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【ARCHIVE】
 「この人に話を聞きたい」第4回 湯浅政明(1)
 言うまでもなく、アニメの最も大きな魅力は「動き」である。だが、「ハッ」とするほど魅力的な動きに出会える事は滅多にない。湯浅政明。彼は、今まで見た事のない斬新な動きを次々と生み出すアニメーターだ。他の誰も描くことが出来ないような、奇抜な動きと個性的な絵柄。そこには「天才」のひらめきが感じられる。

●1998年12月2日
取材場所/東京・国分寺
取材・構成/小黒祐一郎
撮影/馬場京子
初出:徳間書店「アニメージュ」1999年2月号(VOL.248)

PROFILE
湯浅政明(Yuasa Masaaki)

 昭和40年3月16日生まれ、福岡県出身、血液型A型。九州産業大学芸術学部美術学科卒業後、亜細亜堂に入社。『キテレツ大百科』『ちびまる子ちゃん[第1期]』等の作品を経て、フリーに。その後、『クレヨンしんちゃん』を中心に様々な作品に参加。独特のフォルムと、タイミング、異色の画風で注目を集める。他の作品に、劇場『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』(音楽パート)、OVA『THE八犬伝[新章]』4話(作画監督)、『音響生命体 ノイズマン』(キャラクターデザイン・設定・作画監督・原画)。料理が趣味。
【最新プロフィール】

── この業界にお入りになったきっかけはなんですか?
湯浅 アニメが好きだったんで。
── 好きだったっていうのは。
湯浅 アニメの画が好きだったんです。割と。
── 具体的に、この作品が好きというのはあったんですか?
湯浅 小さい頃には『マジンガーZ』とか『宇宙戦艦ヤマト』とか。中学校の頃に、ヤマトブームというのがあって、「大人になってもアニメ観ていいんだ」という雰囲気になって。その後、デザイン系の学校に行って、卒業後に就職しなくちゃいけなくなって。
── それで亜細亜堂へ。
湯浅 ええ。『ど根性ガエル』とか『まんが日本昔話』とか、『二死満塁』をやった芝山(努)さんがいる会社だったので、あっ、そういう仕事ができるのかって思って。線画が好きだったんで。クロッキーとか。マンガっぽい画は描けなかったんですけど。アニメーターって食えないって聞いていて、なんか、餓死して死んじゃうのかなって思ったんですけど、教員免許をとって美術の先生やるよりは、いいかなって思って。
── 大学はどちらなんですか。
湯浅 大学は九州産業大学です。そこの芸術学部美術学科です。
── そこは主に何をする学科なんですか。
湯浅 油絵ですね。
── 線画が好きだったっていうのは。
湯浅 エッチングとか、そういうのが好きだったんです。アニメも少し観てたし。当時は、TVの作品はあまり観てなかったんだけど、テレコムの作品(注1)とかがあって。『カリオストロの城』とか、なんか面白いなあって思っていました。なんとなくですけどね僕の場合(笑)。
── マニアだったわけではない?
湯浅 なかむらたかしさんとかね、観てましたよ(注2)
── きましたねぇ(笑)。
湯浅 あんまりたくさんは観てないですけど。『ゴールドライタン』のなかむらたかしさんの話を探して観てました。今週は違うのかな? って。
── ああ、各話の作画をチェックして。
湯浅 ええ。あったら嬉しくて、「おわー」って言いながら観てましたね。それから、Aプロダクションの作品も(注3)。特に内容に関係なく、画の上手い人を探して、そればっかり観てました。
── それは学生時代ですか?
