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アニメ本・聞いた・見た・買った(30)
動漫から見える日本と中国の現在


 面白い本が出たのに気づかず紹介し損ねていた。遠藤誉著「中国動漫新人類」(日経BP社)が、それ。すでに各所で話題になっているので、屋上屋を重ねるだけかもしれないが、触れておきたい。自己紹介によると、著者は旧満州出身で戦後もしばらく大陸で教育を受けたという。帰国後、理論物理の研究者を経て、今は中国からの留学生の指導や国際交流を専門にしているようだ。
 この本は、簡単に言えば、最近の中国の若者文化に大きな変化を感じ、その背後に日本のマンガ、アニメの影響があるのを知って、中国大陸での日本製マンガ・アニメの受容と現状をレポートしたものだ。だが、単なるレポートに終わらず、中国の民主化の行方や複雑な対日関係も視野に入れた、骨太な読み物になっている。パワフルな取材ぶりにも頭が下がる。
 これから出る本に目を転じよう。岩波ジュニア新書から、辻真先著「ぼくたちのアニメ史」が出る。辻真先については説明するまでもないだろうが、重鎮のミステリ作家・脚本家だ。「TVアニメ青春記」など、これまでにもいくつかの回想録が出ているが、今回の本は、著者のWEBサイトによれば、マンガやヤング向け小説など隣接分野との連関も視野に入れながら、アニメの歴史を論じたものになるらしい。20日刊行予定。
 岩波ジュニア新書ではすでに山村浩二「アニメーションの世界へようこそ」が出ており、3月にはさらに鈴木伸一「アニメが世界をつなぐ」を予定している。なかなかのラインナップだ。
 学研からは『なのは』シリーズ関連の本が2冊。「魔法少女リリカルなのは原画集」「魔法少女リリカルなのはA’s原画集」だ。原画集といいながら、中身はキャラクタービジュアル集という側面の強い本が最近いくつか出たが、果たしてこの2冊はどうだろうか。特に『なのは』は個性の強い作画が印象的だっただけに、そちらの側面もフォローしてくれるか気になるところだ。2冊ともに26日刊行予定。ちなみに同社からは4月に『StrikerS』の本も出るようだ。
 もうひとつ原画集を取り上げよう。ガイナックスから3月1日に「天元突破グレンラガン アニメーション原画集1」が刊行予定。「作画の鬼ッ!」というコーナーを公式サイトで展開していただけに、どんな原画が載るのか、今から楽しみだ。
 最後に近作のアニメ関連書を2冊。新紀元社からは「ロミオ×ジュリエット ビジュアルファンブック -Destiny of Love-」が下旬に出る。ネット書店の中にはすでに書影を掲載しているところもあるが、これがなかなかいい感じ。期待したい。また、ジャイブからは「ひぐらしのなく頃に解 公式キャラクター&サマリーブック」が刊行予定だ。こちらは月末発売予定。
 ここで紹介した本は刊行済みのものを除き、タイトル、発売日ともすべて予定で、変更される可能性がある。購入する際には、店頭などで現物を確認してほしい。そのほかの本の予定はこちら。(B)


(08.02.15)

 
 
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