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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第63回
「特捜」と「赤かぶ」と『バカ』

 10代20代の諸君、男はすぐオッサンに、女はすぐオバサンになります。

 自分もついこないだ高校を卒業したばかりだと思ってて、気づいたら30過ぎ……。一般的に言うと、

 もう立派にオッサン!!

 これからはもう覚悟を決め、せめて、汚い金をもらう事なく

 清く正しく誠実に年輪を重ねて厚みのある本物のオジサンになりたいと思います。
 ――そう、例えば「特捜最前線」の大滝秀治のような!

 「特捜最前線」とは二谷英明や仮面ライ……じゃない藤岡弘、とか赤レンジャ……いやいや誠直也や宇宙鉄人キョー(もういいって)……夏夕介ら名だたる特撮ヒーローたちがゾロゾロ出演していて、1977年4月〜1987年3月までの10年間もの間子供の頃の俺を楽しませたクソ真面目な特撮のない刑事ドラマの事(出演者の大半が特撮ヒーロー出身のため、「特撮最前線」と呼ばれていたのを知ったのは、比較的最近です)。
 大滝秀治はその「特捜〜」の中で老刑事・船村一平役を演じた俳優さんで、最近でも「明日の記憶」(2006年・堤幸彦監督)や“やずや”のCMなどで大活躍中なので、皆さん御存知かと思います。
 まだ自分が将来オッサンになるなんて微塵も思ってない10歳前後の俺に、



 こんなオッサンに……いや、こんなジイさんになら、なりたい!!

 と思わせるほどの人情・根性・正義漢で最高でした。なんて言うんですかね、カッコつけてないんですよね。今、DVD(BEST SELECTION)BOX1〜4を見返してみると、奥さんに自分のスーツを選んでもらってるシーンとか、呑み屋でグチをこぼすシーンとか、ホント可愛く描かれてて(それでいて取り調べで容疑者を落とす時の迫力!)。人間って面白いですよ、やっぱり。10代20代に大概持ってる“カッコよく見られたい”ってガードが、30代〜40代で除々に外れてってカッコよさなんて眼中になくなってくると、人間本来が誰でも持ってる可愛さが表に出てくるんでしょーか。とにかく子供心に「特捜〜」の大滝秀治を見ていると、何か“一所懸命に生きてみよう!”て気になったんです!

 あ、フランキー堺も!

 「赤かぶ検事奮戦記」も子供の頃大好きでした。これは1980年10月〜1985年まで計4シリーズ。その後2時間スペシャルを3回やった後、1992年に「赤かぶ検事の逆転法廷」ってシリーズまでが主演・フランキー堺で、今現在も「土曜ワイド劇場」枠内でたまに放映される(?)「新・赤かぶ検事」シリーズは主演・橋爪功。俺が一番見てたのはフランキー堺のシリーズ、それも柊茂(フランキー堺)の娘・葉子が片平なぎさ(ちなみに前作は倍賞知恵子でエンディングテロップ時――たぶん制作・松竹絡みが理由なんでしょう――なぜか倍賞の名前だけが“ヤマト起き”〔下から起き上がるようにテロップがINする事〕するのが笑えます)の第2期シリーズが一番記憶にあるみたいです。この「赤かぶ〜」に関しては、法廷ミステリーの面白さはもちろんですが、何より“赤かぶ+ちりめんじゃこのお茶漬け”と“名古屋弁”でしょ。板垣の出身は名古屋ですが、よく間違った名古屋観を話題にする――例えば名古屋の人誰もが「みゃ〜みゃ〜、ぎゃ〜ぎゃ〜」しゃべるとかいいかげん言う奴に一度見てもらいたいのが「赤かぶ」。はっきり言って、赤かぶさん(赤かぶが大好物だというだけでこう呼ばれるフランキー堺演じる柊茂)ほどの名古屋弁をしゃべる人は現在ほとんどいません。そして、どーやら自分はサスペンスやらミステリーのドラマが大好きだと物心ついた時には気づいてて、「赤かぶ〜」もそれが好きで見てたわけですが、この歳になると赤かぶが妻・春子(春川ますみ)と名古屋弁しゃべりつつ赤かぶの漬け物をパリポリ食ってるなにげない日常の方に憧れるようになりました。毎朝市場で買った赤かぶを首から提げてジョギングするオッサンな赤かぶに!



 憧れると言えば、バカボンのパパにも憧れますね!

 『元祖 天才バカボン』のDVD-BOXも揃えちゃいました。これは“さきまくら”=出崎統さんや福冨博さん他の演出、キャラデ・作監の芝山努さんだけでなく、原画陣も近藤喜文さん、川尻善昭さん、さらには自分がテレコムの時お世話になったアニメ界の重鎮・大塚康生様まで! まさに申し分ない傑作アニメシリーズなのは周知の事実だと思います。内容は説明するまでもなく馬鹿なオッサンの話です。

 ――が!

 バカボンのパパはいい――と言うより、バカボン一家はいいですよ、これもオッサンになってから見ると……。だって、パパがどんなにママに怒鳴り飛ばされるようなメチャクチャ馬鹿やっても、バカボンとパパはいつも仲よく一緒に遊び、天才のハジメちゃんも“パパ、パパ”と呼んでくれるし、いくら怒っても最終的にはママはパパが大好きみたいだし。自分はまだ“41歳の春”まではだいぶありますが、バカボンのパパみたいな愛すべき40代になりたいとつくづく思いました。

 ……そうそう、話は飛びますが、前々から何度か書いてた“とあるPV”の情報がニュータイプ5月号にいよいよ発表でしたっ! 去年の年末から今年1月頃まで原画を描いてた“とあるPV”とは――



(08.04.17)

 
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