愛「私は、愛……Lips the Agennt。保険会社に所属しながら、保険に入れないほど、危険な職業……。なぜ私がそんな仕事をしているのか……え? 愛の生活と意見……人生観と職業観……を述べよ? あのね、20代前半の女の子に、人生観とか職業観とかそういうこと聞くの。野暮じゃないかな。なぜって、自分が本当に好きな男の子がどんな男の子かってことすら、本当はしっかり分かっていない年頃なんです。だから。いろんなことに迷うんです。いろんな人とつきあって、いろんな事件にであって、そのたびに、あれやらこれやら取り乱す私……そりゃ、歳の割には落ちついて見えるらしいけど、相棒が、どうでもいいことでも舞い上がっちゃう遊ちゃんだから、バランスとして、私は、落ちついて見せなきゃいけないわけで……でもね、心はいつでもたつ巻に会ったドロシー……あ、これ、『オズの魔法使い』ですよね……つまり、これからなにか起こるんだな、こんどこそ、私にとって私の全てを変えるようななにかがおこるんだよな、っていうような気分……まるで、目の前のたつ巻に、身をゆだねて、もみくちゃにされて、なにかを見つけたい……SFX使った映画や、遊園地のバーチャルじゃダメ。実際の体験で……、そのなかで私がなんであるか確かめたい……わかりませんか? そういう気持ち。うーん、子供の頃、滑り台を逆さまに頭からすべりおりたとき、逆さまに見える世界で、私、私が確かにそこにいるって感じちゃうような。……うん、私、滑り台は、逆さまに滑るものと決めていました。それが、Lips the Agenntやっているのと、なんの関係があるのか……と聞かれたら、実は私にもよく分からない。たぶん、性にあってるから、としかいいようがない。え、子供の頃の体験が影響してるんじゃないかって……いやですね。サイコセラピー。精神分析しても、人間なんて分かりませんよーだ。ええ。子供の頃のことなんて、ほとんど、ええ、すべて、忘れたわ。ええ。ともかく、私は今を生きている。それは、過去でもない未来でもない、今だわ。あなたもそうですよね。……ね?」