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COLUMN
第43回付録
戦国魔神ゴーショーグン 26話(最終回)「果てしなき旅立ち」


脚本 首藤剛志

登場人物
 真田ケン太
 北条真吾
 レミー島田
 キリー・ギャグレー
 サバラス
 OVA
 ファザー

 ブンドル
 カットナル
 ケルナグール
 ネオネロス
 ジッター
 マザー
 アナウンサー

 ナレーション

 その他


○ レマン湖畔・夜
   イルミネーション輝くオールワールドバンクとグッドサンダーが対峙している
N「ビムラーエネルギーが、その破壊力を失うまであと10時間……。グッドサンダーとドクの秘密基地オールワールド銀行本社は、最後の戦いを前に静かににらみ合っていた」

○ ファザールーム
   ファザーが輝いている
○ ファザー体内
   ケン太と真田博士(イメージ)が話している
真田「ケン太、これが私の最後の遺言だ。明日、お前が十三才になり、ビムラーが第四段階を迎えた時、お前は宇宙の意志・ビッグソウルから、宇宙にはばたき、他の宇宙生命と共に生きる資格を与えられる」
ケン太「資格……」
真田「そう、その資格を受けるか否かは……お前が決める事だ。私もビッグソウルも、お前に何の強制もしない」
ケン太「僕が選べるの?」
真田「選ぶのはお前……そしてお前は、地球のソウルの代表として、地球の生命が宇宙にはばたくべきか否かを決めるのだ……」
ケン太「僕、僕、答えは決まってる!」

○ ビムラー炉・前
   瞬間移動したかのようにケン太が現れる
   OVAが待っている
OVA「ケン太君、夕飯です。みんなが待ってますよ!」
ケン太「オバ……僕、明日になったら……」
OVA「何も言わないで……時が来れば、子供は親の元から巣立っていきます」
ケン太「OVA……」
OVA「あなたのやりたいようにやりなさい。自分に責任を持ってね……」
ケン太「ありがとう……母さん……」
OVA「えっ……今、なんて……」
ケン太「母さん……ありがとう……。へへ、OVAに一度、こう言ってみたかったんだ……」
OVA「……」
ケン太「どうしたのOVA……」
OVA「いえ……何でも。……さ、最後の夜です。みんながお待ちかねですよ」
ケン太「うん!」
OVA「行きなさい、早く……」
   ケン太、頷き、駆けて行く
OVA「……母さん……わたしが……母さん」
   サバラスが声をかける
サバラス「そう、OVA、君はケン太の立派な母親だ」
OVA「そう、そうなんですね私」

○ オールワールド銀行
   その外景

○ ケルナグールの部屋
   ケルナグール、写真を見つめている
   妻と並んでいる写真である
ケルナグール「妻よ。もしかしたらわしは、明日死ぬかもしれぬ。我が最愛の妻よ……。我が財産を君に贈る。二人の間に子供が生まれなかったのが唯一無念だ……」

○ カットナルの部屋
   巨大な美女の肖像画の前にカットナルが立っている
カットナル「母よ、父と僕を捨てた母よ。僕は今もあなたを恨みはしません。ただ、ただ一言、死ぬまでに“お母さん”と呼びたかった」
   カットナルの片目から涙……

○ ブンドルの部屋
   尺八を吹いているブンドル
ブンドル「散り際は美しく……。ラストのクラシックは……バッハかベートーベンか、グリーク……。ああ、最後まで迷う……」

○ グッドサンダー、調理室
   鼻歌を唄いながらレミーが料理を作っている
   OVAが来る
OVA「あ、こんな時間にお料理ですか?」
レミー「みんなのお弁当なの。……戦いが長びくとお腹すくでしょ」
OVA「それなら私が……。レミーさんには明日戦いが……」
レミー「いいの。今日一日位女らしく暮らさなきゃ……ね」
OVA「レミーさん……」

○ 同、キリーの部屋
   キリーがタイプを叩いている
キリー「俺には結局何もなかった……。ああ……何もないまま終わってしまうのか……。キリー・ギャグレー自叙伝、ブロンクスの狼(ウルフ)……THE・END……。(フッとため息)終わった」

○ 同、射撃室
   撃ち続ける真吾
   時計を見る
真吾「あと六時間か……」
   撃ち続ける真吾

○ 司令室
   ビジョンにオールワールドバンクが映る
   サバラス見つめている
サバラス「……長い闘いだった……」

○ ケン太の部屋
   ベッドに寝っころがっているケン太
ケン太「旅立ち。宇宙の果て……僕は行くぞ!」
   その明るい顔

○ 夜明け
   アルプスの谷間から陽が射し込む

○ ドクーガ秘密基地
   ケルナグール、呆然となる
ケルナグール「な、なんだ、この騒ぎは!」
   ビジョンに、湖畔に集った鈴なりの人々が映っているのだ
カットナル「野次馬どもだ。いまいましい」
ブンドル「ま、観客は多いほど、ショーは盛りあがる」

