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第30回付録
宇宙戦士バルディオス「地球氷河期作戦」放映29話
登場人物
マリン
オリバー
雷太
ジェミー
月影長官
モーガン代表
クインシュタイン博士
デビット
× ×
アフロディア
ガットラー
幹部A
幹部B
× ×
天文台員A
天文台員B
連盟員
その他……
N(ナレーション)
1.地球
アルデバロン戦闘機が飛んで行く。
N「S―1星と世界連盟、そしてブルーフィクサーの戦いは果てしなく続いていた」
迎え撃つバルディオス。
N「それは、正に泥沼の戦いといえた」
2.木星
N「そんな頃、太陽系最大の惑星、木星で、不思議な現象が起こっていた」
3.地球・パロマス天文台
大望遠鏡が夜空をにらんでいる。
4.同・内部
望遠鏡を見ている天文台員。
天文台員A「おい、木星の衛星の様子が変だぞ」
天文台員B「ビジョンに映してみろ」
ビジョンに木星が映る。
N「木星には、14個の衛星が回っている。そのうちの4つ、イオ、エウロパ、ガニメド、カリストは地球の月をしのぐ巨大な衛星であった」
4つの衛星が映る。
N「そして、その中で最も大きな衛星が……」
ガニメドが、次第に消えていく。
天文台員A「こ、こんなバカな……」
天文台員B「信じられん。消えていく。どうしたことだ」
天文台員A「世界連盟に報告しろ!」
5.世界連盟
その外景。
6.モーガン代表の室内
モーガンが報告を受けている。
モーガン「何? ガニメドが消えた……?」
連盟員「はい。あとかたもなく姿を消してしまいました」
モーガン「ガニメドは、木星の衛星だったな」
連盟員「はい。表面がメタンの大気に包まれた、氷でできた衛星です」
モーガン「木星は、今やアルデバロンの支配下にある。何が起ころうと手の下しようもない。今や、我々には地球を死守すること、それだけしかない。遠い惑星の異変に注目する余裕はないんだ」
N「世界連盟は、この異変を無視さぜるを得なかった」
7.BFS基地
N「その頃、ブルーフィクサー基地では……」
8.クインシュタイン博士の研究室
マリン、オリバー、雷太が入ってくる。
博士と月影がいる。
マリン「長官、お呼びですか?」
月影「うむ。君に会って欲しい者がいる。デビットを……」
ドアが開き、デビット(23歳)が入ってくる。
デビット「ブルーフィクサー、パルサーバーン候補生、デビット・ウエイン出頭しました」
マリン「パルサバーン候補生?……なんのことです」
月影「マリン、君にはだまっていたが、デビットは君の予備として訓練している練習生なんだ」
マリン「俺の予備…」
博士「今、パルサバーンとバルディオスを動かせるのは、マリン、あなたしかいません。もし、あなたに万が一のことがあれば、それは直ちに地球の敗北を意味します」
オリバー「待ってください。地球人にパルサバーンの操縦は無理です」
雷太「おう! そうとも。ほかのやつができるぐらいなら、俺たちがとっくに操縦をならっているぜ」
デビット「できないのは、あんたたちがボンクラだからさ」
雷太「何!?」
デビット「カッカしなさんな。本当のことを言われたからってな」
博士「デビット、口がすぎます」
デビット「……」
マリン「博士、博士はこの男にパルサバーンを動かす能力があると言うのですね」
博士「デビットは亜空間力学のエキスパートです」
マリン「亜空間力学……デビット君、パルサビームの構造変格式を……」
デビット「シグマ、PQR3πJAC289√180X。Xはグリコーゲン指数、変格X3相関QRPST……」
マリン「わかった。もういい……だが知的能力だけでは操縦できないぞ」
デビット「それなりの訓練はした。あとは実戦の練習だ」
突然、ブザーが鳴る。
声「敵戦闘部隊、太平洋上空に出現……」
月影「マリン、オリバー、雷太出動せよ」
三人「了解……」
マリン「デビット、俺についてこい」
オリバー「マリン……こいつに操縦を教える気か?」
雷太「こんな生意気なやつに教えることはない」
マリン「いいんだ雷太……デビット君、俺は君を好きになれそうにない。だが、俺が死んだら確かに俺のスペアが必要だ」
デビット「スペア? 俺はスペアになるつもりはない。君を押しのけて、パルサバーンの正操縦士になってやる」
