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10月6日、GAINAX制作・鶴巻和哉監督の新作OVA『トップをねらえ2!』第1話「お姉さまと呼ばせてください!」の完成披露試写会が催された。庵野秀明監督によるSFアニメの不朽の名作『トップをねらえ!』の16年ぶりの続編ということで、プロジェクト発表時から大きな話題を呼んでいた本作。その待望の第1話がついに完成・発表のはこびとなった。
主人公は、宇宙パイロットになる夢を叶えるべく、故郷を捨てて上京してきた少女・ノノ。宇宙港に隣接するダイナーで、ウェイトレスとして働いていた彼女はある日、対宇宙怪獣迎撃組織“フラタニティ”のバスターマシンパイロット・ラルクに出会う。彼女の持つ特殊能力“トップレス”の凄まじい力を目の当たりにしたノノは、即座に「お姉さまと呼ばせてください!」と弟子入りを志願。しかしラルクは「能力を持たない人間に、一緒に宇宙で戦う資格はない」とにべもない返事を残して去っていく。落胆するノノ。そんな時、巨大宇宙怪獣が地上に出現し、ラルクの駆るバスターマシン“ディスヌフ”が出撃するが……!
試写会当日はスタッフ・キャストによる舞台挨拶も行われた。出席者は、監督の鶴巻和哉、キャラクターデザイン・作画監督の貞本義行、バスターマシンデザインのいづなよしつね、主人公ノノ役の福井裕佳梨、ラルク役の坂本真綾、そしてプロデューサーの佐藤裕紀。
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佐藤 今までGAINAXでは続編というかたちでの作品制作は考えていませんでしたが、この『トップをねらえ!』という作品に関しては我々も非常に思い入れが強く、いつかこういうかたちで発表したいとは常々考えておりました。鶴巻監督と相談したところ、「自分がやるとしたらアイデアはある」という言葉が出まして、そのアイデアが大変気に入ったので、このプロジェクトを始めることにしました。
鶴巻 第1話を御覧になっていただくと分かる通り、前作の『トップをねらえ!』とは関係ありそうでなさそうで、という感じですが、もちろん関係はあります。ただ、最初のシリーズからはもう16年もの長い時間が経っているので、それを考えるとストレートな続編というよりは、『トップ』のエレメントを今風に解釈し、今作るべき『トップをねらえ!』にしようと考えました。単純な続編ということではなく、「プロジェクトとしてもう一度『トップ』をやろう」という志で制作しています。
貞本 今回のメインスタッフの中では、旧作の『トップ』に関わっているのは僕と増尾(昭一)さんぐらいしかいないんです。個人的には、主人公のノノに旧シリーズのノリコのイメージをどこかしら入れられたらいいな、と思ってデザインしました。僕の画は毎回「前の作品を引きずらない」というか、「前に作ったものと同じ人がデザインしたとは思えない」とよく言われることが多いんです。今回もちょっとそれを狙ったんですけど、わりと『フリクリ』っぽくなっちゃいましたね(笑)。
いづな 今回のバスターマシンは、前作のガンバスターを踏襲したりせずに、自由にデザインしてみました。鶴巻監督からの発注で、“歴戦の勇士”というイメージを前面に押し出して、体のパーツもダメージを受けた部分は別のパーツで補っているようなかたちで、全体が構成されています。2話以降では“ディスヌフ”以外にも何体かバスターマシンが登場しますが、それがGAINAXの作画で動く姿を見るのが楽しみです。
ノノ役の福井裕佳梨は、特注のパイロットスーツを身にまとって登場し、キュートな魅力を振りまいていた。デザイナーの貞本義行も、バッチリ決まったコスプレ姿に「可愛いですね」と太鼓判。
福井 もう心も体もノノになれて、このままアフレコに臨みたいくらいの気持ちになりました! 貞本 じゃ、アフレコの時の制服にしましょうか。 福井 でも、着るのに30分ぐらいかかるんです!(笑)。
和み系ボイスが印象的な福井裕佳梨は、『彼氏彼女の事情』の瀬名りか役で声優デビューし、鶴巻監督の前作『フリクリ』ではミヤジ・ジュンコ先生役でかっとんだ好演を披露するなど、ガイナ作品ではお馴染み。今回、初の主役に抜擢され、ドジで天然ボケ気味だが、努力と根性と勢いで未来を切り開くヒロインを熱演している。
