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「東池袋アニメ積読録」 小川びい

2003年5月
皐月は巨人の星と女性アニメ評論家奮闘編

 編集スタッフの小川びいです。編集長が突然「先月出たアニメ関連本を紹介せよ」と言い出して、途方に暮れています。そりゃ、僕だってアニメファンの端くれ、アニメ関連本は読むのも買うのも大好きです。アニメムックならなんでも買うというほどマニアではありませんが、かなりの量を買います。とはいえ、コレクターよろしく創刊号を集めたり、ロマンアルバムや100%コレクションの欠けた番号を埋めるべく、市中を探し回ったりはしませんが。
 以前のようにアニメ番組のムックが定期的に刊行されていた時代と違い、最近はアニメ出版物も多岐にわたり、どこで何が出ているのか見通しがききにくくなっています。そのため僕も買い漏らしがないように、周囲の人間に何を買ったか聞いたり、逆にあれは買ったかと尋ねたり、簡単なメモを作ったりはしています。とりあえずは、そこで集めた情報を公開するという事で勘弁してもらいましょう。こうやって公開すればアレも買っていないのかコレも知らないのか、と情報を寄せてくれる奇特な人も現れないとも限らないし。ホントはこういう情報はWEBなり雑誌なりで誰かが公開してくれて、それを参考にしながら買い物する、というのが僕としては理想なんだけど。まあ、まずは隗より始めよ、ですかね。
 というわけで、5月に出たアニメ関連本を紹介しましょう。と言っても、厳密にここまでがアニメ関連で、ここからが違うという線引きはできないので、あくまでそこはフィーリングで。マンガ関連本が入っていたり、特撮関連本が入っていたりすることもあれば、逆にわざとはずしたものも出てくるでしょう。と、言い訳に言い訳を重ねるのも、3段落ぐらいが限度かな。
 昨年から今年にかけては一種のアニメブーム、アニメ本ブームだったというのが自説なんだけど、周囲の人間に言ってもあまり相手にしてもらえません。世間的にはTVアニメの本数がどうした、アニメバブルだ、と喧伝されながらも、実際には求心的なマニア向けアニメや、重厚な傑作はなかなか生まれていないわけだし、出版業界自体が不況にあえぐ中で、アニメムックがヒットしたという話も聞かないからでしょう。ところがマニア向けからちょっとだけ目を転じると、別冊宝島の「僕たちの好きな」シリーズは大ヒット、アートアニメーション関連本は、ここ20年なかった出版ラッシュを迎えている(というか“アートアニメ”という呼称自体、最近のスマッシュヒットによって出てきたものですけれど)、という状態です。このあたりに、世間から見たアニメと、アニメファン界から見たそれとの違いを探る事ができるかもしれません。
 さて、その「僕たちの好きな」シリーズは4月末から5月初めにかけてと、5月末にドドドッと新刊を連打してきました。こんなに一体誰が編集しているのやら。よく続くなあと感心してしまいます。中で注目は「僕たちの好きな巨人の星」(宝島社)。一見アニメネタと見せて、中身はマンガのみというのも、このシリーズには多い中、これはアニメネタメインで勝負。『巨人の星』のアニメムックというのは、実はこれが初めて。少し前の「ドカベン」のものと並んで、存在だけで貴重でしょう。とかく変更されがちな第10話「日本一の日雇人夫」というサブタイトルも、オリジナルどおり、きちんと表記するのは立派。
 一方、アートアニメーション関連では、なんと言っても“山村浩二バブル”が凄かった。「SWITCH」等、いわゆるサブカルチャー系のオシャレ雑誌を中心に、どれをめくっても山村浩二インタビューという事態に相成りました(「キネマ旬報」にも載ってましたね)。以前からの山村浩二作品のファンである僕も、これには少々食傷気味。でも、大本命「山村アニメーション図鑑」(演劇ぶっく社)には、かなり期待しています。また、これは4月に出たものですが、「アニメクリエータになるには」(ぺりかん社)掲載のインタビューは、ムクオプロ時代の事にも触れていて、貴重です(以前、『聖闘士星矢 真紅の少年伝説』を劇場で見たときに、名前を拝見して、オオッと思ったものです)。山村以外が、りんたろう、伊藤有壱という人選も、奇妙な味わいがあって面白い。巻末のアンケートで、中村武雄と、西尾鉄也、ひこねのりおが並んで掲載されているだけでも愉快な一冊でした。
 5月はまた女性アニメ評論家が大奮闘した月でもありました。おかだえみこ御大は「人形アニメーションの魅力」(河出書房新社)を刊行。海外のアニメはリップシンクロになぜかこだわる、という話は面白い。そういや、そうですね。さらに、コミックボックス編集部が、「世界と日本のアニメーションベスト150」(ふゅーじょんぷろだくと)を刊行。以前より噂になっていた本ですが、圧倒的なボリュームで読ませます。原恵一さんの『人狼』評が面白い。芝山努さんが、『のび太の日本誕生』をベスト3に選んでいるのも興味深い――以前、望月智充さんがあの作品にかなりの高評価を与えているのを見て、僕はとても面食らった事があるのです。圧巻は五味洋子さんのアニメ100選。そのバランスと目配せのよさ、視野の広さと力業に脱帽。その素晴らしさは認めつつも、ただちょっとだけ気になるのは『Gガンダム』と『ミスター味っ子』両方を選んでいる点。うーん、本当に好きなんですねえ。
 外部からはアニメバブルに見える、というわけで、今のアニメの状況を取り上げる雑誌もいくつか散見されます。「創」6月号(創出版)はマンガ市場の特集ですが、版権ビジネス等でアニメの記事もかなりのボリューム。「GALAC」6月号(放送批評懇談会)は、それほどのボリュームはありませんが、韓国のアニメ事情をレポートした記事が興味深い。この春の新番組全体の大きなポイントは日韓合作(の表面化)かと思いますが、どうしてそういう流れになったのか、その理由の一端にも触れられています。さらに、6月には「Invitation」(ぴあ)「H」(ロッキング・オン)等が、アニメの特集を予定しているとか。確かに『THE ANIMATRIX』や『アンダルシアの夏』なんかは、アニメ誌よりも、こうした雑誌向きなのかもしれませんね。
 そうそう、リストアップはしませんでしたが、「エース特濃」2号(少年エース増刊/角川書店)で、押井守さんのロングインタビューが始まりました。カットは西尾鉄也さん。押井ファンならすでにチェック済みでしょうが、西尾鉄也ファンも注目です。
 というところで、今回は終わりです。ついでに6月の近刊予定も一緒にメモ。あくまで、目安なので、情報が実際と違っていても見逃してください。では、この企画が続くなら(続くんかいな)、また来月お会いしましょう。


