第239回
『ベン・トー』の話(2)
ああ〜、もう#02まで放映されてたんですね〜!
実際、TVシリーズの監督ってこんなもので、放映開始時期には7割8割は監督の仕事も終わってて、アニメファンの皆さんが思ってる以上に他人事のような言葉がポロポロこぼれ落ちます。もちろん最終話の演出処理などはまだ残ってますが、コンテチェック・演出打ち・音響・ラッシュチェックなどのいわゆる「監督のお仕事」は半分以上終わってるんです。
で、まあ前回の続きを書いてみようと思います。『ベン・トー』#01で自分がこだわった部分の話の続き——音楽。まずスーパー(マーケット)の店内音楽を作ってもらおう、と。これはもう原作を読んだ瞬間から決めてました。ま、原作でも「おさかな天国」は使ってたし、
狼たちが半額弁当を狙って待ってる時の緊張感を盛り上げるのに対して、やけにムカつくほど陽気な店内音楽は映像との異化効果的に使える!
と思ったわけです。#01のダビングの時は「うん、思ったとおり!」と。音響監督の(明田川)仁さんも「店内音楽は(選曲時)助かる」とおっしゃってました。店内音楽の作詞・作曲は佐々倉有吾さん。オープニングテーマ「LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜」も作曲されてる方で、この間ダビングの見学にいらっしゃった際、初めてお会いしましたが、岩崎琢(音楽担当)さんといい、ミュージシャンの方って痩せててカッコよくて羨ましかったです。
そして何より#01でいちばんこだわったのは
初回(#01)から何が何でも完成したオープニングをつける!
って事でした。第1回目の放映にOPアニメが間に合わないのだけは(最近はだいぶ減りましたが)避けたかったんです。それはシリーズ構成的に#01がどうしても謎解き型にストーリーを進めざるを得ず、前半の推進力がやや弱いという事が分かっていたからです。となると、アバンの後OPで勢いをつける方が視聴者の皆さんが観やすい! と思い、ポニーキャニオン・高取(昌史)さんに
OP曲をできるだけ早くください!
とお願いしました。高取さんとは『砂ぼうず』でもご一緒してたので、いろいろお願いしやすくて本当に助かってます(現在進行形)。自分の方からOP曲に要望したのは
テンポと抑揚と元気があって、社会人のカラオケで堂々と歌える「アニソン」!
って事でした。今の若い人たちはそうでもないかもしれませんが、我々の世代は実家の友人たち(普通のサラリーマン)とカラオケ行ったりする時に、アニソンを歌うのって若干照れが伴うんです。だから若い人たちにはもちろん、我々の年代のアニメファンの方たちにも楽しく歌える「アニソン」を、と。
狙いどおり曲に上げていただきました!
そして、OPコンテで考えた事は——
じゃ、次回
(11.10.20)