「草之丞の話」の話
今週の更新「白川大作インタビュー」第4回は「『ねずみのよめいり』と『鉄腕アトム』前夜」。東映長編の話題からはちょっと外れますが、手塚治虫が、虫プロダクションでアニメを作り始めた頃の興味深いエピソードが語られています。それと「週刊ユアサ」、「東池袋アニメ積読録」など。
15年前に『TOKUMAアニメビデオえほん はないちもんめ』というOVAシリーズがリリースされました。創作童話を、東映動画(現・東映アニメーション)の若手スタッフが映像化するという企画で、有迫俊彦が「さんまマーチ」「みえなくたってともだち」、西尾大介が「のぼるとやまねこ」「草之丞の話」、佐藤順一が「峠についた赤い郵便受け」「五月はじめ、日曜日の朝」と、それぞれ2本ずつ監督をしています。オープニングとエンディングは各巻共通で貝澤幸男さんが担当していて、これも非常に個性的な仕上がり。 その中の1本、西尾監督の「草之丞の話」を、今回のアニメスタイルイベントで上映できる事になったんですよ。「草之丞の話」は、江國香織原作の現代劇。奔放に生きる女優の母を持つ少年の前に、彼の父親が現れる。だが、父親は幽霊であり、さらにチョンマゲを結ったサムライだった。なんと、母は幽霊と結婚していたのだ。という、相当に変わった話なんですが、リアルに、ちょっと生々しく演出されていて、それが非常にいい味になっている。『ふたりは プリキュア』でお馴染みの西尾さんの、自身も認める代表作です。 ビジュアルも相当によい。キャラクターデザインと作画監督は、様々な劇場作品で活躍している新井浩一。美術監督は『Manie―Manie 迷宮物語』の「ラビリンス*ラビリントス」等で知られる石川山子。新井さんは作監だけでなく、ほぼ全カットの原画も担当。動画枚数的にはTVレベルですが、見応えはかなりのものです。 見るべきところの多い『はないちもんめ』シリーズの中でも、「草之丞の話」は特にお勧めのエピソード。イベントで是非ご覧になってください。今回のイベントでは他にも『アニメ・アート・ビデオ・コレクション』から、森やすじ監督の「おおかみと7ひきの子やぎ」、南家こうじ監督の「あかずきんちゃん」も上映する事になりました。お楽しみに。
(2004/11/18)
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