二人、見つめ合う。
マリン「モノをいうのは腕前だ」
デビット「その通りさ。いくぜ先輩」
デビット出て行く。
続くマリンに博士が声をかける。
博士「マリン……あの子をお願いします。態度はともかく、能力だけは保証します」
マリン「あなたの選んだ男だ。わかっている」
マリン、軽く敬礼し出て行く。
9. 3大メカが飛んでいく。
前方にアルデバロン数機が現れる。
10. 3大メカ・コックピット
雷太「さあ、おいでなすったぜ」
オリバー「了解。デビット、よく見ておけ」
デビット「お手なみ拝見……」
マリン「バルディオス、チャージアップ!」
11. 3大メカ合体する。
バルディオス、敵機を一瞬のうちにたたきつぶす。
12.バルディオス・コックピット
マリン「戦闘完了! どうだ感想は」
デビット、ピューと口笛を吹く。
デビット「なかなか、なかなか。でも1か月だな」
マリン「ん?」
デビット「あと1か月も練習すりゃ、あんたを追い抜いてみせる」
マリン「たいした自信だ……おまえのような自信家をなぜ博士が選んだのか。不思議だな」
デビット「実力さ。博士は実力でしか男を見ない。今も昔も、あの人は変わらない」
マリン「昔……?」
と、オリバーが割り込む。
オリバー「マリン! 空を見ろ! 様子が変だ!」
マリン「何!?」
13.空
ぐんぐん暗くなっていく。
日食が起こったのだ。
14.バルディオス・コックピット
雷太「太陽がかくれていく」
マリン「日食か?」
オリバー「違う。日食で太陽をかくす月は、今、別の軌道だ」
マリン「何?」
オリバー「別の何かだ。何かが太陽をさえぎっている」
15.宇宙
太陽と地球の間に、亜空間からガニメドがせりだしてくる。
地球に影が広がっていく。
N「地球から太陽の光をさえぎったもの、それは、木星の軌道から消えた衛星ガニメドだった。地球は一瞬のうちに暗闇にざされた」
16.亜空間要塞・その外景
17.同・司令部
ビジョンにガニメドが映っている。
見つめるガットラー、アフロディア、幹部連。
幹部A「ガニメド、亜空間より三次元に復帰。太陽光線、閉鎖軌道に乗りました」
幹部B「衛星移動作戦終了後は、地球が冷えていくのを待つだけです」
ガットラー「土星の衛星を動かすとは、アフロディア、いつにない荒業だな」
アフロディア「おほめをいただき光栄です。これで地球は昼のない世界、暗黒の恐怖に地球人はうちのめされることでしょう……」
18.BFS基地
闇に浮かび上がっている。
雪がちらついている。
19.同・司令部
ビジョンに世界の様子が映される。
声「地球上に、太陽光線の当たる地点なし。気温急降下、熱帯地方にも降雪……」
サバンナの猛獣たちの頭上に雪が降っている。
マリンたちが見つめている。
雷太「なんてこった! まるで氷河期じゃないか」
博士が入ってくる。
博士「衛星ガニメドの資料が入りました」
ビジョンにガニメドが映る。
博士「直径5千100キロ、大気はメタン。星自体は完全な氷でできています」
月影「氷ですと? では、太陽熱で溶けるが可能性もあるわけですね」
博士「でも、ガニメドは月より大きな衛星です。完全に溶けるまで100年はかかります」
月影「100年……」
博士「地球が冷え切り、人類が飢えと寒さで死に絶えるまで2年とはかかりません」
マリン「待ってくれ。アルデバロンだって100年は待てないはずだ」
博士「おそらく、人類が死に絶えた後、ガニメドを運んだと同じ方法で亜空間に消すつもりでしょう」
月影「だが、我々はそんな技術は持ってはいない」
オリバー「どうしようもないってのか」
博士「ないわけではありません。方法が一つだけあります…でも…」
月影「言ってください」
博士「ガニメドの大気はメタンガスです。酸素と混合して火をつければ爆発を起こします」
ジェミー「でも、あの星に酸素なんかないわ」
博士「あの星は氷でできています。氷は水、酸素と水素の化合物です」
月影「博士、すると水を分解して酸素を作れば……」
博士「爆破は可能です。ただし、分解装置を作るには、全世界の頭脳を集める必要があります」
月影「(部下に)世界連盟を呼び出せ。一刻も早くガニメドを爆破せねばならん」
部下「ハッ!」
20.世界連盟(闇)
次々にジェットが入っていく。
N「こうして、世界中の頭脳が世界連盟に集められ――」