○ 湖畔
   鈴なりの人がいる
   何台ものTVカメラがグッドサンダーとオールワールドバンクを映している
アナウンサー「いよいよ、地球の運命を決める日がやって来ました。ご覧下さい。彼らは世界中からこの地に集まってきました。ゴーショーグンを神と拝む者、救世主と慕う者、友と信じる者……それぞれの思い入れは違っても心は同じであります。ゴーショーグンよ、諸悪の根源ドクーガを打ち破ってくれ……この声は身の危険もかえりみず、この地に集った我々……そしてこの放送を見る全世界の人々の声であります」
   鈴なりの人々の中に、アルーシャがいる。ミッシェルがジミーがシュミットがブランが……イザベルが、そしてドクーガから脱走したケルーナが……今迄登場した様々な人々がグッドサンダーを見守っている
   一同、どよめく

○ オールワールド銀行
   カットナル、ブンドルの旗艦、そしてケルナグールの戦車隊が出て来る
   要塞のような空軍、陸はスナイパー、コマンダーの大群である

○ グッドサンダー、三大メカ、コクピット
   三人のコクピットの前に弁当箱
   レミーの前の教会型のウエディング・タイマーが4分から3分59秒になる
レミー「ビムラー第四段階まで、後3分59秒……そろそろ出番ね」
真吾「了解、お弁当つきのハイキングだ」
キリー「せめて、弁当食うまで死ぬなよ、お二人さん」
真吾「どうせ、一度死んだ命だ」
レミー「真吾……」
真吾「二度も死んでたまるか(ニヤリ)」
レミー「あら?」
キリー「えっ?」
   三大メカ、飛び出して行く

○ レマン湖・上空
真吾「ゴーショーグン、GO!」
   ゴーショーグン、グッドサンダーから出て来る
   レマン湖の群衆、怒濤のような歓声をあげる
   合身するゴーショーグン
レミー「バッチリ1分、あと35秒……」
真吾「OK! 戦闘用意!」

○ ファザー・ルーム
ファザー「あと30秒……」

○ グッドサンダー・ビムラー炉
   第四段階の部分に、リフトで来るOVAとケン太
ケン太「OVA、新しい僕が生まれるのを……そこで見ていてね」
OVA「ケン太……気をつけて」
ケン太「ありがとう、OVA……」
   ケン太、第四段階の部分に入って行く

○ グッドサンダー・司令部
ファザーの声「あと20秒……」
サバラス「ファザー、時が来た瞬間に司令塔で、敵基地内に移動する。いいな」
ファザーの声「了解! ……10、9、8……」

○ ドクーガ秘密基地
   ネオネロス、目を閉じている
マザーの声「7、6、5……」

○ グッドサンダー・ビムラー炉
   ビムラー炉の第四段階がじわじわ光り出す
ファザーの声「4、3、2、1、0」
   OVA……
   カーッと光る第四段階

○ その光の渦に包まれるようにグッドサンダーの司令塔、消える

○ ドクーガ秘密基地
   ネオネロスの目の前に巨大なグッドサンダーの司令塔がせり出してくる
   サバラスがバズーカを持って司令塔から出て来る
   サバラス、ネオネロスと対峙する
サバラス「ネオネロス、ドクーガの時代は終わった」
ネオネロス「サバラス、わしをよくここまで追いつめた。ほめてやる。だが、まだ終わった訳ではない。わしの切り札を見ろ」
   ビジョンに様々な核基地が写る
マザー「世界各地に点在する核基地に設置された中性子爆弾三億メガトン相当……。同時に爆発すれば、地球は完全に滅亡します」
サバラス「今更、悪あがきはせぬことだな。宇宙へはばたく地球の魂(ソウル)は誕生した」
ネオネロス「ケン太という少年か……。だが、そのソウルにはお前がなる筈だった。この地球と人類を一万年にわたって陰で支配して来たこの私が生み出したお前がな」
サバラス「私にその資格はない。お前が宇宙へ進出するための道具として、私は試験管の中で悪の申し子として作り出された。こんな私を宇宙は受け入れる筈がない」
ネオネロス「知っていたのか。お前は自分の生まれを……」
サバラス「悪の申し子として無理矢理生み出された私は、生み出したお前を倒すことでお前から解放される。それが私の生き方だ」
ネオネロス「わしは地球と共に生きてきた。お前達に倒されて地球を他の誰かにゆだねる訳にはいかぬ。地球はわしのものだ……。誰にも渡さぬ……渡すぐらいなら破壊した方がよい」
サバラス「そうはいかん」
   サバラス、バズーカをいきなり撃つが、砲弾はネオネロスの体を通り抜けてしまう。
ネオネロス「人間と共に一万年を生きてきた私だ。武器では倒せぬ……。フフフ……」
   マザーの声がする
マザー「ビムラーの破壊力消滅。ビムラー第四段階に入ったもよう」
ネオネロス「時は来た……」