●5〜6月のアニメ関連本リスト

(▼書名・誌名[著者]  発行・発売元/判型/価格[税別]/発売時期)
※発売日・価格等はあくまで目安。店頭にて要確認の事。すでに発売中のものには発売時期はつけていません。順序は大体の発売順です。

アニメクリエータになるには[小出正志、昼間行雄]
ぺりかん社/四六/1170

ガンダムMS兵器図鑑 宇宙世紀編[サンライズ・監修、後藤一信、金森検校著]
講談社/A5/1500

僕たちの好きな巨人の星(別冊宝島782)
宝島社/B5/952

GALAC(6月号)
放送批評懇談会発行・角川書店発売/B5/743
 ※特集:アニメブームの裏のウラ

創(6月号)
創出版/A5/524
 ※特集:マンガの「危機」と「可能性」。「民放アニメ週60本時代のサバイバル」などアニメ関連の記事もあり。

サンライズエイジ(1号)
 芸文社/A4変/848
 ※サンライズ作品だけで作られたムック。

パペットアニメーション[おかだえみこ]
 河出書房新社/四六/2000

スタジオジブリ絵コンテ全集第II期 じゃりン子チエ
 徳間書店スタジオジブリ事業本部/A4/2800

ブラック・ジャック完全読本(別冊宝島794)
 宝島社/B5/933

僕たちの好きな科学忍者隊ガッチャマン(別冊宝島801)
 宝島社/B5/1200

デビルマンPERFECT BOOK(別冊宝島802)
 宝島社/B5/1200

機動戦士ガンダム大事典一年戦争編(復刻版)
 ラポート/1800
 ※再度の復刻

高橋直純写真集 A’LIVE
 コーエー/A4/2200

新世紀GPXサイバーフォーミュラ大全
 エムディエヌコーポレーション発行・インプレスコミュニケーションズ発売/B5/2900

機動戦士ガンダムSEED OFFICIAL FILE キャラ編(2巻)
 講談社/A4判変形/476

機動戦士ガンダムSEED OFFICIAL FILE メカ編(2巻)
 講談社/A4判変形/476

世界と日本のアニメーションベスト150
 ふゅーじょんぷろだくと/A4変/1380

CGWORLD(7月号)
 ワークスコーポレーション/A4変/1219
 ※特集1・徹夜してでも観たいデジタルアニメたち。『THE ANIMATRIX』や新作『ZOID』の情報等。

大いなる河の流れ[フレデリック・バック]
 あすなろ書房/A4変/3200/5月下旬

怪獣論(仮題)[唐沢俊一]
 二見書房/四六/1500/5月下旬

山村アニメーション図鑑[ピクトアップ編]
 演劇ぶっく社/B5変/1500/5月下旬

Invitation(7月号)
 ぴあ/A4変/680/6月10日
 ※特集・ジャパニーズ・ドリームはアニメにある

日経Characters!(1号)
 日経BP/A4変/580/6月10日
 ※「日経エンタテインメント!」の増刊。“大人が楽しめる”キャラクター総合情報誌とか。

THEビッグオー on Visual[ブレインナビ編]
 双葉社/B5/1600/6月上旬

コン・バトラーV ボルテスV大全[大久保一光、バッドテイスト編]
 双葉社/A5/2000/6月下旬
 ※コン・バトラーV〜ダルタニアスまでの4作品を検証。ダルタニアスは初出資料満載とか。

あなたの知らない怪獣(秘)大百科[映画秘宝編集部編]
 洋泉社/A5/1500/6月上旬

誰にも言えない特撮映画の舞台裏[根岸泉]
 玄光社/四六/1500/6月20日

公式ガイドブック2 機動戦士ガンダムSEED 大地の戦士
 角川書店/AB/1200/6月30日

H(62号)
 ロッキング・オン/A4変/467/6月末日
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