21.秘密工場(闇)
巨大なボンベ型のロケットが造られる。
N「クインシュタイン博士の指揮の下、懸命な作業が続けられ、わずか3週間でガニメド破壊ロケットフィクサー1(ワン)が完成……」
博士が指揮をしている。
22.BFS基地(闇)
N「秘密裡に、ブルーフィクサー基地に運ばれた……だが、3
日たっても4日たってもフィクサー・ワンはいっこうに発射さ
れる気配がなかった」
BFS基地の傍、雪に埋もれるようにフィクサー・ワンが立っている。
23.同・司令室
モーガン代表がビジョンに映っている。
モーガン「月影長官……何をぐずぐずしているんだ。地球はもう1か月もたないんだぞ……」
月影「博士……」
博士「確かに発射することはたやすいことです。でも、そのための犠牲を考えると…」
モーガン「犠牲……? そう言っている今も、飢えと寒さで死んでいく人間が山ほどいるんですぞ」
博士「(苦しい気持ちで)……わかりました」
博士、ビジョンのスイッチを切る。
24.同・作戦室
マリンと博士、ジェミー、雷太、オリバー、月影がいる。
博士「この爆破作戦に必要なのは、たった一人の操縦士です……ただし、その操縦士はおそらく、いえ確実に、二度と帰ってはこれません」
月影「命を捨てる特攻作戦なんだ」
ジェミー「特攻……」
一同沈黙する。
25.作戦室
一同沈黙している。
ジェミー「命を捨てる特攻……」
博士「ガニメドの爆発は、一瞬にして起こります。一度突っ込んだら逃げるのは不可能です」
マリン「バルディオスで亜空間に逃げてもですか?」
博士「バルディオスが亜空間に移る瞬間より、ガニメドの爆発のほうが早いのです」
雷太「わかった、俺が行こう。俺は身寄りもいないし、地球のためにパッと散ってやるよ」
博士かぶりをふる。
博士「雷太さん。フィクサー・ワンを操縦するには、パルサバーンを動かせる能力が必要なのです」
一同、マリンを見る。
ジェミー「マリン……」
マリン「わかった。俺が行こう」
ジェミー「マリン、やめて!」
マリン「ジェミー、これしか方法がないんだ」
と、物陰からデビットが出てくる。
デビット「おい、一人忘れちゃいないか」
マリン「フィクサー・ワンは、俺が操縦する」
博士「デビット、あなたの技術はまだ……」
デビット「マリンにはバルディオスがある。戦いはまだまだ続くんだ。俺しかフィクサー・ワンに乗れるヤツはいないじゃないか」
博士「デビット」
マリン「無理だ。お前には……やはりこの仕事は俺が行く」
デビット「いや俺だ。マリン……おまえに話がある」
26.同・展望室
マリンとデビット。
デビット「マリン、おまえは何のために戦っている?」
マリン「……」
デビット「俺がブルーフィクサーに入隊したのは、博士のためだ」
マリン「博士?……」
デビット「博士は、俺に亜空間力学を教えてくれた。そして、人を愛することをな」
27.デビットの回想
教室でクインシュタイン(23歳)が、生徒たちに教えている。
ぼんやりみつめるデビット。
デビット「もっとも、それは青くさい坊やが、年上の教師にあこがれる……よくある話だった……」
28.回想・公園
博士が、デビットに手紙を渡す。
博士「デビット……これ、お返しします」
デビット「先生、僕……」
博士「デビット、あなたはまだまだ勉強しなければならないことが、山ほどあるはずよ。私は、あなたに期待しているの。あなたは必ず、優秀な物理学者になる。一時のあこがれに惑わされて、勉強をおろそかにしてはダメ……」
デビット「あこがれなんかじゃありません」
博士「デビット、今のあなたの気持ちはね、あなたの年頃が一度はかかる病気なの……さあ、これはなかったことにしましょう……そして、頑張って勉強しなきゃ。未来の学者さん」
デビット「先生……」
29.木陰(回想)
博士とネルドが楽しそうに語らっている。
デビットのN「やがて俺は、博士に恋人がいることを知った。真空爆弾の研究をしていた優秀な学者だった。1年後、その学者は行方不明になったが……」
30.回想、研究室(夜)
博士が肩を振るわせて泣いている。
ネルドと博士の写真。
半開きのドアの向こうから、デビットが見ている。
デビットのN「博士は、その学者を決して忘れはしなかった。俺は、そんな博士を守ってやろうと思った。そして、その学者以上の物理学者になってやろうと思った」
