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虫プロ大同窓会開催!

 さる2月6日、「鉄腕アトム放送40周年記念・虫プロ大同窓会」が京王プラザホテルにて開催された。主催は虫プロダクションと虫プロ監督の会。今年4月から新作が予定されている『鉄腕アトム』の放映40周年を記念して企画された。
 一昨年から虫プロダクションは、全作品のDVD化という大事業に取り組んでいる。まさに今、虫プロの歴史の全貌が現在進行形で明らかになりつつある。こうした状況を踏まえ、虫プロの歴史を支えたOBに対して感謝の意を表するという趣旨もあったという。
 虫プロ監督の会・理事長の杉井ギサブローによる開会の挨拶からイベントはスタート。会場にはプロデューサーから声優に至るまで、虫プロにゆかりのある人々がずらり勢揃い。りんたろう、出崎統、荒木伸吾といったクリエイター、白石冬美、永井一郎、増山江威子といった名優の姿もあちこちで見る事ができた。虫プロOBはおよそ850人前後だが、そのうち350人以上が集まったという会場は、思い出話に花が咲き、旧交を温める和やかな空気に包まれていた。
 手塚悦子(手塚治虫夫人)は「『アトム』は人生の中でいちばん苦しい時期に作った、素晴らしい作品です」と壇上で感慨深げに語った。
 メインの司会は、清水マリと野沢那智という、手塚治虫作品とは縁の深いお2人。作品ごとに当時の主要スタッフ達が壇上にのぼり、製作秘話等を次々と披露した。以下個々の作品についてのコメントを簡単に紹介する。

――『鉄腕アトム』について
 (オープニングに手塚の映像が上映された事を受けて)いつもは遅れてくる手塚先生が今日は最初に来ましたね(笑)。(辻真先/脚本)
 手塚先生にはかわいがってもらいました。横綱の胸を借りた感じです。(豊田有恒/脚本)  当時は富田耕生さんとヒゲオヤジ役を争ったんですが、江戸っ子で語調がいいという事だったのか、私がやる事になったんです。でも、手塚先生の期待には応えられなかったかもしれません。(矢島正明/ヒゲオヤジ役)
 みんなのおかげで楽しい楽しい漫画の世界を続ける事ができました。(清水マリ/アトム役)

――『ジャングル大帝』について

 当時、レオは何を食べて生きているのか、という問題が起こり、結局、虫を食べさせる事にしたんです。(辻真先/脚本)
 最初のカラーの作品で、素晴らしく立派な動画の試写室で、盛大な試写があったことを覚えております。(松尾佳子/ライヤ役)

――『W3』について
 虫プロが3本体制になって大変な時期の作品だった。外注を多く登用したこともあり、皆さんに支えられてできたという思いを強く持っています。(黒川慶二郎/プロデューサー)
 自分の最初の演出作品。手塚先生に「全部やり直してください!」と言われたが、その後、一緒に寝泊まりした思い出は僕の宝物。僕の原点です。(高橋良輔/演出)
 再放送を見たらあんまりにもかわいい声で驚いてしまいました(笑)。(白石冬美/ボッコ役)

――『悟空の大冒険』について
 トべるだけトんじゃおうという気持ちで作りました。(杉井ギサブロー/総監督)
 台本なんかなくなっちゃうんですよ。ほとんどアドリブで。(野沢那智/三蔵法師役)

――『どろろ』について
 総監督(杉井ギサブロー)の意図を掴みながら、プロデューサーの意見を聞いて作品の調整をしていました。(鈴木良武/設定)

――『リボンの騎士』について
 演出の富野(由悠季)さんのクライマックスへの積み上げに感銘を受けた。それから、ディレクターの勝井(千賀夫)さんにギャラ3割下げさせてと言われたりもしました(笑)。(辻真先/脚本)
 富田勲(音楽)のオープニングに負けない絵を作ろうと思ったのですが色が多くて見辛いものになってしまいました。その後のカラーアニメに対応する技術を手に入れることができ、勉強になりました。(富野由悠季/演出)
 サファイヤはあの頃から今まで、ずっと全女の子の憧れの的です。(太田淑子/サファイヤ役)

――『わんぱく探偵団』について
 虫プロ作品の中ではほとんど唯一黒字が出た作品なんですよ(笑)。(りんたろう/監督)
 手塚治虫原作ではないので、少し楽でした(笑)。(辻真先/脚本)

――『あしたのジョー』について
 手塚さんの作品ではありませんが、ちばさんの作品ならいいんじゃないかと手塚さんから言われんです。(富岡厚司/初期プロデューサー)
 (『あしたのジョー』は)まだ生き残ってるね(笑)。(出崎統/チーフ・ディレクター)

――『さすらいの太陽』について
 これだけは言っておきたいんだけど、(『ジョー』を強くライバル視したけど)『あしたのジョー』にギター1本じゃかなわなかった(笑)。(富野由悠季/演出)

――『千夜一夜物語』『クレオパトラ』『哀しみのベラドンナ』について
 
 『千夜一夜物語』は虫プロでの初めての長編アニメでした。アニメーターの方がスタジオでほとんど泊まり込みする中、せめておいしい夜食を食べてもらおうとした事を覚えています。みんなが一丸となって作りました。(富岡厚司/製作)
 僕はエッチなシーンを暎一さんに振られまして。でもそれ以後、あまりエッチシーンをやらなくなったんで、今後ぜひそういう依頼があったらいいなあと思っています(笑)。(杉井ギサブロー/原画)

 会の締めくくりには新作の『鉄腕アトム』も一部上映され、「アトムの遺伝子」が21世紀にも受け継がれている事を実感させられた。最後に虫プロ文芸部のメンバー、石津嵐、片岡忠三、鈴木良武、丸山正雄が揃って登壇。「文芸部は本当にあったのか」「あったんだよ」と、カゲキなやりとりを披露。話はまだまだ尽きない感じではあったが、お開きとなった。きら星のごとく豪華な顔ぶれがつどった会場は、まさに生きたアニメの歴史そのもの。以下、来場の関係者から少々コメントをいただいた。
 「いやあ、みんなね。ジジババになってね。誰が誰だかよく分かんないけど、名前見て初めて分かってさ。ほんとに……あれから随分経ったんだね。うん。そういうことです」(村野守美/漫画家・監督)、「久しぶりに懐かしい人にいっぱい会ってうれしかった。うん、それだけ。」(出崎統/監督)、「いやあ、ほんとにね。40年も経ってまさかみんながこんなに大勢集まるとは思わなかった。また新しいアトムも見られるなんて、ほんとにね……もう、夢のようだね。だって(自分は)アトムで虫プロに入った頃っていうのはファンの一部だったんだもの。先生の漫画が見られればいい、先生の顔が見られればいいやっていう事で入って。でも入ってみたら驚いたね。ここは映画を作る会社かいって(笑)。そのぐらい大変なところでした(笑)」(飯塚正夫/元・サンライズ資料室部長)
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