湯浅 ええ。
── かなり観ていたんですね。
湯浅 うーん、観てたと思ったんですけどね。この業界に入って、周りの人と話すると、実は僕が全然観てなかったことが分かったんですよ。
── そうなんですか(笑)。亜細亜堂に入られたきっかけは。
湯浅 当時は「アニメージュ」の募集広告しか、情報が無かったんで。それを見て電話したら、「明日おいで」みたいな感じで。それで、亜細亜堂に入って、一応食べられるんだなって。まあ、大変でしたけど(笑)。
── 現場に入って、アニメの仕事が面白いって実感したのはいつくらいなんですか。
湯浅 ずーっと後ですね。『クレヨンしんちゃん』をやってからですね。ずっときつかったんですよ、僕の場合(笑)。ホントきつくて、朝から晩までやってても、思ったように描けないし、ヘタクソだし。こんなに苦労してたら、将来、食っていけないなって思って。身体をこわして、やめようって思っていた時期があったんですよ。でも、なかなかやめるきっかけがつかめなくて、そのままズルズルやっているうちに、そのうちなんか、評判がいいような感じになって。「あれ、ひょっとして俺、下手でもないのかな」って思うようになって。勘違いかもしれないんですけど(笑)。
── とんでもない(笑)。
湯浅 「これくらい、いい加減でいいんだ」っていう感覚をだんだん覚えてきたっていうか、それで少し楽になりましたね。動画をはじめた頃は「この画がTVに出るんだ!」と思って、すごく緊張して。原画になってからも、キレイに描かないとって思っていたんですが、「TVに出るからって、大したこっちゃないんだな」っていうのが、ちゃんと分かったっていうか(笑)。
── (笑)。アニメーター志望の人が聞いたら、ホッとするような話ですね。
湯浅 どんどんいい加減になってきたから、最近は、ちゃんとしたのが苦手ですね。
── ちゃんとしたのですか?
湯浅 TVだと時間の制約があるから、ある程度の見切りをつけなくちゃいけないっていう状況があるんです。でも、時間があって、細部まで描かなくちゃいけないっていうのは、僕の場合は、かえって辛かったりするんで。森本さんとか、大平君(注4)と仕事すると辛いところがありますよ。上手い人っていうのは、時間があればあるだけ描けるじゃないですか。
── 時間をかければ、かけただけ完成度が上がる?
湯浅 ええ。で、僕は出だしはいいんだけど、いくら時間があっても、大して完成度が上がんないんですよ(苦笑)。
── 感性で、パパッと描いちゃう方が?
湯浅 その方が楽ですね。
── それは、やはり天才型なのでは?
湯浅 (笑)。ヘタクソなんですけどね、基本的に。
── 『クレヨンしんちゃん』で、つかんだっていうのはどんな感じなんですか?
湯浅 小川(博司)さんの作ったキャラクターが、フォルムで動かすキャラクターなんですね(注5)。切り絵みたいに、シルエットだけで動かすような感じの……。すごくシンプルなんだけど、リアルに動かそうと思えば、動かすことができる。しかも、骨格も入れようと思えば入れられる感じなんですね。
── なるほど。
湯浅 キチンとしてなくていいんだなっていうのが分かって、面白くなったんですね。
── 御自身の中で『しんちゃん』は大きな仕事になっているんですか。
湯浅 長いですからねえ。気楽にできる、楽しい仕事ですね。でも、そればかりをずっとやってると飽きてくるんで、耐えられなくてたまに違う仕事をやってるんですけどね。
── 自分の代表作を上げると?
湯浅 代表作みたいなのは無いです。
── 映画『ちびまる子ちゃん』の『わたしの好きな歌』はどうです(注6)
湯浅 ああ、あれは初めてコンテを自由にやった作品で、自分の評価よりも、周囲の評判がよかったんで、ものすごく気持ちが良かった(笑)。
── (笑)。あれは、歌をもらってそこから自由にやったんですか?
湯浅 そうですね。
── おやりになったのは、「買い物ブギ」と。
湯浅 あと「ドラッグレース」っていうやつです。大滝詠一の(注7)
── 表現が多彩で楽しい作品でしたよね。
湯浅 みんなが自由に作ったんじゃないですかね。船越(英之)さんとか、小林(常夫)君とか、芝山さんも。……なんか、自分がいいって思うよりも、人にいいって言ってもらうと、ああいいのかって思うんですけど。
── そうですか。では、いよいよ『THE八犬伝[新章]』4話の話を聞きたいんですけど(注8)。あれは、どういう経緯で参加することに?
湯浅 大平君から電話があって、ちょっと話があると。
── それまで面識は?
