板垣伸のいきあたりバッタリ!

第274回
国松さまと正義

今、『国松さまのお通りだい』を観てるのでこんな画です!

 TVアニメ『国松さまのお通りだい』は1971年10月〜1972年9月までフジテレビ系で放映された全46話シリーズ。原作はちばてつや先生の「ハリスの旋風」で1966〜67年のモノクロ版(こちらのタイトルは原題のまま『ハリスの旋風』)に次いで2度めのアニメ化で、もちろんカラーです。制作は虫プロダクションで、監督(チーフディレクター)は波多正美さんで作監は杉野昭夫さん……早い話が『あしたのジョー』(1970〜71年)の後番組。監督ほか何人かのスタッフは違っても、ま、ほぼほぼ『ジョー』のスタッフがそのまま制作に携わった作品がこの『国松さまのお通りだい』と言っていいでしょう。出崎(統)さんもペンネームの「崎枕」で各話演出をやってるのが嬉しく、特に40話「おれたちチビッコ渡り鳥」は『あしたのジョー』でお馴染みの子どもたち——サチや太郎やキノコ、ヒョロ松、トン吉らが名前もデザインも役者さんたちまでそのまま、しかも泪橋や丹下拳闘クラブまで再登場するというお遊びで最高です!
 でもま、アニメ版だけでなく、そもそもちば先生の原作自体が俺は大好きなんです。ちなみに我々の世代でリアルタイムで読めたちばマンガは「あした天気になあれ」「のたり松太郎」あたりで、「ハリスの旋風」といったら「あした天気になあれ」の連載開始より10数年前の作品なので、もちろんリアルタイムで読むどころか自分が生まれる10年近く前の作品となります。そんな俺が原作を読んだのは中学生の頃、当時講談社から「KCスペシャル」というシリーズで過去のちば作品を網羅してた際に、でした。

国松くん、いいですね! いま見ても「理想の少年像」だと思います。

 勉強・学校が大嫌いだけど、喧嘩・スポーツは得意な暴れん坊、でも子どもや老人など弱い者には滅法優しい正義の味方! とても魅力的な主人公です、石田国松は。自分は懐古主義大嫌い人間ですが、とにかくいいものはいい! 昔はマンガやアニメでこーゆー主人公を見て「本当の優しさや人情」を小さい頃から学んだんだと思います。もちろん今のマンガ・アニメでもそういった作品はありますが、国松くんがゴールデンタイムの夕飯時に家族揃って観られるってのは、今はありませんよね。本当に国松くんは愛すべき男で、いろんな人情を教えてくれます。国松くんは勉強が苦手だけど、賢いヤツとつるんで金をだまし取ったりはしません。国松くんは学校嫌いで宿題を忘れて、しょっちゅう先生に叱られて廊下に立たされるけど、けっして先生を裏切ったりしません。国松くんは大飯喰らいでゴハン8杯食べるけど、金につられて汚い組織の仲間入りしたりもしません。

皆、国松くんのように生きましょうよ!

 ま、とにかく

(12.07.12)