板垣伸のいきあたりバッタリ!

第271回
仕事場の移動

 この連載ももう5年以上やっててだいぶ「コラム」っぽくなってきたと思います(そうか? ま、いいや)。元々、連載の話をいただいた時、スーパーアニメーターでもなく天才演出家でもない凡人の自分が、読者の皆さまにお話できる事は「ごく普通のアニメ業界人の日常を包み隠さずお伝えする」くらいしかないと思ったんです。しかし近頃になって(ここ1〜2年?)これを読んだという方より自分の親戚や知り合いづてに

アニメの仕事に興味があるけど、どうしたらいいか迷っている

的な相談をたまに受けます(といってもまだ2件ですが)。それらには俺、

絶対にやってみた方がいい、楽しいから!

と即答します。その「楽しさ」が少しでも伝われば、と思いつつ今週も筆を執るとします。

 で、意外とワクワクするのが「仕事場の移動」です。これはアニメーターより演出家の方が頻繁に行われる場合が多いもので、他社から受けた仕事を持ち込んでOKな身分ならまだしも、自分のような根なし草演出家はそれぞれの作品の制作会社(スタジオ)に赴くのがスジだし、その方がいろいろなアニメーターさんや制作さんと知りあえて面白いんです。そして今週からは、とある阿佐ヶ谷のスタジオに通う事になりました。ちょっと変わったシリーズの仕事を任されたからです。内容はまだ発表できませんが、作り方自体が変則的で、短いスケジュールで一気に何本も作る感じになりそうで、これまたどんなフィルムができるか自分でも楽しみかも。まあ、その話はまた後ほどにして、とにかく新しいスタジオに荷物を運ぶんです。
 元来、俺はどこのスタジオに入ってもあんまり大荷物を広げない事で通ってます。思えばそれはテレコムの時からそうで、辞める時などはとても7年近くも在籍したとは思えないくらいの軽さでした。

 その後もあちこちのスタジオに席を移しましたが、毎回多くてダンボール箱で3箱くらい? 業界外の方からするとそれでも「多い!」と言うかもしれませんが、本物の「大荷物クリエイター」はダンボール10箱くらいは当り前で、20箱ってのも聞いた事ありますからね! ところが自分の場合はよく「監督の机とは思えないくらい荷物が少ない」と言われます。監督って、人によっては各作品のシナリオやコンテ・設定を捨てずにとっておく方もおられますし、資料本だってドンドン増えていくもので、必然的に荷物が多くなるんですが、自分はコンテが上がると即シナリオは捨てちゃうし、その作品を完パケ(納品)すると、コンテや設定も捨てます。さらに製品版(BD&DVD)が届くと白箱(完パケしたTV放映版のDVD)も捨てちゃって……つまり、最後は商品だけが残るんです。資料も買う時はもちろん買うんですが、会社(スタジオ)で買ったものは会社へ置いて出るし、自費で買ったものは使わなくなった時点でこまめに持ち帰るので、机の上に溜まらないんです。

そんな感じでとりあえず気分をリセットして新しいスタジオへ!

 まず、そこのスタジオに入るに必ず持参するものが以下。





(12.06.21)