ニュースで一望するアニメ界2009
「反復」と「政権交代」の年
今年は「反復」というキーワードで記憶される年になるだろう。『ガンダム』放映30周年ということで大規模なイベントが開かれた事はもちろん、50代向けには『宇宙戦艦ヤマト』の復活、30代には『エヴァンゲリオン』、20代向けには『涼宮ハルヒ』と、各世代に対応した作品が惑星直列のように再出馬するかたちとなった。特撮でも、「ウルトラファミリー」を強調した劇場作品や、歴代仮面ライダー集結というイベント性の高いTVシリーズ&劇場作品が作られ、ヒットとなっている。劇場作品では、ロボットアニメ・リバイバルとも呼ぶべき現象もあった。
『ポリフォニカ』『ハヤテのごとく』『鋼の錬金術師』のように、かつて作られた先行作にとらわれず、改めて仕切直しを図る作品も目立った。劇場に目を転じれば、スマッシュヒットとなった『サマーウォーズ』はオリジナル作品ながら、先行作のリメイク的な側面も持ち合わせており、『エウレカセブン』『マクロスF』などは、リメイクとも違う、まさにTVシリーズの語り直しとしか言いようのない作品となっている。さらに、大ヒットとなった『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は、内容を見る限り、どうやら反復そのものがテーマとなっているようだ。
反復をテーマにするといえば、『ハルヒ』の「エンドレスエイト」は、終わらない夏休みという作中のエピソードそのものをTVシリーズで表現し、賛否を呼んでいる。また『うみねこのなく頃に』は、これも反復がテーマだった『ひぐらしのなく頃に』をさらにパワーアップさせたものとなった。
もちろん、反復ばかりでなく、一方で『けいおん!』『化物語』といった次代につながるであろう、新しいヒット作も生まれている事も指摘しておこう。
社会的に大きな波紋を呼んだのが、「メディア芸術総合センター構想」であった。経済対策をかかげる前政権が巨額の補正予算を投じる事を急遽発表したことから、百家争鳴の事態を巻き起こしたものの、結局、政権交代という大きなうねりの中で、構想は静かに幕を下ろす事になった。中心メンバーが認めるほど拙速な計画であったことは否めない。ただ、アニメがそれだけ大きな存在になっていることを改めて示した出来事だったと言えるだろう。
もうひとつ、大きな事件として忘れられないのが、アニメーター・金田伊功の急逝だ。金田は、『宇宙戦艦ヤマト』に始まる、昭和50年代(1975〜1985)に起きた第1次アニメブームのスターであった。彼の仕事に影響を受け、アニメーターとなった者も数多い。まさに「アニメ」の体現者であった。
●1月
▼【訃報】市川治(2日)
声優。心不全で死去。72歳。『超電磁マシーン ボルテスV』のハイネルなど、いわゆる美形悪役を演じ、一世を風靡した。
▼【TV】『空を見上げる少女の瞳に映る世界』放映開始(14日)
京都アニメーションが自主制作していたOVA『MUNTO』のTVシリーズ化。シリーズ構成は木上益治とユメミる仲間たち、監督は木上益治。2003年、2005年に発表された2本を再編集し、結末となる新作を加えて全9話とした。さらに編集し、若干の新作カットを加えたものが『天上人とアクト人最後の戦い』として4月に劇場公開されている。
▼【TV】『ヘタリア』キッズステーション放映中止(16日)
『ヘタリア Axis Powers』のキッズステーションでの放映中止が発表される。24日より放映の予定だった。携帯配信、ブロードバンド配信は予定どおり。
▼【イベント】毎日映画コンクール発表(21日)
アニメーション映画賞に『スカイ・クロラ』が、大藤信郎賞に「『崖の上のポニョ』における宮崎駿監督の独創的表現」がそれぞれ選ばれた。
▼【訃報】鳥海永行(23日)
67歳。監督として『科学忍者隊ガッチャマン』『ニルスのふしぎな旅』の監督として知られる。放映中の『はっけん たいけん だいすき! しまじろう』のアニメーションシリーズ構成・監督を手がけていた。
