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OPを担当したゲームが連続リリース!
 金田伊功ミニ・インタビュー!!

 あの金田伊功がオープニング・ムービーを手がけたPS2用ゲームソフト2作品が、5月・7月に相次いでスクウェア・エニックスからリリースされる。タイトルは「半熟英雄4 7人の半熟英雄」、そして「武蔵伝II ブレイドマスター」。
 まず「半熟英雄4 7人の半熟英雄」は人気シミュレーションRPGシリーズ最新作で、今回のキャッチフレーズは“クオリティ+バラエティ”。主人公「若さま」を筆頭に、7人の半熟英雄たちが宇宙を舞台に冒険を繰り広げるという筋立てで、山盛りのパロディが魅力のゲームだ。
 金田は前作「半熟英雄 対 3D」に続いての登板となり、OP&EDアニメーションの演出・作画を担当している。ささきいさおが熱唱する勇壮な主題歌に乗って、パワー炸裂のハッチャケ作画でパロディ・ギャグをかましまくるオープニングは、そこだけ何度でも観たくなる素晴らしい仕上がり。エンディングがどんなものかは、以下のインタビューにもある通り、ゲームをプレイしてからのお楽しみだ。

▲「半熟英雄4 7人の半熟英雄」OPムービーより

 そして2本めの「武蔵伝II ブレイドマスター」は、「半熟」シリーズと同じく時田貴司プロデュースのアクションRPG。1998年にプレイステーション用ゲームとして発売された「ブレイヴフェンサー 武蔵伝」の続編にあたるタイトルだ。主人公は二刀流で戦う少年剣士ムサシ。「見切りシステム」や「ダッコシステム」といったユニークなシステムが盛り込まれており、米国で先行発売さたのも話題のひとつ。
 金田はオープニングムービーの絵コンテを手がけ、アニメ業界一の金田リスペクト体現者である今石洋之が監督・作画監督を担当。不敵な笑みを浮かべた主人公ムサシが、超絶アクションをたたみかける、ハイテンションなアニメに仕上がっている。

▲「武蔵伝II ブレイドマスター」OPムービーより

 今回、アニメスタイル編集部はスクウェア・エニックス本社に赴き、金田さんにお話を伺ってきた。金田伊功自身のWEBアニメスタイルの登場は、これが初めてだ。

2005年4月25日
取材場所/東京 スクウェア・エニックス
取材・構成/小黒祐一郎


PROFILE
金田伊功(KANADA YOSHINORI)

1952年2月5日生まれ。奈良県出身。日本を代表するアクションアニメーター。代表作はTV『大空魔竜ガイキング』『無敵超人ザンボット3』、劇場『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』『銀河鉄道999』『幻魔大戦』『バース』等。また『銀河旋風ブライガー』等、オープニングアニメーションの傑作も数多く残している。1998年3月に3DCG劇場作品『FINAL FANTASY』に参加するためにハワイに渡り、後に帰国。現在もスクウェア・エニックスの社員としてゲームの制作に関わっている。




── 金田さんがオープニングを手がけたゲームが、ほぼ同時にふたつリリースされるというので、ちょっと驚きました。これは同時に動いていたプロジェクトなんですか。
金田 ほぼ同時になっちゃったんですよ。新しい「半熟英雄」をやっている時に、吉本さん(吉本よういち。「武蔵伝II ブレイドマスター」のディレクター)から「『武蔵伝』でも、2Dのオープニングを作るんですけど」と言われて。「武蔵伝」では絵コンテを切って、作画は今石君にお願いしたんですよ。「ハデなアニメートがイイ」と思っていたので、今一番元気がある、今石君にお願いした感じです。
── 今石さんの仕事は、御覧になった事はあるんですか。
金田 友達からビデオを借りて、何本か観ましたよ。TVのやつとか、映画のやつ(『DEAD LEAVES』)とか。『(Re:)キューティーハニー』も、ちょっと観ています。
── 「武蔵伝」は絵コンテだけで、後の作業はやっていないんですか。
金田 作画や、コンテ以降の演出に関しては、今石君にお任せしました。
── コンテのコンセプトはどんな感じだったのでしょうか。
金田 最初にアメリカで販売するチャンバラものなんで、チャンバラをいくつか見せていく。それと、昔のアニメみたいに、画が崩れるくらいアクションに勢いがあるものになったらいいし、うれしい。キャラクターデザインは意外とカチッとした感じで、俺の描いた絵コンテはキャラが歪んでいるから、多分、今石君はその両方をミックスして描くのが大変だったと思うんですけど。できたOPは、1回観るぐらいでは分からないぐらい勢いあるアニメになりました。ただ、コンテに対して(今石君は)「俺だったらもっとこう描くよ」みたいに思ったかも……。