○ ビムラー炉
   光が消える

○ ファザールーム
ファザー「ビムラー第四段階完成……」

○ ビムラー炉
   第四段階の扉が開く
   青白く光る人の姿が見える
OVA「ケン太君……ケン太君なのね」
   青白い光が、OVAを照らす
ケン太の声「話はあと……メカを助けなければ……」
   ケン太は姿を見せない
   OVAを照らしていた光、消える

○ ブンドル旗艦
ブンドル「ラスト・バトル。攻撃開始!」

○大空
   ゴーショーグンに襲いかかるドクーガ軍団

○ゴーショーグン・コクピット
真吾「おいでなすったぜ。攻撃開始……ん!?」
レミー「どうしたの真吾……」
真吾の声「ケン太……」
キリー「ケン太? 真吾……なんの事だ……」
   真吾の顔が青白く照らされている
真吾「ケン太、どうしてここに……」
ケン太の声「これ以上、メカは壊せない……ゴーショーグン、ゴーフラッシャーを……」
   目の前のボタンカバーが外れ、ボタンが自動的に押される

○ゴーショーグンから、今迄と全く異なった、オーラの様な光が出る
   ドクーガのメカの全てが、その光を浴びる
   動き回っていたドクーガ軍の動きが、ピタリと止まる

○カットナル旗艦
カットナル「ウヌヌ……又だ、何故動かん……」

○ケルナグール戦車
ケルナグール「メカが俺達に逆らっているんだ」

○ブンドル旗艦
ブンドル「メカがハートを持つ……ミステリアスな……だが事実は小説よりも美しい」

○ゴーショーグン・コクピット
ケン太の声「メガか叫んでいる。戦いたくない……同じメカ同士戦うくらいなら死んだ方がましだって」
真吾「ケン太……」
ケン太の声「ゴーフラッシャーはね、眠っていたメカの魂を呼び起こす光なんだ……」

○ゴーショーグンがメカ達に語りかけている様に見える
ケン太の声「でも、みんな! 戦いたくないからって、何も死ぬ事はないよ。誰もみんなに命令する事は出来ないんだ……。君達は、自分の気持ちで戦いを止めればいいんだ。さあ、止めよう。もうこれ以上闘うのは……メカ同士で傷つけ合うのはよそうよ」
   メカ達、一機、又一機と地上に降りて行く
   ブンドル艦もカットナル艦も……ケルナグールの戦車も砲身を下げる
   コマンダーもスナイパーもペタリ、ペタリとその場に坐り込む

○ブンドル旗艦
ブンドル「もはやこれまでか……だがなんというあっけなさ。せめて最後の名曲は……」
   ブンドル、テープデッキのスイッチを押す
   テープデッキ、狂った様に回り出し、テープを吹き出してしまう
   ブンドル、テープの山の中で
ブンドル「テープまで逆らうとは……。しかし、ハートを持ったとて所詮不粋なメカ……わたしの美学までは分からぬと見えるな……フフフ……(自嘲的に笑う)」

○ドクーガ秘密基地
マザー「味方メカ部隊、戦闘拒否……。いかなる操縦法をもってしても動きません」
ネオネロス「許さん。機械であろうと人間であろうと、わしに逆らうものは許さん。サバラス、わしの本当の力を見せてやる」
   ネオネロスの体から、赤い火の玉がふくれあがる
   サバラス「!!」

○オール・ワールド・バンク
   赤い火の玉が、建物を突き破って上昇する
   赤い火の玉から矢のような光が走り、次々とドクーガの戦闘メカを破壊して行く

○ゴーショーグン・コクピット
   ケン太「よせ! 闘う気のないものをなぜこわすんだ」

○上空
   対峙する火の玉とゴーショーグン
ネオネロスの声「わしに背くものは許さん」
ケン太の声「ドクーガの好きにはさせない……」

○ゴーショーグン・コクピット
ケン太「真吾、レミー、キリー、ゴーショーグンから離れて……あとは僕がやる」
真吾「いきなり離れろといっても……」
ケン太「行くんだ!」
   いきなり、コクピットは急回転する
   同じく、レミー、キリーも……