▼【ビジネス】公取委がアニメ産業の実態を報告(23日)
公正取引委員会が「アニメーション産業に関する実態調査報告書」を公表。独占禁止法や下請法の観点から取り引き慣行に問題がないか、一昨年末より約1年間に渡り、調査していた。「アニメ制作の委託取り引きが適正に行われるよう、引き続きその取り引き実態について注視していく」と報告している。
▼【出来事】『うる星やつら2』Blu-ray Disc発売中止(26日)
3月20日に発売を予定していた『うる星やつら2 ★ビューティフル・ドリーマー★』のBlu-ray Discの発売中止を、東宝が発表。理由については「諸般の事情により」としている。昨年12月に発売が明らかになったばかりだった。
▼【ビジネス】声優の期限外利用料協定の終了が明らかに(26日)
日本動画協会は、東映アニメーション、エイケン、竜の子プロダクション、日本アニメーション、トムス・エンタテインメントの5社が日本音声製作者連盟、日本俳優連合と結んでいた期限外利用料協定について、昨2008年9月30日をもって解除となった事を明らかにした。この協定は1981年に結ばれたもので、放映後7年以上経ったTVアニメの再放送について、声優に対し利用料を支払う規定となっていた。動画協会では、あわせて新出演条件の目安を提案している。
●2月
▼【イベント】『つみきのいえ』米国アカデミー賞受賞(22日)
『つみきのいえ』が、現地時間22日、米国アカデミー賞・短編アニメーション賞を受賞。この部門では、国産としては『老人と海』以来、日本人監督としては初。長編アニメーション部門では、宮崎駿が『千と千尋の神隠し』で受賞している。
●3月
▼【イベント】第3回声優アワード発表(7日)
声優アワード前年に最も活躍した声優を表彰するイベント(声優アワード実行委員会主催)。主演男優賞には神谷浩史が、主演女優賞には釘宮理恵が選ばれた。
▼【出来事】フレッシュプリキュア掲示板が一時閉鎖(13日)
東映アニメは『フレッシュプリキュア』公式サイトでの掲示板を一時閉鎖。理由については東映アニメ側では「他の利用者に不快感を与える行為の禁止に抵触」したとしている。掲示板では。一部ファンの間で議論や感想がヒートアップしていた。4月より再開した。
▼【劇場】「TVアニメ考現学第1弾 ルパン三世1st.TVシリーズ」上映(14日)
三鷹の森ジブリ美術館配給で、『ルパン三世[第1作]』いわゆる『旧ルパン』から、Aプロダクション演出グループが手がけたエピソードを、シネマ・アンジェリカでセレクト上映した。併映として「ドキュメント『ルパン三世』とその時代」も公開された。
▼【劇場】『プリキュア オールスターズ DX』公開(20日)
『映画 プリキュア オールスターズ DX みんなともだちっ☆ 奇跡の全員大集合』は、タイトルどおり『ふたりはプリキュア』から『フレッシュプリキュア!』まで歴代プリキュアが集合。イベント性の高い内容で、10億を超えるヒットとなった。
▼【TV】「ルパン三世VSコナン」(27日)
金曜特別ロードショー枠で放映。『ルパン三世』と『名探偵コナン』というトムス・エンタテインメントの人気キャラクターが、出版社・TV局の垣根を越えてコラボレーションした。日本テレビ開局55周年、よみうりテレビ開局50周年という節目を記念しての企画である。
●4月
▼【ビジネス】村濱プロデューサー、新会社設立(1日)
ゴンゾの設立者の村濱章司プロデューサーが、先月末で同社を退社、新会社LAMBDA FILM株式会社を設立した。
▼【TV】『けいおん!』放映開始(3日)
かきふらいの4コママンガを原作に、監督・山田尚子、キャラクターデザイン・堀口悠紀子、シリーズ構成・吉田玲子と女性スタッフを中心にして、京都アニメーションが制作。軽音楽部を舞台にした女子高生の何気ない日常を描いている。本年を代表する人気作となり、劇中に登場する楽器にまで注目が集まった。