▲「武蔵伝II ブレイドマスター」OPムービーより

── ゲームスタッフから、オープニングに関して具体的なオーダーはあったんですか。
金田 「武蔵伝」に関しては、吉本さんの方から曲をもらってやったんですよ。最初に曲を聴いた時に、ちょっと懐かしのベンチャーズっぽい感じだと思って。最初は口上みたいなのはなかったんです。その頃に、実写の「CASSHERN」の予告編を見たら、口上が入っていて「やっぱり口上はかっこいいなあ」と思って、吉本さんに追加してもらったんです。
 「半熟(英雄4 7人の半熟英雄たち)」の方はパロディなんですよ。時田さん(時田貴司。「半熟英雄」シリーズ・「武蔵伝II」のプロデューサー)から、字コンテで「こんな感じの」というのをもらって。その中には「傷だらけの天使」とか、懐かしいやつが並んでいて。
── (笑)。
金田 僕らは分かるけど、若い人にはほとんど分からない(笑)。でも、(若い人が)分かるものを選んでやっていくと、今度は僕らが分からない。だから、分からなければ分からなくてもいいじゃん! って事で、時田さんの年代のもの、俺なんかの年代のものでやっています。
── パロディのアイデアは、時田さんから出てきてるものが多いんですか。
金田 そうですね。時田さんの方から出てきたものに、若干追加したみたいな。
── 某美少女戦士のパロディとかも、時田さんの方から?
金田 確か「セーラー・魔女っ子もの」と書かれていたと思う。
── 「セーラー・魔女っ子もの」ですか(笑)。
金田 今の人にも分かるのは「ロード・オブ・ザ・リング」かな。部分的にパロディにしたのもあるんですよ。白黒時代の最初の『ゲゲゲの鬼太郎』の、オープニング冒頭の部分とか。あれは、分かんないんじゃないかなあ。
── いや、気がつきませんでした。
金田 『巨人の星』風のところも、『巨人の星』プラス『侍 ジャイアンツ』風にしたり。
── あ、やっぱり!(笑)投球が番場蛮風なのは、わざとだったんですね。「半熟4」では、「OP・EDアニメーション」という肩書きになっていますが、どこまでおやりになったんですか。
金田 絵コンテを描いて、原画を描いて。BGもほとんど描いています。エンディングは、止め画が中心なんですけども。コンテと作画を。
── という事は、OP・EDの原画は全部お描きになったんですね。
金田 そうですね。OP・EDの演出は、タツノコプロの中村(健治)さんがしっかりまとめてくれてます。
── 「半熟4」のオープニングは、実際の製作期間はどのくらいかかってるんですか。
金田 長いですよ。コンテと作画と、彩色、撮影、音入れの完成まで、8ヶ月ぐらいかかってます。その途中で「武蔵伝」が入ったりしてますけど。作画に関しては2ヶ月半かかってますかね。エンディングはほとんど止め画だったんで。原画は1週間くらい。
── 全部を作画されたのは、久し振りなんじゃないですか。
金田 そうですね。前の「半熟3D」の時は、3D部分を3Dのスタッフに作ってもらいましたしね。オープニングを全部描くというのは、今も昔もTVの短いスケジュールでは、きついですネ。『(とっても!)ラッキーマン』の頃も、結局は間に合わなくて、2カットぐらいは他の人に出している。
── あ、そうなんですか?
金田 1カットかな? 鍋島(修)君に出してます。
── ムービーを拝見して、動きが『ラッキーマン』のシャープな感じに近いと思いました。御自身の意識としてはどうなんでしょうか。
金田 『ラッキーマン』の頃の感じで描いたつもりと言えば、そうですけどね。ただ、「キカイダー」風のところで爆発があるんだけど。昔の「シュルシュルッ」と描いてた、勢いのある感じじゃなくて、「あれっ?」って感じ……(苦笑)。
── 爆発はディテールが細かくなってますよね。
金田 そうですかね。多分、『ラッキーマン』の頃と同じぐらいで、相変わらず描き込んでない爆発ですよ。エフェクトと言えば、大友(克洋)さんの映画(『STEAMBOY』)の爆発とか、いいですよね。
── 『STEAMBOY』は、本格エフェクトアニメでしたからね。
金田 「エフェクト、かっこいいなあ」と思って観ましたけどね。あれは、多分、凄く時間のかかる原画ですよね。
── かなりかかっていると思います。金田さんは、「半熟4」のゲーム自体には関わってないんですか?
金田 ゲームの中でも、エッグモンスターとか、新しいエッグマンたちの動きを、いくつか描いてます。
── 変な事を聞きますけど、それは、僕らが見ても「金田さんの動きだ」と分かるものなんですか。それとも普通のタイミングなんですか。自分が描いている、と分からせようと思って描いてるわけではないと思いますが(笑)。
金田 それはないけど(笑)。「もしかしたら」というのは、多分……分かるかも……。
── オープニングが完成して、手応えはいかがですか。
金田 いや、うまくいったところもあれば、「ん?」と思ったところもあるし。それと、いつもの事なんですけど、「らしさ」が出せればいいかな。それは「俺らしさ」というか。
── なるほど。
金田 「爆発はこうしてくれ」とか「キャラはこれじゃダメだ」とか指定される事はほとんどありせんでした。そういう意味では、好きに描かせてもらってます。

