色彩設計おぼえがき[辻田邦夫]

第73回 年末番外編 大阪へ行って思ったこと

え?(汗)

クリスマス、終わっちゃいましたね?(汗)

ってことは、来週はもう来年なんですね?(汗)

いま色指定やってるこの作品、この話数、確か年内の納品ですよねえ?(汗)

あれあれ??(大汗)

とにかくまあ、年内最後の連載ってことで、こうして原稿を書いてるわけですが、年52週なのに結局僕は何本原稿書いたのでしょう?

う〜む……。

とにかく来年はですね、もうね、落とすことなく原稿を……できるだけ。

……がんばります(号泣)。

さてさて。

先週末のこと、小田和正の京セラドームでのコンサートを観に大阪へ行ってきました。

実は僕、小田和正の大ファンでありまして、何年かごとのコンサートツアーに乗っかりまして、東京の公演もさることながら、東京以外の公演を結構観に行くのであります。休日に開催される地方でのコンサートのチケット取りまして、コンサートのついでにその地方の観光をしてくる、そういうパターンで国内旅行が多いです。今年はこれで高松や札幌、博多、名古屋にも行きました(笑)。

で、大阪。久しぶりの大阪であります。

大阪に行くたびに思うのは「ああ〜、東京と違うねえ。外国みたいだあ」。

そりゃまあ、しゃべってる言葉からして違ってるワケですから当然なんですけどね。例えばね、駅のエスカレーターで。東京は左側に立って右を空けるんですが、大阪ではこれが逆なんですよね。大阪のみならず、九州・福岡でもそうだったり。ちなみに韓国・ソウルもそうですね(笑)。なんかね「ああ! アジア!」って思ったり(苦笑)。

今回「ほお〜」って思ったのが、地下鉄の車内広告。全国区の大手企業のいわゆる東京発っぽい広告は、別段東京のそれとは変わらないんですが、おもしろかったのは地元系企業とかのローカル広告です。地元大阪のメガネ屋やパチンコ屋の広告、「債務相談します」的な弁護士事務所の広告とか、いろいろあるのですが、その色遣いがおもしろいのです。「この文字色にこのバックの色の配色はないだろ!」的なのがバンバンあるんですよ(笑)。東京者の感覚的にはそう思えても、見回してみるとそういう配色がちゃんと傾向になってるんですね。ってことは、大阪ではこういうのは「あり」なんだなあ、と。

そんなところから始まりまして、繁華街とか駅の雑踏とかを眺めていると、街の佇まいというか、行き交う人たちのまとっているフンイキとか、僕の住んでいる東京とはやはりなんか確実に違う。それはね大阪に限らず他の地方都市でもそうですね、その度合いの差はありますけど。でもなあ、札幌とかではそんなに違い大きくないような気がするんだけど、あ〜、それは僕の母が北海道生まれだったからかなあ?

僕は東京生まれで東京育ち。いまも東京で生活してるわけなんですが、そんな僕ら東京に生まれ育った人間は、東京のものは全国どこへ行ってもそれがスタンダード、みたいな錯覚を往々にして持ちがち。日本という国に住み、概ね同じ日本語を話し、テレビでは全国放送のネット番組は東京とおんなじものを放送してるし、全国区な企業の広告は東京と変わらずにおんなじものが翻ってる。でもね、それ以外はビックリするほど違いがあるんですね。

でね、思ったわけですよ。「東京以外の場所で暮らしてる人たちには、東京で作ってるドラマとかアニメとか、目にどう映っているんだろう?」と。東京に普通に暮らしてる僕らが東京が舞台なドラマとか観ても、なんの違和感もなく普通に「ふむふむ」って観ているけど、地方でこれを観てられる方はどうなんだろう? と。

例えばTVのドラマとかでね、東京の街が舞台だったりしますよね? それでエスカレーターのシーンとかあったとして、東京ですから左に立って右を空けてるでしょ? 普通ですよね? それを観た大阪や博多の人たちはどうなんだろう? と。自分たちの日常とちょっと違うこういうことはやっぱり日常に照らして違和感なのか? それとも「TVの中の世界」なのか?

アニメの場合、異世界のお話とかになっちゃったらまああんまり関係ないんだろうけども、例えば学園モノや現代劇みたいな作品で舞台になってる街って、わりと東京やその近郊だったりというものが多いじゃないですか。そうすると、普段何気なく東京基準で「ま、こんな感じだよね?」と映像にしてる「ちょっとしたこと」が、それは実は東京以外ではそうではなかったり、とか。

かの『おジャ魔女どれみ』シリーズも「概ね東京近郊で神奈川っぽい?」的な感じで作ってました。観てくれてる方々が身近にすんなりと受け入れてもらえるように、と考えながら、フンイキとして「わりと全国的に見て標準っぽい」ものを目指してましたが、全国で観てくださってた方々には、どう目に映ってたんでしょうかね?

なあ〜んて、そんなこととかを、漠然と思いながら、大阪で美味しいものを食べてきたというわけであります(笑)。

ああ、そういえば『どれみ』のあの頃、あいちゃんの地元のお話を演出することになった長峯くんとかは、実際に大阪の天下茶屋まで“自腹取材”とか行ってましたね。通天閣の下で串カツ食べながら、そんな事とかを思い出してました(笑)。

■第74回へ続く

(08.12.26)