▼【TV】『真マジンガー 衝撃!Z編』放映開始(4日)
『ジャイアント・ロボ』『鉄人28号』に続き、今川泰宏がレトロ・ロボット物を原作への強いリスペクトとともにアニメ化。
今年はロボットものが急増、劇場作品では『装甲騎兵ボトムズ』『天元突破グレンラガン』『エヴァンゲリヲン』『交響詩篇エウレカセブン』『ヤッターマン』『マクロスF』が公開されている。
▼【TV】『鋼の錬金術師』新作放映開始(5日)
『鋼の錬金術師』の新TVシリーズがスタート。再び、原作を一からアニメ化。かつてのTVアニメと異なり、今のところ原作を忠実に追いかけている。
▼【ビジネス】動画工房がTYOグループを離脱(23日)
動画工房がTYOグループを離脱した。理由についてTYO側では、経営方針について動画工房経営陣との間で意見の相違が生じたため、としている。同月15日には、5pb.も同グループより離脱している。
▼【イベント】蒼月昇の正体がついに明らかに(25日)
『機動戦士ガンダム00』1期、2期にのみ登場する謎の新人声優・蒼月昇。誌面への登場もサングラス姿で、長く覆面声優として活動していたが、この日行われた「Gフェスティバル2009」において、ついにサングラスを外し、その正体を明かした。
▼【出来事】国立メディア芸術総合センター構想発表(28日)
かねてよりマンガ・アニメ・ゲーム・メディアアートをまとめて、文化庁ではメディア芸術と称し、その発展を促してきていた。そのための拠点作りを促す答申はかねてよりあったが、緊急経済対策の一角として、この28日に計画が急浮上。補正予算に施設建設のためとして117億円というまとまった費用が計上された事から、大きな議論を巻き起こした。計画自体が見切り発車であった事もあり、批判的な立場からは「アニメの殿堂」「国立マンガ喫茶」と揶揄されるなど、迷走。民主党連立政権の誕生を受け、10月16日には予算の執行が停止され、計画は白紙撤回となった。
●5月
▼【出来事】美大講師がアニメーターの業績を詐称(1日)
制作会社カラーは、美大講師・本田健が、同社所属のアニメーター本田雄の業績を詐称し、講義を行っていた事実を公表した。女子美術大学芸術学部メディアアート学科で非常勤講師を務めていた際、本田雄の業績・経歴を自分のもののように発言をしながら講義をしていたことが確認できたという。尚美学園大学でも同様の行為をしていたとみられる。
▼【TV】寺門通CD発売延期中(14日)
この日放映の『銀魂』157話にて、「※すいません 結局関係各社および腰のためお通ちゃんのCD発売延期中です。」とのテロップが出た。
▼【TV】『涼宮ハルヒの憂鬱』新作エピソードを放映(21日)
4月より再放映中の『涼宮ハルヒの憂鬱』で、第8話として新作エピソード「笹の葉ラプソディ」を放映。さらに第12話より第19話まで8話に渡って「エンドレスエイト」を放映した。「エンドレスエイト」は、夏休み後半を何度もループし新学期を迎えられなくなるという劇中の出来事そのままに、ほぼ同じ構成の台本に基づくエピソードを繰り返したため、賛否が渦巻いた。なお、この再放映は、本放映と異なり、リリース時と同じく作品内の時間軸に沿った順序での放映だった。
▼【ビジネス】アニメーター実態調査を公表(22日)
アニメーター・演出家協会(JAniCA)によるシンポジウムが開かれ、協会が行った実態調査の結果が明らかになった。それによると、平均年収は、20代で110万円、30代でも214万円という厳しい実態。回答者は700人近くで、これだけの規模の調査は初めてという。
●6月
▼【TV】『ヤン坊マー坊 天気予報』放映50周年(1日)
ヤンマーが提供する天気予報のミニ番組『ヤン坊マー坊 天気予報』がこの日50周年を迎えた。同番組は1959年6月1日の気象記念日より放送をスタート。アニメーションは明通の中邨靖夫が手がけている。
▼【出来事】水樹奈々がオリコンランキング1位に(9日)