湯浅 無かったんです。キャラ表を見せられて、こんどこういうのやるんですけどって。まあ、いいかなって思って。カッコイイ系のアニメもやってみようかなって思ったんですけど。キャラクターも、そんなに似てなくてもいいようなことを言ってくれたんで。後で、大平君の『骨董屋』(注9)とか……。
── ああ、あのすごいフィルムを。
湯浅 ええ、『骨董屋』を観て、ああ、こういうのがリアルだよなって思って。リアルならこういうのをやりたいと思って。
── リアルといっても、ロボットモノみたいなリアルじゃなくて……。
湯浅 もっと、生々しいような。ドロドロしたもののような(笑)。なんか、そういうところがいいなって思ったんで。
── 大平さんと仕事をする時に『骨董屋』をやった人だという意識は。
湯浅 意識はしました。一応、『八犬伝』なんで、と思ってはいたんだけど。
── 格好良く、美形キャラを描かないととか。
湯浅 そこまでは思ってなかったけど(笑)。で、大平君のコンテがあがったら、とてもあのキャラクターではやれないんですよ。
── 絵コンテが要求している芝居が、普段の『八犬伝』のキャラクターでは、できないってことですね。
湯浅 すごく、困ったんですけどね。それから、あの時は制作会社の方も僕の事を信用してなくて。
── そうなんですか。
湯浅 『ちびまる子』をやってたやつにできるわけがないっていうことだったらしいんですけど。僕も、まっそりゃそうだろうなって思いますが(笑)。大平君に出会って驚く事は多かったですよ。彼は、植物から、人間から、建物から、なんでも描けるし。カルチャーショックでしたね。僕なんかはリミテッドをやってたんで、ずーっとキャラクターが止まらずに動いてるっていうのも(注10)。へぇー、こんな世界があるのかっていう感じでしたね。僕、それまで時代劇をやったことなかったし、あんまり観たことなかったんですね。作業に入るまでに時間があったんで、ずっと時代劇を観て勉強をしました。結構、入れ込んでやっていたんです。それが役にたったかどうか分からないんですけど。
── 実作業としては、どうだったんですか。
湯浅 仕事のやり方が違うんで、大平君ともめたりもしたんですけどね。レイアウトに4ヶ月かけて、作監に1ヶ月か2ヶ月しかかけられなくて。僕もレイアウトの作業が、ラフまで描くと、1日2カットしか描けないし。
── レイアウトチェックが1日に2カットですか。それは大変ですね。
湯浅 そうそうそう。大変だなあって思ってやっていました。
── 作監作業にかけられた時間があまりなくて、作画監督の作業は全カットできたんですか。
湯浅 僕がやったのは、3/4ぐらいかな。大平君とか、橋本(晋治)君にやってもらってるんです。だから僕が、全部、見ているわけじゃないんです。
── レイアウトは全部見られたんですか?
湯浅 いや、それも半々くらいですね。僕と大平君と2人でやって。
── すいません、根ほり葉ほり聞いちゃって。あの作品では、コンテにはどのぐらい指示してあったんですか? 例えばカメラワークとか。
湯浅 かなり指示してあったんじゃないですか? 僕はもうホント、コンテに忠実にやりました。
── 普通の商業アニメの技法を知ってると、かえって驚くみたいなカットが続出するじゃないですか。
湯浅 そうそうそう。ずーっと動いていたりしてね。だから、僕なんかびっくりなんですけど。
── 絵柄の統一についてはどうなんですか。
湯浅 統一は、もうないですね。大平君と僕が、それぞれ勝手に直したんですよ。それもこのシーンはどっちが担当するっていうんじゃなくて、カットごとに、僕、僕、大平君、僕、大平君、僕、大平君、大平君みたいな(苦笑)。もう、メチャクチャに直したりしてましたね。他の人も手伝っているし。だから、ホント、ぐちゃぐちゃですね。作業している間は、こんなのが本当に発売されるのかなって思ってたんだけど。
── (笑)。
湯浅 とりあえず発売されて、評判は良かったみたいで。
── 評判が良かったどころか、業界的には、ものすごい話題になりなしたよ。
湯浅 大平君の力だと思うんですけどね。僕じゃなくて、ちゃんとした作監がつけばもっとすごい作品だったんじゃないかな(苦笑)。
── いえいえ。例えば、浜路がパンって襖を閉めたとき、襖が反動で戻ったりするじゃないですか。
湯浅 ああ、あれは大平君の演出にあったんです。コンテの時点で。ああ、細かいことやるなあって。
── ジブリアニメのリアルさとも違いますよね。
湯浅 ええ、なんか、ドロドロしたアニメですよね。
── 手持ちカメラみたいな感じもいいですよね。
湯浅 レイアウトも独特で。
── 後にも先にもあんなアニメはあれしかないですものね。『THE八犬伝[新章]』4話は、湯浅さんとしては、肥やしになった作品ですか?
