色彩設計おぼえがき[辻田邦夫]

第14回 GW記念……外国語で話す日本のアニメ主人公たち

GW(ゴールデンウィーク)、皆さんはいかが過ごされましたでしょうか?

結局僕のGWは、半分はお仕事で過ごしました。まあ、これもまたよし(苦笑)。で、唯一出かけたのが乃木坂の国立新美術館。「モネ展」を見に行ったのですが、あまりの来場者の多さ、チケットブースの長蛇の列に、到着6秒で「モネ展」を断念。そのまま人の波に流されて、これまた大混雑の東京ミッドタウンを漂流してきたのでありました。

そんな疲れもあったのか(←違っ)、なんかもう、いきなり曜日を間違えて、実は昨日の更新分の原稿をすっかりすっぽかしてしまいました!(泣) いやはやすみません(汗)。

さてさて。

GWを海外で過ごされた方も多いと思いますが、その旅先でアニメって観た方いらっしゃいますか? しかも日本製のアニメを。

僕は以前イタリアのローマで、朝早くから延々観ちゃいました。たまたまその日が土曜日で、早朝の時間帯っていうのがそういう時間帯だったようなのです。その日にやってた作品は『未来少年コナン』『はいからさんが通る』『ルパン三世』、そして『めぞん一刻』。他にも2、3、結構古い日本製ロボットモノとか名作モノとかを違うチャンネルでやってたのですが、タイトルは失念。

ローマの安宿のTVから流れるイタリア語を話す日本のアニメキャラたち! なんかね、不思議(笑)。それでも『ルパン』や『コナン』はね、ないんですよ、違和感が。特に『ルパン』なんかむしろはまってる感じすらする。『コナン』はちょうど第3話だったかな? このあたりになると、こっちも台詞に至るまでだいたい頭に入ってるので、自然と脳内変換されてたのかもしれません。

でもね、『はいからさんが通る』と『めぞん一刻』は……。内容的には、まあ、ある意味万国共通な話題だったりはするので、ちゃんと観てればイタリアの人たちにも当然ちゃんと共感持ってもらえるんだろうけど、たとえばその日にやってた『めぞん一刻』は、東北(?)新幹線が事故かなんかで止まっちゃってて、乗り合わせてた一刻館の面々が駅のホームで宴会始めちゃう……ってな感じの話(たぶん)。一升瓶片手にした一ノ瀬のおばさんが駅員とイタリア語でやり合う……う〜む、シュールだ(笑)。

もっとも、イタリアも鉄道大国だし、なんといっても陽気な国だったりするので、もしかするとリアルにこういうシチュエーションがあるのかもしれないですね(苦笑)。

アニメじゃないけど、テレビで古い日本の映画も観ましたよ。なんと「マタンゴ」。フィレンツェで日曜日の朝10時に!(笑) もうね、呆然。しゃべってるのはちゃんとイタリア語だし。なんで日曜のこんな時間に、しかも「マタンゴ」? 謎すぎて、頭がくらくらしました(苦笑)。

イタリアに限らず、スイスでもドイツでもギリシャでも、それから東南アジアの国々でも、旅先で何度も日本のアニメが放送されてるのに出くわしました。それぞれの国の言葉で話す日本のアニメの主人公たち。残念ながら自分が関わった作品を観る、というはなかったのですが、それでも自分らの国の、自分らがよく知ってるアニメが、こうしていろんな国でたくさんの人たち、子供たちに見てもらえているのは、純粋に嬉しいです。

そうそう、もう10年ほど前になりますが、ニューヨークに初めて行ったときのこと。ホテルで夜中じゅう、ケーブルテレビのアニメのチャンネルを見ていました。そこでは日本製のアニメはチラホラという程度の数。ほとんどがアメリカ製のアニメたちです。ところが、ある1本を見てびっくり、というか、すごく嬉しくなりました。

その作品は『マペット・ベイビーズ』。その昔、東映動画で製作をしてた「合作」の1本です。そしてなんと、TVで流れているそのエピソードこそ、自分が色指定を担当した話数だったのです! いやあ、感激! まさか、こんなところで再会するとは! もうね、嬉しくって、食い入るように観ちゃいましたよ(笑)。

自分が多少なりとも関わったものが、こうしてちゃんと残って、世界のどこかでちゃんと放映されて、いろんな人が観てくれてる。ホント嬉しいですね。だから、この仕事、やめられないんですよね(笑)。

■第15回へ続く

(07.05.09)