人気ゲームの壮大な世界観をアニメで描く
注目のアンソロジー『Halo Legends』

　全世界で累計約2700万本を売り上げたXbox 360対応ゲーム「Halo」シリーズ。シューティングゲームとしての面白さもさることながら、壮大かつ奥行きのあるミステリアスな世界観が世界中のゲームファンから支持されている。その作品世界の背景にある「ゲームでは描かれなかった“Haloユニバース”の物語」を、全７話・計８エピソードのアニメーションアンソロジーとして映像化したのが、この『Halo Legends』だ。制作には日本のアニメスタジオ５社が参加。『THE ANIMATRIX』『BATMAN　GOTHAM KNIGHT』といった同趣向の作品を手がけてきたSTUDIO 4℃、Production I.Gのほか、bones、カシオエンターテイメント、さらに老舗の東映アニメーションが名を連ねている。
　各話それぞれにスタジオのカラーが表れた内容で楽しませてくれるが、注目はやはり東映アニメーション制作による一編「Odd One Out」。基本的にはシリアスで重たい物語が展開する「Halo」ワールドの中では異色のコメディであり、本筋とは関係のないサブエピソードとして東映チームが思う存分に遊びまくったかのような快作に仕上がっている。監督に西尾大介、キャラクターデザインは中鶴勝祥とくれば、ご存知「DRAGON BALL」シリーズの名コンビ（中鶴は袴田裕二と共同で作画監督も兼任）。絵柄も世界観も「どこが『Halo』やねん！」と突っ込みたくなるほどの暴れっぷりだが、単なるお遊びには終わっていない。パワフルな躍動感に溢れたアクション演出は圧倒的な魅力を放っており、東映アニメ調とゲーム世界との意外なマッチングも新鮮だ。劇中には『ふたりはプリキュア』のセルフパロディ的なカットも紛れ込んでいたりして、いろんな意味で楽しい作品である。また、同じく「DRAGON BALL」シリーズでアニメーターとして活躍していた菅野利之監督によるエピソード「The Babysitter」（STUDIO 4℃制作）も端正な仕上がりの秀作だ。
　bones制作の「Prototype」も、アニメスタイル読者必見のエピソード。「板野サーカスの後継者」こと村木靖が『Glasshoppa!』用の短編「彼岸」以来、久々に演出を手がけた作品で、本作でも重厚かつダイナミックな戦闘シーンを大迫力で展開させている。荒牧伸志デザインによるパワードスーツが繰り広げる、縦横無尽の空中戦も含めたアクションは圧巻のひと言。しっとりとした悲劇的ドラマ部分の演出は『交響詩篇　エウレカセブン』の京田知己監督が手がけ、それぞれの得意分野を生かした共同作業が行われている。キャラクターデザイン・キャラ作画監督は、斎藤恒徳が担当。作品全体のメランコリックなムードとも合わせて『ストレンヂア　無皇刃譚』も思い出させる、bonesらしい一編である。
　ＤＶＤとBlu-rayには映像特典も満載。メイキング映像には各エピソードのメインスタッフ、参加スタジオのプロデューサー陣、クリエイティブ・スーパーバイザーを務めた押井守と荒牧伸志らが登場。もちろんゲーム「Halo」のクリエイターチームも顔を出す。さらに、完成版本編と比較できるラフカットアニメーションも、全エピソード分まるごと収録されている。「Halo」シリーズらしい密度の濃さを堪能できる内容だ。

共通仕様・封入特典：日本オリジナルジャケットデザイン／日本オリジナル絵コンテ集（初回版のみ）／日本オリジナルポストカード（初回版のみ）
発売・販売／ワーナー・ホーム・ビデオ

●関連サイト
ワーナー エンターテイメント ジャパン
http://www.warnerbros.co.jp

（10.03.04）

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