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　編集・著作：スタジオ雄
　協力：スタジオジブリ
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■東大公開講座でＩ．Ｇ新作アニメの製作発表
「ＴＶ　Ｓｅｒｉｅｓ　ＢＬＯＯＤ　Ｎｉｇｈｔ」
レポート

　５月９日、東京大学安田講堂で「ＴＶ　Ｓｅｒｉｅｓ　ＢＬＯＯＤ　Ｎｉｇｈｔ」が催された。本イベントは、東京大学大学院の公開講座の一環として企画されたもので、その中で新作ＴＶシリーズ『ＢＬＯＯＤ＋』の製作発表を行うという異色の試み。当日は、事前申し込み制だったにも関わらず、開場前から安田講堂前に長蛇の列ができ、立ち見の観客が出るほどの盛況ぶりだった。

　Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇのオープニングムービー上映を皮切りに、司会のＴＢＳ向井アナウンサーと、スペシャルナビゲーターとして女優の栗山千明が登場すると、会場は大きな拍手に包まれた。Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇがアニメパートを制作した映画「キル・ビル　Ｖｏｌ．１」で、彼女はゴーゴー夕張役を快演したが、御存知のとおり、そのキャラクターは監督のクエンティン・タランティーノが『ＢＬＯＯＤ　ＴＨＥ　ＬＡＳＴ　ＶＡＭＰＩＲＥ』の主人公、小夜にインスパイアされて作ったもの。今回はその縁での出演だとか。
　２人の司会でプログラムはテンポよく進行。浜野保樹教授の司会による押井守監督、石川光久Ｉ．Ｇ社長のトークセッション、『ＢＬＯＯＤ＋』製作発表、そして「アニメーションと戦争」と題されたパネルディスカッション等々、どのプログラムも充実した内容で興味深いものだった。各プログラムの合間に、気鋭の若手チェリスト・古川展生によるソロ演奏が挟まれるのも、大学の講座とは思えない粋な演出。
　前半のトークセッションでは、押井監督と石川社長から、押井塾から生まれた『ＢＬＯＯＤ　ＴＨＥ　ＬＡＳＴ　ＶＡＭＰＩＲＥ』の企画成立の経緯が詳しく語られ、企画を作る意義について示唆深い発言が幾つもあった。

石川「押井塾は、アニメ界でボロ雑巾のように扱われがちな制作進行の人達への贈り物だった。自分の企画を押井さんに見てもらうという事は財産になる。こういうプレゼンのチャンスを与える事が、最終的にはプロデューサーを育てる事になるのかなと思う」
押井「押井塾は、業務時間の間に週１回３時間ぐらいやっていた。業務時間内にやったというところがミソ。これは画期的な事だったと思う」

　トーク終盤には、現在制作中の新作『立喰師列伝』の特殊な制作過程についても語られ、押井ファンを喜ばせた。また、後半のパネルディスカッションでは、毎日放送・竹田青磁プロデューサーが、報道記者として湾岸戦争を取材した時の貴重な体験談が語られた。土曜６時という時間帯にあって、子ども達に苛烈なテーマを与える意欲作を送り続ける竹田プロデューサーの、制作姿勢の根源を垣間見るようなエピソードだった。
　アニメファンのみならず、プロデューサー志望者にとって有益な発言も数多くあり、イベント冒頭で挨拶に立った原島博教授の「プロデューサーを育てたい」という狙いはまず成功したと言っていいだろう。２時間半という長丁場のイベントだったが、観客は大満足だったのではないだろうか。スムーズな進行、映像・舞台の演出は、場所が安田講堂でなければ、一般の番組製作発表と変わらない見事なものだった。

　最後に、『ＢＬＯＯＤ＋』について触れておこう。監督の藤咲淳一は押井塾出身で、『ＢＬＯＯＤ　ＴＨＥ　ＬＡＳＴ　ＶＡＭＰＩＲＥ』の企画立案者のひとり。『攻殻機動隊』ＴＶシリーズの脚本への参加や、Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇ制作のゲーム監督などを経て、今回初めてＴＶアニメシリーズの監督に挑戦する。現在制作真っ只中という事で、藤咲監督の発言は少なめだったが、作品に懸ける熱い意気込みはひしひしと伝わってきた。また、竹田プロデューサー、アニプレックスの勝股英夫プロデューサーら、製作陣からも大きな期待と決意の旨が語られた。本作の放送枠は『機動戦士ガンダムＳＥＥＤ』『鋼の錬金術師』『機動戦士ガンダムＳＥＥＤ　ＤＥＳＴＩＮＹ』と、ヒット作を生み出してきたＴＢＳ系土曜６時。この最高の舞台でどんなドラマを見せてくれるのか、10月の放映を楽しみに待つ事にしよう。

●スタッフ
原作／Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇ、アニプレックス
監督・シリーズ構成／藤咲淳一
キャラクターデザイン／箸井地図
アニメーションキャラクター・総作画監督／石井明治
企画協力／押井守
制作／Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇ
製作／毎日放送、アニプレックス、Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇ

●放映情報
2005年10月より、ＭＢＳ・ＴＢＳ系全国ネットにて毎週土曜夕方６時から放映開始

●関連サイト
『ＢＬＯＯＤ＋』公式ＨＰ
Ｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ　Ｉ．Ｇ
東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム

（05.05.13）

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