなりのお値段だが、原恵一監督の入魂の仕事をぜひ見てほしい。この記事の掲載とほぼ同時に発売になっているはずだ。そこまではお金がかけられないという方は、「原恵一と『河童』の長い旅 河童のクゥと夏休み公式ガイドブック」(角川グループパブリッシング)をどうぞ。
 こちらもすでに店頭発売されているのが、津堅信之「日本初のアニメーション作家 北山清太郎」(臨川書店)。日本初のアニメーションが始まったとされる1917年、下川凹天、幸内純一、北山清太郎の3人がそれぞれ独立にアニメーション製作を始めている。その1人、北山に迫った評伝だ。京都精華大学のメンバーを執筆陣のメインにしたマンガ関係の研究叢書である「ビジュアル文化シリーズ」の1冊として刊行。
 「ワンダーライフスペシャル 天元突破グレンラガン」(小学館)は、話題作『グレンラガン』のガイドブック。シリーズ前半を扱っているという。編集はトンがった仕事で定評のある、UNDER SELLのメンバーが担当していると聞く。8月3日頃発売。
 今年もスペシャルが作られた『ルパン三世』。いまだ人気の衰えない、『ルパン』のアニメ関連書が「ルパンThe40!〜The animation〜」(双葉社)。生誕(原作発表)から40周年を記念して出る本のようだ。8月3日頃の発売。
 ここで紹介した本は刊行済みのものを除き、タイトル、発売日ともすべて予定で、変更される可能性がある。購入する際には、店頭などで現物を確認してほしい。そのほかの本の予定はこちら。(B)


(07.07.27)

 
 
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