水樹奈々のアルバム『ULTIMATE DIAMOND』が、オリコンの週間推定売り上げ枚数で1位を獲得した。同社によれば、1968年の発表開始以来、シングル、アルバム含め、声優の1位獲得は今回が初めてという。水樹は前作、2007年11月発売の『GREAT ACTIVITY』のアルバム2位が最高。それまでは、林原めぐみの『bertemu』(1996年11月発売)、坂本真綾『シングルコレクション+ニコパチ』(2003年7月発売)の3位が、声優アルバムランクインの最高記録だという。
▼【出来事】「ヱヴァンゲリヲン箱根補完マップ」配布(11日)
箱根町観光協会が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』とタイアップした観光パンフレットを配布。4〜6日の先行配布には4000人が殺到。この日も10分ほどで用意した400枚が終了した。
▼【TV】『サザエさん』フネに急遽代役(14日)
この日放映の『サザエさん』のフネ役が麻生美代子から谷育子に変更となった。麻生美代子が急病のためという。麻生は翌週より無事復帰した。
▼【TV】『バスカッシュ!』監督交代(25日)
番組公式サイトで、監督が板垣伸から佐藤英一に交代したと告知された。その理由について、サテライトの佐藤道明代表取締役は「ドラマ性、エンターテインメント性をより色濃く表現し、作品を強化していくため」と説明している。
▼【劇場】『ヱヴァンゲリオン新劇場版:破』公開(26日)
全国約120スクリーンと中規模のスタートにもかかわらず、初日2日目だけで35万人以上を動員、興収5億以上を集めた。多くの劇場で1日の動員新記録が生まれたという。『序』と異なり、内容もTVシリーズから大きく舵を切っている。40億に至る大ヒットを記録した。
▼【イベント】『ファースト・スクワッド』モスクワ国際映画祭特別賞受賞(28日)
第31回モスクワ国際映画祭パースペクティブ部門に出品された日本・ロシア・カナダの合作『ファースト・スクワッド』が特別賞「コメルサント賞」を受賞。同作品はアニメーション制作をスタジオ4℃、監督を芦野芳晴が務めている。
▼【出来事】『崖の上のポニョ』ドキュメンタリーが発売延期(30日)
7月3日に予定していた「ポニョはこうして生まれた。〜宮崎駿の思考過程〜」のDVDとBlu-rayの発売が急遽延期となった。これは、ドキュメンタリー中で流れている、宮崎監督が聞いている音楽について、権利処理がなされていない事が判明したため。その後、12月8日に無事発売となった。
●7月
▼【ビジネス】TYOアニメーションズ発足(1日)
TYO傘下のアニメ制作会社、ゆめ太カンパニーとハルフィルムメーカーが合併、TYOアニメーションズとなった。同じく傘下であった動画工房は4月にグループを離脱している。
▼【TV】『化物語』放映開始(3日)
怪異に魅入られた高校生の男女を主人公にした、西尾維新の人気小説をアニメ化。新房昭之監督以下、シャフトのスタッフ陣は、原作の軽妙な台詞回しを活かしながら、スタイリッシュな映像に仕上げている。オリコンによれば、第1巻のBlu-ray Discの販売が5万枚を超える大ヒットとなった。
▼【出来事】池澤春菜のストーカー逮捕(10日)
声優の池澤春菜へ嫌がらせの容疑で、岩手県の20代男性がストーカー規制法違反で逮捕された。男性は男性は掲示板への書き込み、メール送信を繰り返していたとされる。池澤は2月24日に、ストーカー行為に悩まされている事を、自身の公式サイトで明らかにしていた。
▼【イベント】ガンダム30周年、1/1ガンダム公開(11日)
『機動戦士ガンダム』公開30周年を記念して、「ガンダム30周年プロジェクト」が立ち上げられ、様々なイベントが開かれた。この日、東京・お台場に1/1サイズのガンダム立像を設置公開。8月31日の最終日までに415万人が来場した。また、近くの有明のビッグサイトでは8月21日から23日までの3日間、「GUNDAM BIG EXPO」が開催された。立像はこのイベントのみ公開の予定だったが、好評を受け、来年にも東静岡駅前に移設される予定。
