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BOOK REVIEW「軌跡」

 近年になって、制作会社ごとの年譜をまとめた出版物の刊行が相次いでいる。昨年の『Mad About MAD HOUSE』や、辰己出版の「大全集」シリーズ、やや古いが『ぴえろ全書』等である。これからも、タツノコプロに関する大著の出版が予定されているようだ。これは、少々大袈裟に言えば、アニメ界全体が曲がり角の時を迎え、己の思春期を振り返る時期に至っているということなのかもしれない。
 そんな中、刊行されたこの本は、副題に「Production I.G 1988−2002」とあるとおり、Production I.Gの15年の軌跡を追った本である。I.Gがどんな会社かはアニメスタイルの読者には説明不要だろうが、そんな人でも、こんな作品をやっていたのかと初めて知るような名前がひとつやふたつはあるだろう。個人的には、ゲームのアニメパートのスタッフリストの掲載が、最後までプレイしないと目にすることができないだけにありがたい。
 興味深いのは、冒頭に収録されている特別対談。石川光久と後藤隆幸による対談には、I.Gが石川と後藤の頭文字であること等、初めて活字化された情報が多い。一方、押井守と黄瀬和哉の対談はまるで漫才の掛け合いのようなノリが楽しく、押井監督の意外な側面がうかがえる。さらに中盤の各スタッフのインタビューも広くキーパーソンを拾っており、飽きさせない。
 また、カラー図版で構成された丹念な年譜には、初めてみるような珍しい作品も多く掲載されている。もっとも少し残念なのは、そういう作品に限って図版のない点だ。解説を読むとスタッフや内容等に興味深い作品も多いだけに、ないものねだりかもしれないけれど、手がかりとなる図版があればもっとよかったと思う。
 日本でも有数の世界マーケットを狙うアニメ制作会社であるI.G。座談会において大月俊倫が、これまでを第1期、これからを第2期と発言しているように、この本の刊行がI.Gの転換点を象徴しているのは間違いない。I.Gの行方を占うための、基礎となる「読ませる」資料集である。(び)

●商品データ
「軌跡」/角川書店/定価3600円(税別)

●関連サイト
Production I.G
http://www.production-ig.co.jp/
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