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来場者のにぎわいにイベントの成長を見た
 東京国際アニメフェア2005



 去る3月31日から4月3日までの4日間にわたり、東京都主催の国内最大級のアニメイベント「東京国際アニメフェア」が、今年も有明の東京ビッグサイトを会場に開催された。内容の充実ぶりはそのままに、来場者のにぎわいがイベントの成長を如実に示していた。
 メイン会場の見本市には、各制作会社やメーカー・放送局のブースが立ち並び、ビジネスデーの人出もかなり多い。アニメフェアで初めて公式発表される新作アニメのタイトル数も、昨年よりまた増えた印象。今や各社にとってここが大きなビジネスチャンスの場となっているのは確かなようだ。
 見本市で目を引いたのは、フジテレビによる新アニメ枠「ノイタミナ」の特設ブース、複数のモニターで数本の新作パイロット映像を一挙に上映していたaniplexのブース、Production I.Gの劇場作品『××× HOLIC』展示スペース、などなど。STUDIO4℃のブースでは、短編競作プロジェクト「GENIUS PARTY」や森本晃司監督の待望の初長編『SACHIKO』のパイロット映像がモニターで上映され、国内外の熱心なファンが目を輝かせていた。
 特設ステージでは新作の制作発表記者会見も相次いで行われた。中でも、先述の「ノイタミナ」レーベル『ハチミツとクローバー』『Paradise Kiss』や、日本のアニメ制作会社と米国カートゥーン・ネットワークとの合作企画2作品『IGPX』(+Production I.G)、『出ましたっ! パワパフガールズZ』(+東映アニメーション+アニプレックス)などが注目を集めた。
 ビジネスデーのみ行われたシンポジウムも、各回満席に近い動員。特に海外市場におけるアニメビジネスのポテンシャルの高さから、「欧米の最新アニメ市場と日本企業の次の一手」「海外から見た日本のアニメ」といった議題への注目度は高く、現地からの貴重な実態レポートや、新たに望まれる作品傾向など、興味深いスピーチを聞く事ができた。また、ソエジマヤスフミや高木真司らが参加した「最新劇場アニメ大作(改め、日本のアニメ大作)に見るデジタル制作新潮流」では、『巌窟王』の制作過程を具体例としつつ、新しい映像表現の実現を目的としたソフトウェアの独自開発という、まさしくアニメ制作の新潮流といえるテーマが活発に議論された。関係者だけでなく、一般にもこうした声を聞く場が与えられるといいのだが、それは観客のニーズ次第だろう。
 そして後半2日間の一般デー。ひとたび会場へ足を踏み入れると、人気のブースやステージの前には長蛇の列ができ、前回を遥かに凌ぐ一般入場者の増加ぶりは、取材者も面食らうほどだった。特に親子連れの数が増えたようにも見え、それに呼応するかのように子どもたちを対象にしたキャラクターショーやイベントなども各ブースで行われていた。もちろん声優のトークイベントや、カートゥーンネットワーク制作『ハイ!ハイ!パフィー・アミユミ』の凱旋放映を控えるPUFFYのミニライブも大盛況。やや人波が一方に偏りすぎるきらいはあったが、ショーとしての充実ぶりが大いに人目を引いた結果だろう。
 今回、アニメ産業の隆盛を築いた先人たちの功績を称える「特別功労賞」が新たに設けられ、第1回は「日本のアニメをつくった20人」として20名の故人に賞が贈られた。また、特別企画展として「やなせたかしとアンパンマンの世界」を開催。各作品に登場するキャラクターのラフデザイン、生イラストや、やなせ自身によるシナリオチェック(!)など、見応えのある展示内容だった。



 にぎやかな見本市会場の外、レセプションホールでは恒例の「東京アニメアワード」の表彰式が行われた。最高賞の「アニメーション・オブ・ザ・イヤー」は、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が獲得。脚本賞・美術賞・声優賞などの個人賞は軒並み『ハウル』『INNOCENCE』『STEAMBOY』の劇場3大作が分け合うかたちになった。今年も代理受賞者が多かったが、脚本賞と優秀作品賞を得た押井守はビデオメッセージで受賞の感想を語った。
 また、前田真宏監督の『巌窟王』(テレビ部門優秀作品賞)や、大地丙太郎監督の『アニメーション制作進行 くろみちゃん2』(OVA部門優秀作品賞)、森田修平監督の『KAKURENBO』(公募作品一般部門グランプリ)など、クリエイター発の企画による作品が高く評価され、多数受賞したのも今回の特色。この成果が他のクリエイターにも刺激をもたらす事を期待したい。
 『ハウル』の作品賞受賞コメントで、鈴木敏夫プロデューサーは今回のアニメフェアによせて「始まる前はどうなることかと思っていたけど、会場を回っている間に“これは本当にいいイベントになってきたな”と思いました」と語った。その言葉どおり、アニメビジネスの発展の場としても、アニメファンの集う年に一度のお祭としても、広く認知された事が感じられるイベントだった。今回盛り上がりを見せた分、次回への期待も高まったことだろう。イベント情報の分かりづらさや、特設シアターの視聴環境の劣悪さなど、改善の余地もまだ残されている。来年はより完成度の高いイベントを目指してほしい。

(05.04.08)
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