▼【出来事】『涼宮ハルヒの憂鬱』新作について山本寛がお詫び?(19日)
米国ボルチモアで開かれたOtakon 2009に山本寛監督が参加。物議を醸している「エンドレスエイト」についてコメントを求められ、「製作委員会SOS団を代表して、この場でお詫びしたいと思います」と発言した。山本監督は新作『涼宮ハルヒ』には参加しておらず、また当然ながら、製作委員会を代表する立場にもない。この発言について山本自身はブログのコメント欄で「『私がハルヒ二期の企画段階の最初期に関わっていた』ということであり、その関わりの中での自分の行動に対し責任を感じ、謝罪した」としている。
▼【訃報】金田伊功(21日)
心筋梗塞にて。57歳。第1次アニメブームを代表するスターアニメーターであり、アニメの表現に大きな革新をもたらした1人。近年はスクウェア・エニックスに籍を置き、ゲームムービーなどの制作に携わっていた。
▼【訃報】高久進(22日)
76歳。脚本家として特撮、アニメ、刑事ドラマ等で活躍した。アニメの代表作に『マジンガーZ』がある。
▼【劇場】劇場版『ポケモン』累計動員数5000万人突破(29日)
「劇場版 ポケットモンスター」シリーズの観客動員数が累計で5000万人を超えた。
▼【ビジネス】ゴンゾ上場廃止(30日)
ゴンゾの株式上場が廃止となった。東証マザーズに上場、アニメバブルの象徴的存在だった同社だが、昨年3月期決算で債務超過に転落。その後、事業の回復を果たせなかったた事による。本年4月には持ち株会社であるGDHがゴンゾを吸収、オンラインゲーム子会社やデジタル部門を売却するなどしたが、増資計画も頓挫、監査法人が決算の監査を拒否するなど、混乱が相次いでいた。
●8月
▼【劇場】『サマーウォーズ』公開(1日)
9月10日までに観客動員が100万人を突破。最終的に興収16億を超えるスマッシュヒットとなった。9月9日には首相指名を控えていた鳩山夫妻も鑑賞している。
▼【TV】『名探偵コナン』EDノンクレジットで放映(1日)
『名探偵コナン』543話「魚が消える一角岩(後編)」EDがノンクレジットで放映された。
▼【TV】『かなめも』5話にダイジェスト映像(3日)
テレビ東京系列でこの日放映された『かなめも』5話「はじめての、みんなでお風呂」のBパート終わりに「第5話 ダイジェスト映像」がついた。サブタイトルどおり、Bパートの舞台は大半が銭湯で、放映用にかなりの修正が施されていた。
▼【イベント】ロカルノ映画祭で日本アニメ回顧特集(5日)
南スイスのロカルノ国際映画祭にて「マンガインパクト」と題した日本アニメの大回顧特集が組まれた。戦前の作品から『つみきのいえ』までTVアニメも含めて100本前後を上映。さらに、高畑勲、富野由悠季に名誉豹賞が贈られた。
▼【劇場】『CENCOROLL』公開(22日)
奇妙な生物と共生する男子高校生と、少女の出会いを描く青春ファンタジーアクション。宇木敦哉が監督・脚本・原画等を1人で担当、30分の短編に仕上げた。東京都のクリエイター支援プロジェクト「動画革命東京」の支援を受けている。
▼【出来事】門脇舞以を脅迫した男性を逮捕(27日)
門脇舞以の所属事務所に「1か月以内にお前の両親を殺す」などと書いた手紙を送りつけた容疑で、福岡県に住む20代の男性が警視庁に逮捕された。男性は彼女のファンで、「彼女が不倫をしている」とのネットの中傷の書き込みを信じ込んだため、と供述。
▼【TV】『それいけ!アンパンマン』1000回(28日)
この日の放映で放映1000回を数えた。7月16日には「単独のアニメシリーズでのキャラクター数、世界最多」としてギネスの世界記録に認定された事を、日本テレビが明らかにしている。1988年の放送開始から今年3月までに、劇場作品を含めて1768体が登場したという。