31.展望室(外は闇)
マリンとデビット。
マリン「ネルド博士のことか……」
33.展望室(外は闇)
マリン「ネルド博士は死んだ……」
デビット「知っている。だが、彼女はいまだにネルド博士を忘れちゃいない。そして、俺の気持ちも変わっちゃいない。楽じゃないぜ片思いも……」
マリン「博士は君の気持ちを知っているのか?」
デビット「さあね。博士は、ネルド博士が行方不明になってから、研究だけがすべての女になった。他の男は、実力でしか評価しない女になった。俺はその実力を今、身につけている」
マリン「……」
デビット「俺に行かせてくれ。俺は地球のため、S―1星に勝つためなら死ねない。だが、博士のためなら死ねる」
マリン「デビット……」
物陰に博士が立っている。
博士「(つぶやく)デビット……」
目を閉じる。
34.作戦室
デビットとマリン、他の一同がいる。
月影「デビット、本当にいいんだね」
デビット「地球を救うためだ。望むところだ」
博士「デビット……よく考えて……」
デビット「どうしてです? マリンか俺か……どちらが生き残れば地球のためになるか…答えはわかりきっているじゃありませんか……」
博士「でも、あなたは……」
デビット「ぐずぐずしていると犠牲者は増える一方だ。長官、決断してください」
マリン「デビット、しかし……」
デビット「ほかに方法があるか?(長官に)長官!」
月影「ウム……デビット、明朝、フィクサー・ワンで出撃を命じる」
デビット「ハッ!」
敬礼して出ていく。
マリン「博士……あいつは……」
博士「やめて……何も言わないでください」
博士、逃げるように出ていく。
35.フィクサー・ワンの前(闇)
一面の銀世界。雪が降っている。
デビットが立っている。博士がくる。
博士「デビット……」
デビット「長いつき合いでしたね。もうすぐ10年になる」
博士「許してデビット……私はこんなことをさせるために、あなたにいろいろ教えたわけじゃなかった……」
デビット「(微笑)いつでも、博士と俺は先生と生徒だな」
博士「…デビット」
デビット「あなたのためなら死ねる。これでいいんです」
博士「……」
デビット「ただ、もう、先生と生徒の関係は願いさげだな……博士、俺の気持ちを知っていてくれましたか……」
博士「何も言わないで、お願い」
デビット「……今夜はあなたと一緒にいたい」
博士「……(見つめる)」
デビット「……(見つめる)」
博士「……午前1時、部屋の鍵はあいています」
博士、くるりときびすを返して、基地へ入って行く。
怒ったような、泣いているような顔。
見送るデビット。
36.博士の部屋・シャワールーム
シャワーを浴びる博士。
目を閉じて動かない。
37.同・鏡の前
バスローブを着けた博士が、バスルームから出てくる。
鏡の前にすわる。
髪をおおっていたタオルを取る。
長い髪が落ちる。
鏡の中の顔を見つめる。
ほほをさわってみる。
博士「(つぶやく)クインシュタイン、32歳、女……」
38.マリンの部屋
マリン、天井を見つめている。
39.長官室
月影、目を閉じすわっている。
40.レストルーム
浴びるように酒を飲む雷太、オリバー、へべれけである。
ジェミーがしょんぼりとすわっている。
雷太「どうしたジェミー、おまえも飲め!」
ジェミー「いい加減にしてよ……体に毒よ」
雷太「馬鹿野郎、明日は仲間が死ににいくんだ。これがシラフでいられるかよ」
オリバー「そうとも! ジェミー、おまえも飲め」
オリバー、コポコポと酒をつぐ。
ジェミー、グラスを見ていると急に悲しくなる。
ジェミー「(涙ぐみ)よーし、飲んじゃおう」
ジェミー、グラスの酒を一気に飲む。
41.クインシュタインの部屋
博士、グラスにワインを注ぐ。
グラスに口元をつける。
ふと、時計を見る。
1時……。
コツコツと靴音が聞こえる。
42.博士の部屋の前
デビットがくる。
ノックしようとする。
思いとどまる。
ドアのノブに手を掛ける。
ドアが少し開く。
43.部屋の中
博士、ワインを飲む。
ドアの開く音がかすかにする。
44.博士の部屋の前
デビット――。
デビット「(つぶやく)さよなら、クインシュタイン」
デビット、ドアを静かにしめる。
45.博士の部屋
すわっている博士。
ドカーン!!
