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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第33回
『D.M.C』情報#12
〜最終回納品祭り(1)〜

 いよいよ『Devil May Cry』も最終回なので四の五の言わず――

連載コラム内短期連載! 板垣的・『Devil May Cry』情報 #12

 制作に入った時は『天元突破グレンラガン』とのかけもちでスタートしたこの『Devil May Cry』ですが、無事『グレン〜』よりも先に最終回を迎える事ができそうです――あたりまえです。こちとら1クール(全12本)なんですから。
 思えば、この『Devil May Cry』という作品、自分にとっては“情報量の多さ”との戦いでした。『BLACK CAT』の時よりも、作画、美術、撮影処理……どれも1.5倍〜2倍な感じです。ぶっちゃけ、普段自分が目指しているスタイルと違い過ぎる事がつらくもあり、楽しくもありました。阿部恒様の描く重厚なキャラにあわせて絵コンテもいつもより“リアル”を意識したつもりです。……いや、正確に言うと意識して始めようと“しました”。
 なにしろ、自分以外のスタッフを見てください。

 キャラデ・総監督/阿部恒
 悪魔デザイン/箕輪豊
 美術監督/青木勝志

 で、制作がマッドハウスとくれば、

 俺が川尻(善昭)様じゃない事の方がおかしい!

 ですよ。これはほっておいてもマッドハウスアニメになるでしょうし、所詮はテレコムの合作アニメ出身で“動いてりゃカゲ・ハイライトなんてなくてOK”系の俺が、過剰に無理したところでたかが知れてます。それともうひとつ、カプコンの小林様より、

 「『Devil〜』って基本は“馬鹿ゲーム”なんですよ。
 だって、なにせ題材は“悪魔”ですからね〜」

 と言われてさらに気が楽になり、“情報量”と“リアル”は阿部様、マッドハウス様に任せて、自分はシナリオをひとまわり馬鹿っぽく、時にウソっぽく、そしてカッコよく(って、いつもとあまり変わらないか)コンテにしようと考えるようになってから、やっと作業が楽しくなっていったんです。
 いや、こういう事を書くのはよくないのかもしれませんが、『Devil May Cry』の制作は楽しい事ばっかじゃありませんでした。はっきり言って、つらい事の方が多かったです。まあ、具体的に書く事は避けますが、何度もブチのめされてはその都度立ち直って、またブチのめされて……の連続だったのは確かです。
 そんな時思い出すのが、『Devil〜』を依頼してきた時、丸山(正雄)様に言われた、この一言でした。


「板垣君。本当に“仕事が上手い人”ってのは“100ある内、ひとつでも面白い部分を見つける事ができる人”の事なんだよ」


 ……こんな感じで自由度で言うと、決して『BLACK CAT』ほど好き勝手はできなかったけど、作業を終え、最終回の納品を終えてみると、

 やっぱり好きですね! 『Devil May Cry』!!

 ダンテもモリソンも大好きです。そして、パティ! 先週放映の第11話と今日の最終回(第12話)は前後編でパティの物語と言っても過言ではありません。
 “パティのお母さん”話に触れた第1話を見て、カンのいい人は予想がついたでしょうね、このラスト。まあ今回は変化球を使うシリーズじゃないので……。
 だからこの11・12話は、

 「パティを幸せにしなければ!!」

 って事だけ考えてきったコンテでした。


 まあ、何にしても最終回。

『Devil May Cry』#12 Stylish!
(脚本/森橋ビンゴ コンテ/板垣伸 演出/川村賢一・板垣伸 作画監督/田崎聡・日向正樹)

9月6日(木)23:00〜 WOWOWスクランブル枠にて放映!


 頑張れパティ!! ……ということで。



(07.09.06)

 
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