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アニメの作画を語ろう
シナリオえーだば創作術――だれでもできる脚本家[首藤剛志]

第196回 音信不通、たびたび申し訳ありません

 ここ2週間、突然、コラムを休載して申し訳ありません。
 読者をはじめ、アニメスタイルの関係者の方たちに大変ご迷惑をかけました。
 いつものごとく体調不良といえば、聞こえがいい(?)のですが、早い話が僕の不摂生です。
 このコラム、最初は1年か2年で終えるつもりでしたが、だらだらと何年も続き、最近はしばしば休載し、要するに僕はプロの物書きじゃないんだなと、いまさらながらに痛感しています。
 「プロは死んでも筆を離しません」とよく言いますが、僕は「体調、悪いかな?」と感じるとすぐ、パソコンを持って入院してしまいます。
 で、原稿を書くかというと、点滴を受けながら病室の天井を見つめ、本来、書くべき内容と別のストーリーを考えてしまいます。
 もう、いい年齢なのに書きたいと思う素材が増える一方です。
 そのくせ、20代から書き始めた物語で、完結したものは数本しかありません。
 「これじゃいかん」
 僕の寿命が尽きるまで、書き残しが山のように出そうです。
 急がなければいかんと、今回は入院をしませんでした。
 入院しても、基本、点滴と検査をするだけですから……あと、安静かな?
 仕事場で寝ているのと同じ気がします。
 そのくせ、いつもは歩いていく渋谷の街に、ふらふらとタクシーで出かけて、映画はなるたけ見ています。
 これじゃ、入院を勧める医者も、原稿を常識を超えて待っていただいている(もしかしたら、あきらめているのかなあ)アニメスタイルの編集の方に見放されても文句はいえません。
 いささか、ロケット団への愛着に固執していると言われる『ポケモン』についての話題ももう少しで終えるつもりです。
 このコラムを始めたころ、実名を出す方の許可を得ようとして、ある先輩に、コラムの題名は「誰でもできる脚本家」だといったら、えらく怒られました。
 「誰でもできるとはなにごとだ……あんたが若いころ、あんたの脚本に注目した人たちに失礼じゃないか。あんたが、誰でも書けるような脚本を書くような奴だったら、そんなチンピラを誰も相手にしないよ」
 その方は、なんだか本気で怒っているようでした。
 でも、やっぱり僕自身はいまだにチンピラ気分なんですよね。
 そんなチンピラの創作術、少しはお役にたっていますか? ……とても心配です。
 来週からは、また偉そうに『ポケモン』の話を続けるつもりです。
 気が向いたら読んでください。

 あ、それから、30年以上書いてきた僕の数本のミュージカルをふまえて僕なりの舞台ミュージカル観を初心者に一から説明したら、死ぬほど疲れました。
 で、相手にしっかり分かってもらえたかどうかも分かりません。
 今、依頼を受けている舞台ミュージカルが3本あります。ギャラは安いです。1本作るのに僕の場合、2、3年かかります。
 ミュージカル観を語るより、僕の残り時間を考えると自分のミュージカルを創作する方を優先するしかありません。
 舞台ミュージカルに関心のある方は、できるだけ良質のミュージカルを観て、独自のミュージカル観を作ってください。
 あくまで、一般的というか、僕の意見でしかありませんが、日本で上演されているミュージカル(輸入ミュージカルもふくめて)は、あまり、参考になるものはないと思います。
 今後の日本のアニメ……ミュージカルと縁が深くなるような気がするものですから、ついつい、書いてしまいました。
 ちょっと、後悔しています。
 では、来週、コラムでお会いできたらうれしいです。

   つづく
 


■第197回へ続く

(09.09.09)

 
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