湯浅 勉強になりました。うん。大平君の仕事も見れたし。うつのみやさんにも会えたし(注11)。やってる時はヤケクソでしたけど、制作会社ともうまくいっていなかったし、あんまりいい思い出じゃないですけど。
── うつのみやさんの影響は受けているんですか?
湯浅 うーん、たぶんあると思うんですけど。僕は色んな人の影響をうけてるんですよ。
── なるほど。
湯浅 でも、うつのみやさんの画が出てきた時には、「あっ」って思いましたけどね。
── この手法があったかみたいな?
湯浅 そうそうそう。なんか形をとってそのまま画にしてるっていうかね。形の取り方があるじゃないですか、その人の、各人の。
── はいはいはい。絵を描く時に最初に描くアタリみたいな。
湯浅 そうそう。それをそのまま画にしたような気がしたんですよ。なんかすごく描きやすそうだなって。
── 立体感もあるし。
湯浅 ええ。上手いですよね。
── 次は映画『クレヨンしんちゃん』シリーズについて、うかがいたいんですが。第1作の『アクション仮面VSハイグレ魔王』では、どこの原画を描いたんですか?
湯浅 最後のところ。ハイグレ魔王とアクション仮面が、あそこの上までいったほうが勝ちだって言って、塔を登るところですね(注12)。あとは、設定をやったんですね。
── 設定としては何をやったんですか? ハイグレ魔王の塔とか?
湯浅 そうですね。それと宇宙船とか。
── それは『ハイグレ魔王』から最新作まで、ずっと同じ関わり方なんですか?
湯浅 ええ、こないだのやつまでそうです。
── 来年のやつ(編注:『爆発! 温泉わくわく大決戦』)は、やんないんですか?
湯浅 来年のはやってないんです。
── 『ハイグレ魔王』の登っていくところで、カメラがグッと動いて、視点が変わるじゃないですか。あそこがいいですよね。マニア心そそられますよ。
湯浅 体感すきなんですよ、見た目みたいな感じのもの。
── 2作目の『ブリブリ王国』では原画描いていないんですね。
湯浅 『ブリブリ王国』はやってないですね。ちょうど『八犬伝』をやってたんで、設定だけを。
── 3作目の『雲黒斎の野望』は最後のロボットバトルですか?
湯浅 そうですね。
── けっこうロボットモノらしい感じで。
湯浅 ほとんど本郷(みつる)さんのコンテのままです。本郷さんのコンテが特に面白かったもので。
── 映画の『しんちゃん』 って、湯浅さんパートに限らず、1コマで、わーって動くところがあるじゃないですか。あれは演出の指示なんですか。
湯浅 そういうのもありますね。
── 自分でこれだけ枚数使うぞっていう感じも?
湯浅 あんまり枚数を入れる事に力を入れる方じゃないんですよ、僕は(笑)。枚数少なくてすめば、楽でいいなって思いますから。
── 劇場でなく、TVの『しんちゃん』でも、枚数の使い方について演出の指示があるんですか。
湯浅 ええ。ここは1コマでやってくれとか。『しんちゃん』だと、なんかうにょうにょ動いている動きは1コマでやったほうが面白いっていうのがあって、「ここは1コマ」とか、そういう演出的な指示があったりしますね。
── なるほど。じゃあ、映画『しんちゃん』シリーズで、自分でやった中で「これは!」と思うような仕事はあります? 
湯浅 1本目だと、その登っていくシーンは、こういうのをやろうって言ってやったんです。
── あっ、湯浅さんがアイディアを出されたんですか。
湯浅 ええ。原画もわりと気に入ってるんです。70点いったかなっていう感じの。設定的には『ブリブリ王国』のクライマックスに出てくる塔の設定が面白いかなって。玉が落ちてきて……。
── 玉がグルグル回って落ちてくるやつですね。あれはコンテにあった訳じゃなくて、先に設定をつくったんですか?
湯浅 ええ。設定先行だったり、絵コンテ先行だったりするんですけど。なんか、くだらなーいモノが大仕掛けに進んでいくの好きなんです。
── 『雲黒斎の野望』だと?
