008『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(2000年・劇場)
テキスト担当/小林大樹
【あらすじ】
デジモンをパートナーに持つ8人の選ばれし子供達。デジタルワールドでの戦いを終えた彼らは現実世界へ戻り、それぞれ平穏な春休みを過ごしていた。そんな中、インターネット上に突如誕生した謎のデジモンの影響により、全国のコンピュータで次々と誤作動が起こり始める。この事態に対抗すべく、リーダーの八神太一は仲間達に再び召集をかけるのだが……。
【解説】
デジタル生命体「デジモン」と子供達との交流を描いた『デジモンアドベンチャー』シリーズの劇場版第2弾。劇場第1作をダイナミズム溢れるフィルムに仕上げ、新進気鋭の若手監督としてその才能を見せた細田守の初期代表作である。TVシリーズの後日談にあたる本作はドラマの大半を室内劇としながらも、影を廃したシャープなキャラクター作画や、実景を参考にした緻密なレイアウト・背景美術によって、まったく飽きのこないラジカルな画面作りを実現。デジタル制作により表現の幅の広がった色彩設計もカラフルな電脳空間とマッチしている。
後の監督作『サマーウォーズ』(2009年)に通ずるリアルタイム・サスペンス的な展開は普遍的な魅力に満ちており、「同ポジション」「FIX」といった細田作品の特徴である演出手法もすでに徹底。クロスカッティングでテンポよくつなげられたユーモラスなギャグとシリアスな電脳戦のバランス感覚も絶妙で、日常/非日常の軽快なアンサンブルが堪能できるだろう。
【スタッフ】
監督/細田守
脚本/吉田玲子
キャラクターデザイン・作画監督/山下高明、中山久司
美術監督/田村せいき
音楽/有澤孝紀
アニメーション制作/東映アニメーション
声の出演/藤田淑子、天神有海、風間勇刀、水谷優子
009へつづく
(12.06.29)