轟音が響く。
窓に駆け寄る博士。
窓の外、フィクサー・ワンが、闇へ向かって飛んで行く。
博士「デビット……」
46.BFS基地
ブザーが鳴る。
声「フィクサー1号発進……バルディオスチーム、フォローせよ」
47.3大メカが発進していく。
48.同・コックピット
マリン「デビット、何のつもりだ! 発進は明日だぞ」
49.フィクサー・ワン・コックピット
デビット「もう思い残すことはない。善は急げさ」
50.宇宙
フィクサー・ワンと3大メカが飛んで行く。前方にガニメドが見える。
デビットの声「ガニメドまで、あと1時間!」
51.亜空間要塞、その異様
52.同・指令部
アフロディアたちがいる。
隊員「ガニメドに敵メカ接近中……」
アフロディア「迎撃メカ発進!」
53.宇宙
フィクサー・ワンの前方に、アルデバロン戦闘隊が浮かび上がる。
54.フィクサー・ワン・コクピット
デビット「おいでなすった。マリン、援護を頼むぞ」
55. 3大メカ・コクピット
マリン「了解……バルディオス、チャージアップ!!」
56.バルディオス合体する。
57.バルディオス、敵機をたたきこわしていく。
58.フィクサー・ワン、敵の攻撃をすり抜けていく。
デビット「ガニメドまで3分!」
59.亜空間要塞・司令部
アフロディア「ガニメド防衛波発進!」
60.ガニメド
ガニメドから、オーロラ状の光線が発射される。
デビットの声「高速ダイブ」
オーロラ状の波をたくみにぬって、フィクサー・ワンが飛んで行く。
61.バルディオス・コクピット
マリン「見事だ。見事な高速ドライブだ」
デビット「(テレビに映っている)どうだマリン、あんたに負けやしないだろう」
マリン「俺以上だ、デビット」
デビット「今さらお世辞を言うな。このテクニックを亜空間で使いたかったぜ」
マリン「デビット!」
デビット「そろそろお別れだ。バルディオスの諸君、危険ですから、亜空間までおさがりください」
雷太「デビットのやつ!……」
オリバー「(涙をため)最後までつっぱってやがる」
マリン「亜空間突入!」
62.バルディオスが消える
フィクサー・ワンが、ガニメドに突っ込む。
デビット「女のために死ぬなんて、俺もバカだね」
ガニメドに衝突する。
ガニメド、大爆発する。
キラキラと光る氷のつぶ。
太陽が現れる。
氷のつぶ、七色に光る。一条の光、地球に差し、みるみる広がっていく。
63.BFS基地
雪がみるみる溶けていく。
水平線から朝日が昇る。
64.同・展望室
博士が見つめている。
博士「デビット……」
N「一人の男の命が散って、地球は元の明るさを取り戻した。だが、その男デビット・ウエインが、何のために死んでいったか、知る者はほとんどいない……」
博士の目に涙……ひとしずく……。
キラキラと光る海――。
(完)
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編集・著作:
スタジオ雄
協力:
スタイル
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