○空
   ゴーショーグンの体内から、はじき飛ばされる三大メカ

○三大メカ・コクピット
真吾「フーッ」
霧「俺達ゃ、お払い箱かよ」
レミー「真吾、ケン太は?」
真吾「ん? ……いない。……まだゴーショーグンの中だ」

○ゴーショーグン・体内
   ケン太の体が、カーッと青白く光る
ケン太の声「ゴーショーグン、ビムラー、アップ!」
   ケン太の体から光が飛び散り、ゴーショーグンを包む

○上空
   ゴーショーグンの表面が青く光り、続いて、やがて表面の色彩が溶け落ち、黒光りする観音像又は阿修羅のようになる
ケン太の声「さあ、みんな、あれが、みんなを破壊へ追いつめたドクーガの正体だ。いくぞ! みんな!」
   戦いを放棄していたドクーガの戦闘メカがむっくりと起き上がる

○ケルナグール戦車
ケルナグール「おい、また勝手に動き出したぞ……」
カットナル「(ビジョン)勝手にやらせろ。わしゃ、しらけた」
ブンドル「(ビジョン)何を言うか……。いよいよ美しいものが観賞できそうだぞ」

○上空
ケン太の声「ドクーガ! 消えろ! この星から!」
   ゴーショーグン、突っ込んで行く
   ドクーガの戦闘メカから青白い光(ソウル)が飛び出して行く
   ゴーショーグンを包むように飛ぶメカ達のソウル
   赤い火の玉をつらぬく
   赤い火の玉、とび散る
ネオネロスの声「わしの滅びる時、それは地球の滅びる時だ!」

○ドクーガ秘密基地
   壁が崩れ落ち、無数のビジョンが現れる
   そのビジョンの一つ一つに中性子ミサイルの発射が映っている
サバラス「!! ……中性子爆弾が!」
マザー「ドクーガの滅亡と中性子爆弾は同時セット……もう誰にも止められません」

○三大メカ・コクピット
真吾「中性子爆弾!?」
キリー「結局、エンドマークか」
レミー「(フッと笑って)アデュー、お別れね」

○ドクーガ三大メカ
カットナル「チッ! 手前勝手に地球をやられてたまるか」
ケルナグール「誰が死んでもいい……だが、嫁さんだけは……」
ブンドル「なんと美しくない結末」

○無数のミサイルが飛ぶ

○上空
   ゴーショーグンが片腕を宙に上げる
ケン太の声「地球は滅びない。ゴーショーグン、ゴーフラッシャー!!」
   柔らかなオーラの様な光が走る
   呆然と見つめる一同
   オーラ、どんどん広がって行く

○地球をオーラの光が包みつくす

○宙を飛んでいた無数のミサイルが消える
   次々に溶けるように消えていく

○月面
   ジッターの月面基地がある

○同・研究室
   ジッターがロボットを作っている
ジッター「ゴーショーグン覚えておれ。今度こそ、この新型メカでお前を倒してやる」
   アラームが鳴る
声「ミサイル群、接近。瞬間移動したものと思われます」
ジッター「何!」
   ビジョンを見る
ジッター「ああッ! あれは中性子ミサイル……」
   どんどん増えていくミサイル群
ジッター「駄目だ。もう逃げられん」

○月面基地
   針というか釘というかブツブツとささるミサイル
   たちまち、基地はハリネズミのようになる
   月面一帯が針山のようになる

○同・研究所
   ミサイルとミサイルの間にはさまったジッターわめく
ジッター「なぜ生きとる。なぜわしは、生きとるの!」
声「中性子爆弾、全弾不発。中性子反応ゼロ」
ジッター「全弾不発?! 嘘じゃ! 科学的根拠がなーい! わしは信じないぞ!」

○鐘が鳴る
   森をかけぬけるケン太

○雲の中を――
ケン太「雲と……」

○雨の中を――
ケン太「雨……」

○花の中から、野原から、岩から
ケン太「花、野原、川、岩……そして地球にある全てのもの……」

○嵐の中、雪の中、朝露の中、火山の中、様々なソウルが上昇していく
   やがてそれらは、集まり、ゴーショーグンとケン太達の回りで踊りはねる
   陶然と見つめる一同
ケン太「さあ、もう行かなきゃ」
サバラス「ウム、さあ飛べ、飛んでゆけ……ケン太」
ケン太「ああ……みんな行くよ!」
ケン太「みんな元気で……。でも僕、さよならは言わない……。あっ、ほら、僕と一緒に行く地球の仲間がやって来るよ」
   ケン太、形を変え飛びあがる
   もの凄いスピードで飛んで行く

