東京国立近代美術館フィルムセンターで、この夏とんでもない企画が催される。その名も「日本アニメーション映画史」。タイトルだけ聞くと、どこかで聞いたような、ありがちな企画展と思われるかもしれない。が、そこは「日本で唯一の国立映画機関」。そんじょそこらの展示とはひと味もふた味も違う恐るべき企画を用意してきた。
まず、とにかく上映される本数がすごい。その数、なんと230本以上! さらに用意されたラインナップが尋常ではない。草創期から、戦中・戦後を経て『白蛇伝』の誕生に至るまで、現存する国産アニメーションの主要な作品をかけてしまおう、という勢いなのだ(ちなみに上映される最古の作品は1924年の『蟹満寺縁起』)。
プログラムは作家別に編成され、全部で37プログラム(各プログラムは60〜110分程度)。まずは、そのリストを見てほしい。
1 漫画映画の先駆者たち
2 大藤信郎[1]
3 大藤信郎[2]
4 大藤信郎[3]
5 大藤信郎[4]
6 山本早苗[1]
7 山本早苗[2]
8 村田安司[1]
9 村田安司[2]
10 村田安司[3]
11 政岡憲三
12 瀬尾光世[1]
13 瀬尾光世[2]
14 大石郁雄と芦田巌
15 田中喜次と持永只仁
16 佐藤吟次郎と「マー坊」シリーズ
17 片岡芳太郎と「お猿の三吉」シリーズ
18 荒井和五郎
19 熊川正雄と桑田良太郎
20 横山隆一[1]
21 横山隆一[2]
22 藪下泰司
23 戦前・戦中作品集[1]
24 戦前・戦中作品集[2]
25 戦後作品集[1]
26 戦後作品集[2]
27 長篇カラー動画の誕生[1]
28 長篇カラー動画の誕生[2]
29 長篇カラー動画の誕生[3]
30 岡本忠成[1]
31 岡本忠成[2]
32 岡本忠成[3]
33 岡本忠成[4]
34 岡本忠成[5]
35 岡本忠成[6]
36 川本喜八郎[1]
37 川本喜八郎[2]
なんと大藤信郎だけで4プログラム! 山本早苗で2プログラムである。これを見るだけでも、その圧倒的な内容は伝わってくるだろう。「マー坊」シリーズ等、日中戦争〜太平洋戦争期の戦意高揚を狙った作品群がまとまった形で見られるというのも、またとない貴重な機会だ。 規模も内容もあまりに凄すぎて、とてもタイトル1本1本まではここでは紹介できないし、紹介するだけの知識もない。それぞれのアニメーション作家の業績や上映作品、詳しいスケジュール等は公式サイトに譲ることにしよう。かなり詳細なガイダンスがなされている。開催は7月上旬より8月下旬まで。 国産アニメーションの歴史は、1917年から始まり、今年で87年目を迎える。この夏、フィルムセンターで、その源流を極めてみるのはいかがだろうか。
開催期間:7月6日(火)〜8月29日(日) 料金:一般500円、高校・大学生・シニア300円、小・中学生100円 会場:東京国立近代美術館フィルムセンター(東京・京橋)2F大ホール
●関連サイト 東京国立近代美術館フィルムセンター
http://www.momat.go.jp/fc.html
(04.06.24)
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