第412回 『超神伝説 うろつき童子2 —超神呪殺篇—』続き
またまたお断りをする。今日の原稿でも、露骨な事を書く。やっぱり、そういった話題が苦手な方は、遠慮してもらった方がいいかもしれない。
『超神伝説 うろつき童子2 —超神呪殺篇—』の続きだ。魔人からもらったペニスで強大な力を手に入れた仁木は、学園の番長グループを軽く蹴散らし、女生徒達と次々に交わる。昨日までとは別人のようなイケイケぶりだ。しかし、女生徒との行為中に、明美の事を思い出す。彼女への想いは、純粋な恋慕だった。明美への想いが胸に去来した時、彼の股間に変化が起きる。ペニスがドロドロと溶けて、腐って落ちてしまったのだ。「助けてくれー!」と絶叫する仁木。その後、仁木は、魔人達にチャンスを与えられ、南雲抹殺のために動きだす事になる。それが後半の展開だ。
ペニスが腐って落ちる場面は、切断シーンに次ぐインパクトだった。そして、単にショッキングなだけでなく、『うろつき童子』という作品の根本にある価値観を示している。つまり、破壊願望や憎しみのような禍々しい感情は強さに繋がる。そして、愛は人を弱くする。セックスとバイオレンスの作品に相応しい価値観だ。勿論、それは誰しもが共感できるものではないが、ネガティブな方向に突っ走っている感覚が痛快だった。
『2』は、冒頭で大正時代の東京を舞台とし、天邪鬼と水角獣の因縁を描き、その後、現在に舞台を移して、天邪鬼と水角獣の対決と、仁木のドラマを並行して展開。天邪鬼が水角獣を倒し、南雲が仁木を倒したところで一段落するかと思えば、そこから、さらに一波乱ある。天邪鬼は、南雲と超神について疑問を抱き、獣人界の長老のところに行く。老い先短い長老は、最後の力を振り絞って、天邪鬼を未来に跳ばす。未来では、超神と思われる怪物が人間界を蹂躙しており、まるで最終戦争後の世界のようになっていた。どうしてこんな事になったのか。怪物は南雲であるようだ。彼は何を考えているのか。荒廃した未来世界で、大阪城のみが無傷で残っていた。そこに超神伝説の秘密があるに違いない。天邪鬼が大阪城に迫ろうとした時、長老の力が尽き、彼は現在に引き戻されてしまうのだった。ここまでが『2』の内容だ。
天邪鬼と水角獣の戦い、南雲と仁木の戦いだけでもお腹いっぱいなのに、さらに未来世界で大きな謎を提示して終わるかたちだ。大正時代に始まり、現在でのドラマを経て、未来に飛躍していく構成も、世界の広がりが感じられてよかった。『2』は、『1』や『3』よりも尺が長く、1時間ほどの長さだ。その1時間に、たっぷりとドラマ、アクション、エロスが詰め込まれていた。濃厚であり、見応えのある1本だった。
どこまで脚本どおりのなのかは分からないし、他のスタッフのアイデアも投入されているはずだ。また、この作品を代表作だとするのは本人にとっては迷惑かもしれないが、僕にとって、會川昇の代表作は『超神伝説 うろつき童子2 —超神呪殺篇—』だ。
第413回へつづく
超神伝説 うろつき童子
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(10.07.21)