第236回
『ベン・トー』放映間近
アニメ『ベン・トー』、いよいよ放映間近です!
って事で、徐々に『ベン・トー』の話題へ。第1話の先行上映会イベントやらも無事終わったのでここで書ける内容も少し広がったわけです——と言ってもやっぱり1話の内容とかはまだ触れるわけにはいきませんが。
まず、とっくに発表されてるメインスタッフの紹介。原作はアサウラ先生で原作イラストは柴乃櫂人先生。お2人とも若くて賢い先生方でアニメ化に関して協力的です。アサウラ先生はアニメ用にスーパーの名前や地域名を考えてくださったり、柴乃先生も原作イラストでは判明しづらかったキャラの後ろ姿を描いてくださったり、ありがたいです。特にアサウラ先生には毎週アフレコにも出席していただき、各キャラの設定や言い回し、各固有名詞のイントネーションなど、その場でアドバイスとかも現在進行形でお世話になってます(2011年9月末現在)。あとアサウラ先生と自分とはお互い「人志松本のすべらない話」好きだという事でも盛り上がったりしました(板垣はシリーズすべてDVD持ってます)。とりあえずアニメ制作が一区切り落ち着いたところでゆっくりお話したい先生方です。
次にシリーズ構成・脚本のふでやすかずゆき君。ふでやす君とは以前マッドハウスのとある企画でご一緒して(この企画は現在凍結中)以来のおつきあいで、今回はシリーズ構成という大役をお願いしました。諸事情ありまして、ふでやす君が参加する前に自分が各話のラフ構成案(イラスト入り)を上げてたため(よって板垣も「構成」でクレジットされてるわけ)、それをブラッシュアップしてふでやす版シリーズ構成に仕上げてもらうかたちになりました。若干自由度は低くなっての参加にもかかわらず、ちゃんと原作のよいところを活かしつつ、彼の持ち味も組み込んでくれたと思います。特にゲームに詳しくない板垣にとって、ふでやす君のセガ知識には本当に感謝でした(当然現在は脚本作業はとっくに終わってるので過去形)。やっぱり自分の知らない事を知ってるスタッフと組むと得るところが大きいんです、アニメ制作という集団作業は。あと以前にも書いたと思いますが同い年(同学年)なのであーだこーだざっくばらんに話せたのも楽しかったです。
で、キャラクターデザイン・総作画監督は平田雄三さん。『グレンラガン』の時にガイナックスで知り合って以来(『グレン』では同じ話数を担当した事はなかったですが)のおつきあい。今回は本編はもちろんですが、雑誌などの版権モノも、作監修正から仕上げや特効まで拘ってくださいました。本作でも平田さんのアニメらしい艶っぽさが随所に発揮されることと思います。
そして、今回のシリーズで自分が制作Pに「絶対必要だ!」と懇願してセッティングしてもらった役職に「弁当作画監督」というのがあります。もちろんこのアニメの主役は佐藤であり槍水ですが、タイトルにもあるとおり「弁当」ももうひとつの主役であると最初っから認識していたので「ぜひ、誰かいないか!?」と。そこでdavid productionにいる方を紹介されたわけですが、プロモーションフィルムから第1話へとその方の仕事を見て、その作画の確かさ・誠実さに感動を覚えました。数年前、某巨匠監督がご自身が手がけた某料理アニメについてこんな事を言ってました。
アニメで描いた料理なんて、所詮は絵に描いた餅だ
と。その言葉が数年間ずっと頭の片隅に引っかかってた上でのこの『ベン・トー』における弁当の作監修正。しかも今作はスーパーに置かれた半額弁当——冷えてます。この時点では湯気に頼る事ができません! その上、原作からの設定どおり半額弁当を電子レンジで温めはするんで、食べる際は湯気も出すんですが、食べる場所は月明かりの下で、なのです。月明かり——夜色。この条件で食べ物を美味しそうにに見せるのは至難の業で、これはもう箸で摘む時の質感・量感などの極々少ない情報にしか頼れません。それが弁当作監の技。いろいろ書き連ねたいのですが、一言で言い切るならばこうでしょう。
アニメで描いた料理も捨てたモンじゃないですよ!
ま、作画に関しては放映中にもっと書こうと思うのでこのへんで。
あと、音楽は岩崎琢さん! 『BLACK CAT』でご一緒して以来、これまた「ぜひに!」とお願いして、OKをいただいてからはどれほど喜んだ事か! 自分からお願いしたのは、
という事でした。つまり、
自分は化学反応が好きです。俺の作りたい画に合わせた音楽というより、多少喧嘩を覚悟で「あれとこれが合わさったらこうなったんだ!」という予想外の楽しさがこの作品には必要なんですよ!
って話をしたんです。そしたら上の画のように「言いましたね(微笑)。そーゆー事言うと好きにやっちゃいますよ」とカッコよく答えてくださって、「よし!」と。その他、雑談で『BLACK CAT』の時や『グレンラガン』のダビングや打ち上げでお会いした時の話などひとしきり。
で、できあがった音楽には大満足! 詳しい内容は皆さんが本放映をご覧になられた後でって事で!
その他にも、いろいろなスタッフに支えられて、鋭意制作中の『ベン・トー』、よろしくお願いします。
(11.09.29)