湯浅 わりと時代劇らしい服装とか、建物とか、いいかげんな最後のロボットとか、街なんかも……。
── ロボットのデザインもおやりになったんですね。 
湯浅 ええ。簡単なロボットですけどね。なんか、変なタマみたいな乗り物とか。
── 最後にお姉さんが出す、しんちゃんが頭にかぶる、変な箱に入ってる道具は。
湯浅 あれは本郷さんのアイディアです。『ヘンダーランドの大冒険』では、最後の追いかけっこの絵コンテをやったんですけど、あれも評判がよかったんで、僕も気に入ったんですけどね(笑)。
── 評判が良かったんで、気にいったんですか(笑)。
湯浅 そうなんです。たいがいでき上がったときはダメだと思うんですけど、評判がいいと気持ちがよくなる。
── 『ヘンダーランド』の追っかけは、コンテと作画の両方をやったんですよね。どっからどこまでなんですか?
湯浅 もう、追っかけを始めて、(オカマの)2人が燃えちゃうまでですね。カメラワークもわりと上手くいったなって。なんか、カメラアングルが気持ち良くなるの好きなんです。
── 第5作目『暗黒タマタマ大追跡』は?
湯浅 『暗黒タマタマ』は「ここをやった!」っていう部分はないんですね。
── 『暗黒タマタマ』は映画としても、ちょっと地味でしたよね。
湯浅 そうですね。面白かったですけどね。アクションは肉弾アクションが中心で、格闘技とかだと、安藤(真裕)君とか西村(博之)さんとか、そういうのが得意な人がいて、だんだん僕の影が薄くなっていくんです(笑)。
── 湯浅さんは、やはり奇天烈な動きの方が……。
湯浅 まあ、そういう役回りだと思うし。リアルなやつもやりたいんですけどね。リアルなやつをやろうとすると、空回りするんです。『八犬伝』について、「あのできはお前には関係ない」って知り合いに言われていて、悔しいんで一発リアルなやつをやりたいと思ってるんです。でも、やると空回りするんです(笑)。

●【ARCHIVE】「この人に話を聞きたい」 湯浅政明(2)へ続く

(注1)
テレコム・アニメーションフィルムは、『ルパン三世 カリオストロの城』『じゃりン子チエ』『名探偵ホームズ』等で知られるアニメーション制作会社。
(注2)
なかむらたかしさんは『ロボットカーニバル』『AKIRA』『ピーターパンの冒険』等で知られるアニメーター。フルアニメ志向のリアルな「動き」で、多くのファンに支持されている。
(注3)
Aプロダクションは、東京ムービーの傘下にあった制作会社。数多くの優秀なスタッフが集い、質の高い作品を世に送り出した。この会社を母体とし、現在のシンエイ動画は設立された。
(注4)
森本晃司さんは『MEMORIES』『永久家族』等を手がけているアニメーター&監督。湯浅さんは森本さんと一緒に劇場短編『音響生命体ノイズマン』に参加している。大平晋也さんは、この後で話題になる『THE八犬伝[新章]』4話や、『夢枕漠 とわいらいと劇場』の「骨董屋」等を手がけたアニメーター&監督。
(注5)
小川博司さんは、『クレヨンしんちゃん』のキャラクターデザインを担当しているアニメーター。
(注6)
『ちびまる子ちゃん』の劇場第2作『さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』は、数本のミュージッククリップが本編中に挿入されるという形式の作品。
(注7)
『わたしの好きな歌』で、湯浅さんは「買い物ブギ」と「1969年のドラッグレース」のミュージッククリップを担当。
(注8)
『THE八犬伝[新章]』4話「はまじ再臨」は、湯浅さんが作画監督を務めた作品。インタビュー中でも語られているように、ほぼ全編が実験的な手法と、独特の感覚で彩られた衝撃的な作品である。日本の商業アニメの枠から外れていると言っても過言ではなく、特に、アニメの技術面に興味がある人は必見。
(注9)
オムニバスOVA『夢枕漠 とわいらいと劇場』の中の「骨董屋」は、大平さんが『THE八犬伝[新章]』4話の前に手がけた作品。これも独特の雰囲気が魅力の、異色作。
(注10)
リミテッドは、日本のTVアニメーションの大半で使われている手法。ある程度、動きを省略したアニメのスタイルの事。
(注11)
うつのみやさとるさんはOVA『御先祖様万々歳!』等で知られるアニメーター。その独特のフォルムとアクションは、数多くのアニメーターに影響を与えている。
(注12)
インタビュー中で話題になった以外にも、アクション仮面関連シーンのいくつかの作画を担当している。
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