○海から、ソウルが輝きながら飛んでくる
ケン太「海と話せた人達」
   クラッシックが流れる
   ケン太、一緒になって飛んで行く

○風の中からソウルが光る
ケン太「風と話せた人達」
   ケン太、風の中を飛んでいく

○風に揺れる森のざわめきの中からソウルが光る
ケン太「森と話せた人達……」
   教会の――
   寺の――
   様々な鐘の音がWって

○レマン湖畔の丘
   ゴーショーグンがオーラを輝かして浮かんでいる
   群衆が呆然と見上げている
   インサート……ニューギニアの岩穴の絵……その他、仏像、宗教画etc――見上げる人々――

○丘の上
   グッドサンダー一同とイザベル他の登場人物
   ……皆、青白い光の照り返しを受けている
ケン太「北斗七星の向こう、何もない宇宙の果てで誰かが僕を呼んでるんだ。OVA、僕、行くよ。広い世界をこの目で見たいんだ」
OVA「行きなさい、ケン太君。あなたはもうどこへでも、あなた一人で行けます」
テリー「ケン太、後なんか、ふり向くな。前だけ見て進むんだ」
真吾「誰もお前を止めはしない。ケン太、がんばれよ」
レミー「ケン太君、サンキュー。本当に楽しい三年間だったわ」
   ケン太とソウル達、上昇して行く
   ゴーショーグンもゆっくり浮上して行く
   青空が中央から門のように、真っ二つに割れる
   宇宙が見える
   輝く北斗七星
   ケン太達とゴーショーグン、光る渦となって飛んで行く
OVA「見ましたか! 見てくれましたか! あの子の飛ぶ姿を! わたし達が……わたし達が育てたんですね」
   見上げる一同
ブンドル「な、なんという飛翔……。美について百万言の形容詞を並びたてたとてあの姿を讃美しきれるものではない。だが、私は、あえて言おう。ただ一言、これこそ正に……美しい」
   宇宙の果てに消えて行くケン太達
   青空の門が閉まる
レミー「(フーッと溜息)終わったのね」
サバラス「何も終わってはいない。ケン太の旅は始まったばかりだ……」
真吾「そう。何も終わっちゃいないさ」
   アルーシャを見つめる
アルーシャ「……」
レミー「あら……」
キリー「何も変わっちゃいないさ、俺達は……」
   イザベルを見る
イザベル「……」
レミー「アララ……」
   ブンドル、髪を払い
ブンドル「君はけなげでかつ美しい」
   レミーを見つめバラを見る
レミー「あーあ、一年もたったらどうなっちゃってるのかしら、私達」

○顔写真
   ジッター教授――
N「中性子爆弾以上の最終兵器の研究に没頭。一度も部屋から姿を見せず」
   OVA
N「メカとしては、世界最初の保育園々長として活躍中」
   ケルナグール
N「フライドチキン及びハンバーグ、牛丼の世界シンジケートのボスとして君臨。妻と共に、第二次ドクーガ帝国設立の資金作りに躍起になっている」
   キリー・ギャグレー
N「自叙伝出版するも売れず。現在ブロンクスで平刑事」
   カットナル
N「アメリカ大統領就任。国歌を双頭のカラスの下にと変更し、ひんしゅくをかうも、アメリカの世界制覇を目指し武力増強中」
   北条真吾
N「現在、無職。某ホテル、バスルームで石けんにすべって転び、複雑骨折。入院中」
   ブンドル
N「わずか三ヶ月で、宇宙美学論を確立。以後、行方不明なれど、最近、木星の惑星、イオ付近で、宇宙探査船が、異様な波動の音波をキャッチ……日本の尺八の波長に似ているという」
   レミー島田
N「求婚者、続出するも、おびに短かし、たすきに長し……動物の方がましと、現在、アフリカの自然動物公園で保護官として密猟者を相手に闘っている。当分、結婚の見込み、まるでなし」
   サバラス――
N「行方不明――」
   ケン太の笑い顔
   その顔に大宇宙がWり
   ソウルが、もの凄いスピードで飛んで行く
ケン太の声「僕は飛べる。その気になればどこまでだって」
   ぐんぐん進んで行く

   ENDタイトル
     SEE YOU AGAIN
(完)

 
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編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
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