▼【ビジネス】『ONE PIECE』を日米同日配信(29日)
米国のネット配信事業大手・ファニメーションが、『ONE PIECE』の北米での同日配信を開始。東映アニメーションと集英社、フジテレビジョンと共同で、フジテレビでの放映1時間後に北米の『ONE PIECE』公式サイトで無料ネット配信を行う。当初は5月30日に行われる予定だったが、配信予定のエピソードが日本での放映直前にネット上に流出する事件があり、配信を見合わせていた。
▼【イベント】金田伊功を送る会(30日)
アニドウ他、縁のある関係者多数が発起人となり、7月に逝去した金田伊功を追悼するイベントが開かれた。会場の杉並公会堂に業界関係者・ファン1000人以上が集まる中、故人が参加した作品やプライベートビデオが上映され、野田卓雄、亀垣一、平山智、本橋秀之、庵野秀明、友永和秀、りんたろうが登壇して弔辞を述べた。
●9月
▼【ビジネス】Yahoo! 動画とGyaOが統合(7日)
4月7日に、ヤフーがUSENからGyaOの株式を取得。双方の動画配信サイトが統合され、国内最大規模の動画配信事業が誕生した。
▼【訃報】臼井儀人死去(11日)
51歳。『クレヨンしんちゃん』の原作者として知られるマンガ家。この日、群馬県荒船山に出かけたが帰宅せず、19日に山中で遺体が発見された。登山中に滑落死したものと見られる。TVシリーズの放映を危ぶむ声もあったが、シンエイ動画、テレビ朝日等の各社は番組継続を表明している。
▼【ビジネス】JDC信託、信託免許取消(15日)
金融庁はジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)に対する信託免許を取り消す行政処分を発表。JDC信託は日本で初めて、知的財産権の信託投資を扱う会社として発足。アニメ作品『バジリスク 甲賀忍法帖』『STRAIGHT JACKET』などに投資していた。業績悪化に加え、今年に入ってからも、有価証券報告書の虚偽記載の発覚、役員の頻繁な交代など、混乱が続いていた。
▼【出来事】神谷明、毛利小五郎役解任(18日)
声優の神谷明が「私神谷 明は、昨日をもって名探偵コナン の毛利小五郎役を解かれました」と、この日、自身のブログで報告。詳しい事情については明らかにしなかったが、「契約上の問題と、信・義・仁の問題」だと述べた。同日、よみうりテレビも事実を認めた。神谷演じる小五郎は9月26日放映の第548話「犯人との二日間(二日目)」まで。10月31日放映の第553話 「ザ・取調室」より、小山力也が引き継いだ。
●10月
▼【TV】『ミラクル☆トレイン』放映開始(5日)
『ミラクル☆トレイン 〜大江戸線へようこそ〜』は、タイトルどおり都営大江戸線を舞台に、擬人化された「駅」が、毎回、女性ゲストの悩みを解決するというストーリー。いかにも色もの的な企画先行の作品だが、カサヰケンイチ監督以下、スタッフは、シチュエーション・コメディ的な作りを活かして、堅実な作品に仕上げた。
▼【TV】『そらのおとしもの』第2話放映(12日)
第2話「天翔ける虹色下着」にて、サブタイトルどおり、パンツが往年の名曲「岬めぐり」にのって、群れをなし世界中の空を飛び回り、そのシュールな映像が話題となった。
『NEEDLESS』『けんぷファー』『乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつあ』『QUEEN'S BLADE 玉座を継ぐ者』など、この秋は“エロコメ”の放映が目立った。
▼【イベント】第24回デジタルコンテンツグランプリ発表(13日)
経済産業大臣賞に『サマーウォーズ』、コンテンツ制作スタッフ賞に京都アニメーション、錦賞に富山観光アニメプロジェクト、審査員特別賞に金田伊功が選ばれた。
●11月
▼【劇場】『銀魂』映画化発表(2日)
