5月21日、東京・秋葉原にアニメ専門の上映館がオープンする。その名も「秋葉原オリエンタルコミックシアター」。本誌記者が一足お先にオープン前の劇場を訪れたところ、会場はまだ準備の真っ最中だった。地下1階に作られた劇場内部は、席数105席のミニシアターサイズ。こぢんまりとした空間ながら緩やかな傾斜もあり、快適なシネコン仕様のシートと、シャープな黒の内装が渋い。音響設備もドルビー5.1chシステムと充実しており、スクリーンも横いっぱいに広がればシネスコ作品の上映も可能。主に上映はデジタル映写で行われ、夏からはさらに最新鋭のHD上映機器の導入に加え、35mmフィルム映写機も入る予定だ。気になるオープニング作品は、TVシリーズ『真月譚 月姫』の全話一挙上映。
続いて6月12日から開催されるオープニング記念企画「アニメ100日マラソン」には、放映中の最新TVアニメから劇場旧作品まで、多彩なラインナップが揃っている。注目は梅津泰臣監督のOVA『MEZZO FORTE』+『カイト A KITE』と、TVシリーズ『MEZZO』の全話上映。大友克洋監督最新作『スチームボーイ』の公開前週からは『ロボットカーニバル』『MEMORIES』の上映がスタートする。そして『機動戦士ガンダム』劇場版特集や、再上映の機会の少ない『伝説巨神 イデオン』劇場版2作もスクリーンに復活。劇場作品はフィルムによる上映を予定している。支配人の千田浩司さんは「とにかく100日間でいろんなタイプの作品を上映して、いろんなアニメファンの人に一度は足を運んでもらおうという狙いです」と語る。その他、オールナイトやトークイベントなども予定されており、目が離せない。
この劇場の発起人でもある千田支配人は、学生映画の自主上映から、大手直営館の営業、さらにラピュタ・アニメーション・フェスティバルなど、様々な上映イベントに関わってきた劇場興行のベテラン。彼は秋葉原に映画館が一つもないという事実に着目し、アニメファンが集うこの街にアニメ専門の上映館を作ったらどうかと考え、昨年11月頃から具体的な準備に取りかかって半年あまりでこの劇場を立ち上げた。今までもアニメ専門の映画館はいくつかあったが、最初からアニメ専門を目的として建てられた劇場はこれが初めてになるとか。
「もともとインディペンデント出身だから、知名度のある作家ばかりではなく、実力ある若手作家の作品も紹介していきたい」という千田さん。9月からは基本的に国内外を問わず、新作アニメを上映する単館劇場として稼働していく予定だが、「節操がないと言われるくらい、ハチャメチャやりたいですね。ウチならアリかな、という企画がやれると思うし、やり方は色々ありますから」とも語られた。
小規模ならではの野心的な試みが期待できる、自由な空間が誕生した。アニメファンは応援も兼ねて、ぜひとも足を運んでみよう。
■上映作品
[オープニング特別上映]
『真月譚 月姫』全話上映(5月21日〜6月11日)
[アニメ100日マラソン パート1]
「梅津泰臣監督特集」(6月12日〜6月19日)
『MEZZO FORTE』+『カイト A KITE』、『MEZZO』全話上映
「BURN−UP特集」(6月20日〜6月26日)
『BURN−UP SCRAMBLE』全話上映、『BURN−UP EXCESS』全話上映
「ガイナックス20周年記念」(6月27日〜7月4日)
『この醜くも美しい世界』1〜6話、『忘却の旋律』1〜6話
『ロボットカーニバル』『MEMORIES』上映(7月10日〜7月16日)
ほか、「ガンダム25周年記念」(7月17日〜8月14日)、「イデオン特集」(8月1日〜8月14日)、「サクラ大戦特集」(8月15日〜8月21日)を予定。
料金、チケット販売方法、各種サービス、詳細な上映スケジュール等は下記関連サイトまで。または「アニメ100日マラソン・公式ガイドブック PART1」(ABC出版より発売中)を参照。
●関連サイト
秋葉原オリエンタルコミックシアター(携帯サイト)
http://orient-com.jp
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