第269回
思い出の「玉」
〜今月も原画(1)
つまり、大塚さんが描いた板垣の似顔絵入りのケン玉だったのです、コレは!
こないだ自宅の引越しの際、久々に発掘された思い出のケン玉とゆーわけでした。誰も知りたがってない情報を一方的に書き綴るのがこの連載なので、たまにはこんな話もあります。
そして、話は飛んで今月も原画月間。
『LUPIN the Third 峰不二子という女』第10話の原画描きました!
今回は原画のみなので気楽で気楽で。物語的にもいよいよ終盤でワクワクしながら黙々と描いてたんです。担当パートは
——以上、計40カット!
- サブタイトル明け「峰不二子!」と叫び起きるルパン〜梟頭が去るまでのルパンのアジトのシーンいっぱい
- アネモネ畑で銭形の背後に研究員たちが現れてマシンガンをぶっ放す〜発砲しながら左手前へ走り抜けるルパンと銭形まで(横歩きのカットからは別な方です)
- あとラスト、再びルパンのアジトの数カット(冒頭のアジトのシーンの素材兼用ありで)
です。観た方はお分かりのとおり10話は全体的にアクションが少ないので、むしろアジト内(室内)のレイアウトやトイレで便器の蓋を閉めたりする普通のカットが楽しく描けました。いちばん大変だったのは
撃ち抜かれた研究員の頭が蝶の大群に化けて散るカット
で、あーゆーのは1匹1匹中割で追うのは不可能(そういう原画を描く困ったアニメーターがたまにいますが)だから、ほぼ全原画で描かなきゃなりません。ハッキリ言って飽きます(汗)! でも、そういったただひたすら根性で描ききらなきゃならないカットに取り組んでたら突如、
全部自分で原画を描く短編とか作りたいな〜
などと考えたりしました。それこそ自主制作とかでもいいので、自分の好きなキャラ・世界観で原画描きまくってみたいな……と。これは演出家としてよりアニメーターとしてです。
今、この歳にしか描けない原画ってのが確実にある
し、30代の総決算的なフィルムが作れたら楽しいんだろうな。自分は原画集を作る趣味がないし、どーせ作るなら本よりフィルム! そっちの方がだんぜん面白いし。
……ま、あくまで夢です、夢。
(12.06.07)