▲「半熟英雄4 7人の半熟英雄」OPムービーより

── 「半熟」以外の話も聞かせてください。映画の『FF』を終えて帰国なさってから、今までどんなお仕事をなさってたんですか。
金田 帰国してからは、最初は(スクウェア・エニックスの)カイスイ(開発推進部)という部署で、ぼーっとしてたよ(笑)。そしたら突然、「FF」の「XI」(イレブン)っていう、オンラインゲームが入って。各登場人物の紹介部分の3Dモーションの仕事を、ハワイ帰国組のメンバーでやってました。
── ああ、確か山下(将仁)さんもやられたんですよね。
金田 そうですね。モーキャプを使っていたんだけど、みんな、四苦八苦してやってましたね。俺も……(苦笑)。
── モーションキャプチャーで作った動きを、金田さん達がいじるんですか。
金田 それ(モーションキャプチャーの動作データ)をキャラクターに取り込むと、リアルに動く。でも、そのデータが荒れてたりして、なめらかに動いてない部分があるので、あーでもないこーでもないとデータをいじるんだけど……3Dマシンに慣れてないんで、疲れました。まだハワイの仕事の時のファントムみたいなキャラの方が、動かして楽しかったよね。
── 「FFXI」の後の仕事が「半熟3D」になるんですね。あの時は3Dのキャラクターは他の方がやっていたんですよね。3Dの動きのチェックもしたんですか?
金田 ある程度……です。「半熟」的な作品ですから、「細かい事は気にしないで、勢いで!」と3Dスタッフにお願いしました。
── 「半熟3D」の次のお仕事が「半熟4」ですか。間断なく作品に関わられているんですね。
金田 ええ。「半熟3D」の時は「設定が面白いな」と思ったんだよね。敵が3Dで、こっちは2Dで、「2Dが意地を見せるか、3Dの技術の方が凄いか」というコンセプトだったから。
── 今後の抱負とか、ご予定とか、差し支えない程度に教えていただけますか。
金田 抱負ですか? なんですかね。一生、「一(いち)アニメーター」で行ければいいかな、と思ってますけど。昔は「タップだけなのも、嫌だな」と思ってたんだけど。結局、タップしかないのかな、と(苦笑)。
── なるほど。
金田 ええ。3Dもちょっと勉強させてもらったけど、本格的にできるようになっていない、というよりは向いてないかも……。やっぱり、タップですかね。
── この後のお仕事は、決まってるんですか?
金田 次のゲームの企画に参加しています。
── 最後に、ファンの方に何かメッセージを。
金田 いやいや(苦笑)。
── 「ゲームを買ってください」みたいな感じでも(笑)。
金田 それじゃ、ゲームを買って、エンディングまで観てください。
── あ、そうか。ゲームを最後までやらないと、金田さんが描いたエンディングは観れないんですね。
金田 個人的にはオープニングよりも、エンディングの方が気に入ってるんですよ。どこが気に入ってるのか言ったら、「ああ、それかあ!」と言われて終わっちゃうんだけど(笑)。
── ああっ、そうなんですか(笑)。気に入っている理由は、見れば分かるんですね?
金田 (笑)分かりますよ、それは。
── 分かりました。頑張ってエンディングに行くまで、プレイしますよ!

●商品データ
PS2ソフト「半熟英雄4 〜7人の半熟英雄〜」
発売日/2005年5月26日
価格/通常版:7140円(税込)
   初回限定版「半熟銀河弁当」:9240円(税込)
対応機種/プレイステーション2
ジャンル/バラエティ・RPG
発売・販売/スクウェア・エニックス

PS2ソフト「武蔵伝II ブレイドマスター」
発売日/2005年7月7日
価格/7140円(税込)
対応機種/プレイステーション2
ジャンル/アクションRPG
発売・販売/スクウェア・エニックス

●関連サイト
半熟英雄公式ウェブサイト 半熟劇場
http://www.square-enix.co.jp/hanjuku/

武蔵伝II ブレイドマスター
http://www.square-enix.co.jp/games/ps2/musashi2/


(05.05.20)
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