『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』の来年4月の公開が決定。これについて、TV本編では宣伝しながらも「終わる終わる詐欺の次は、映画やるやる詐欺」「サンライズの作る映画なんてほとんど再編集もの」「どうせ1年後にはレンタル屋に並ぶ」「中身もTVの再放送みたいなものだから、別に観に行かなくていい」など、この作品らしい放言が相次いでいる。
▼【TV】『化物語』13話ネット配信(3日)
13話「つばさキャット其ノ参」はネット配信にての公開。当初告知されていた10月28日から11月2日に配信日が変更となり、さらに作業がずれこみ3日の昼前の配信となった。2日は、遅延の告知代わりに、作業状況がスタッフブログで時々刻々と記されていく異例の事態に。
▼【劇場】『マイマイ』『マクロスF』『東のエデン』続々公開(21日)
この日から『マイマイ新子と千年の魔法』『マクロスF 虚空歌姫』が公開。さらに翌週には『東のエデン 劇場版 I The King of Eden』と、秋から冬にかけて劇場アニメラッシュが続いた。
▼【イベント】「星新一ショートショート特集」がエミー賞受賞(23日)
アメリカのテレビ芸術科学アカデミーが主催するエミー賞。その国際部門、国際エミー賞のコメディ部門で「星新一ショートショート特集」がグランプリを受賞。同作は、アニメも含むオムニバス番組「星新一ショートショート」から選りすぐってまとめたもの。
▼【訃報】丘灯至夫(24日)
92歳。腎不全のため。作詞家として活躍。長く日本コロムビア(現・コロムビアミュージックエンタテインメント)の専属として活動した。アニメでは『ハクション大魔王』『昆虫物語 みなしごハッチ』の主題歌の作詞で知られる。
●12月
▼【イベント】文化庁メディア芸術祭受賞作発表(3日)
アニメーション部門の大賞に『サマーウォーズ』が選ばれた。優秀賞には『屋根裏のポムネンカ』『東京マグニチュード8.0』『電信柱エレミの恋』『The Cable Car』選ばれたほか、特別功労賞が9月に逝去された金田伊功に贈られている。
▼【劇場】『STRONG WORLD ONE PIECE FILM』公開(8日)
初日2日目で興行収入10億円を上げ、公開8日間で20億円を突破する大ヒットとなった。原作者の尾田栄一郎自らが総指揮を担当、入場時には本編につながるエピソード「巻零」を無料配布などの話題もあり、前売り券は東映史上最高の30万枚近くに及んでいた。
▼【TV】『COBRA THE ANIMATION』放映決定(10日)
2010年の1月2日よりBS11にて放映されることが発表となった。監督は当初発表の出崎統から清水恵蔵に、アニメ化されるエピソードも「6人の勇士」から変更となった。当初は本年7月4日のスタートが告知されていたが、放映1ヶ月前の6月2日に急遽延期が発表されていた。
▼【劇場】『宇宙戦艦ヤマト復活篇』公開(12日)
『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの新作劇場公開は実に26年ぶり。38歳となった古代進の戦いを描く。西崎義展は企画・原作・総指揮を務める他、今回は監督でもクレジットされた。
▼【劇場】スタジオジブリの新作『借りぐらしのアリエッティ』発表(16日)
東宝が来年公開のラインナップを発表。スタジオジブリの新作の夏公開が明らかになった。『借りぐらしのアリエッティ』は児童文学の名作「床下の小人たち」が原作。米林宏昌の監督デビュー作となる。
▼【劇場】『よなよな ペンギン』公開(23日)
りんたろう監督がフル3DCGに挑んで話題となる。りん監督には珍しい、監督自身が原作を手がけたオリジナル作品である。
▼【出来事】水樹奈々「NHK紅白歌合戦」初出場(31日)
声優・歌手として活動する水樹奈々が、念願の「NHK紅白歌合戦」に出場する(発表は11月23日)。
(09.12.28)