福井 最初にお話が来た時は、もうとにかくビックリという気持ちが大きかったです。前作は私が5歳の時に作られたもので、『トップをねらえ!』というタイトルにもすごくプレッシャーを感じていたんですが、画を見させていただいた時に「これは〜!」と感じたんです。実は、私自身もノノのように努力と根性を鍛えるため、お寺へ修行に通ってるんです(笑)。修行を積んで、まっさらな気持ちでノノを演じて、前作を観て感じた熱さを私も出していけたらなあと思っています。
ノノの憧れの的となる“フラタニティ”所属のトップパイロット、ラルク役には坂本真綾。頭ひとつ背の高いノノに「お姉さま」と慕われる(この辺りが鶴巻節)、クールでボーイッシュな少女を颯爽と演じている。
坂本 今回、初めて必殺技を出す役なんです。そういうキャラクターを今まで演ったことがなかったので、最初にバスタービームを出す時は本当に緊張しました(笑)。普段「お姉さま」と呼ばれることはなかったんですが、裕佳梨ちゃんは私より年下なので、普通にお姉さんなんだなーと実感しています。私は高校生ぐらいの時から仕事をしていたので、いつも自分は妹みたいな感覚だったんです。「お姉さま」と呼びかけられる役も初めてですが、でも悪くない響きだと思って気に入ってます。 福井 実を言うと、私は中学校の時にアニメにハマっていて、その時から坂本真綾さんが大・大・大好き! だったんです。なので、「お姉さま萌え〜!」というノノのセリフを言っている時も、リアル萌えというか(笑)、心の底から「萌え〜!」と言うことができました。 坂本 萌えられたのは初めてかもしれない(笑)。そのイメージを壊さないように、かっこいいラルクを演じていきたいと思います。
シリーズの導入部となる第1話で、特に力を入れた部分について語る鶴巻監督と貞本作画監督。
鶴巻 冒頭、ノノが家出して上京するシーンがあるんですが、そこはこだわって作ったところです。『2』のバスターマシンはパイロットの超能力によって機体能力をより活性化させるわけですが、アクションシーンもアニメーションの動きによって迫力を出し、快感が生まれることを心掛けました。その2つは特に注意したところなので、自分でもうまくいったと思ってます。 貞本 今回、13年ぶりぐらいに作画監督の仕事をやりまして、最後にやったのは『ふしぎの海のナディア』以来なんですけど(編注:クレジット上では『EVANGELION:DEATH』がある)。やはり一番気を配ったのは、レイアウトですね。背景の描き込みだとか、カメラの位置だとかによって、画面の密度を出さなくてはいけない。あんまりキャラクターだけを前面に見せるよりは、背景を含めた空気感の中でのキャラクターの見せ方ということに、かなりこだわってレイアウトしたつもりです。
「この作品に込められたメッセージや、作り手としての意図は何か」という記者からの質問に答えて、以下のように語った鶴巻監督。
鶴巻 企画を考える上で、この作品は前作のファンの世代に向けて作るものなのか、それとももっと下の世代に向けて作るべきなのか、迷うところがありました。でも最終的に、僕の中でいい道が見つかったんです。それはやはり1話だけ観てもなかなか分からないと思う。前作『トップをねらえ!』が1話から6話をかけて世界を創り上げていった作品であるように、今回も6話分かけて、作品の伝えるメッセージや、僕自身の『トップをねらえ!』に対する思いが表現されていくと思います。
第1話を見る限り、『トップをねらえ2!』は端的に言って、相当面白い作品に仕上がっている。前作に強い思い入れがあるファンには新鮮な驚きを与え、『フリクリ』以来の新作を待ちわびていた鶴巻ファンは狂喜するだろう。本作は安易なリメイクでもなければ、傑作の名を借りた無関係の別作品でもない、紛うかたなき鶴巻和哉の『トップをねらえ!』である。途方もないプレッシャーをはねのけてこれだけの快作を創り上げたスタッフに、まずは敬意を表したい。とはいえ、これはまだ始まりに過ぎない。驚愕・爆笑・アドレナリン沸騰必至の第1話クライマックスから、さらに物語は広大な宇宙へと向かって展開する。第2話以降も目を離すことができない、期待のシリーズであると断言しておこう。(レポート/岡本)
●リリース情報 DVD『トップをねらえ2!』第1話「お姉さまと呼ばせてください!」 価格:6090円(税込) 発売日:11月26日 発売・販売:バンダイビジュアル
●関連サイト
『トップをねらえ2!』
http://www.top2.jp/
(04.10.08) |
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