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コラム
「編集長のコラム」 小黒祐一郎

 第1回「アニメを語る、という事」

 このコラムでは、特にテーマは限定せず、その時、その時の思った事を書いていきたいと思います。第1回は、少しマジメにいきましょうか。

 アニメを語る。それが「アニメスタイル」と「WEBアニメスタイル」の主な目的です。スタッフに関する記事、メイキング的な記事が主になっています。多分、今後もそれは変わらないと思います。
 ただ、そういった事が、アニメを観る人にとって絶対に必要な事だと思っているわけではありません。
 例えば、毎週『名探偵コナン』を観るのを楽しみにしているごく普通の中学生に「東京ムービーの歴史を勉強してから、観ろ!」なんて言う必要はありません。そんな事は、余計なお世話です。あるいは、作画に関する知識がなくても『THE八犬伝』や『御先祖様万々歳!』を楽しむ事はできるわけです。
 私は、アニメというのは、基本的には感覚的な娯楽であると思っています。普通に観て「ああ、楽しかった」と思えれば、それでいい。
 だけど、それでは済まない人達がいるんです。アニメをもっと深く楽しみたい、という人がいるわけです。勿論、私もそういうタイプのアニメファンですし、このWEBを見てくれている人の大半は、そういう人なんだろうと思っています。
 私は、もう15年近く、アニメ雑誌等で仕事をしてきましたが、あまり、ちゃんとアニメの事を語ってこなかったな、という反省があるんですよ。これは自分自身に対する反省であるのと同時に、アニメマスコミ全体に対して残念に思っている事でもあります。
 端的な例を挙げれば『THE八犬伝 [新章]』の第4話です。これは、もの凄い作品です。観ると、アニメーションで、人や世界を描くというのはどういう事なんだろう、と改めて考えてしまうほどの作品です。ところが、私が知る限り、この作品の凄さを取り挙げたアニメマスコミは一切ありませんでした。そんな例はたくさんあります。
 決して、現在のアニメマスコミを否定したいわけではありません。新作情報を掲載するのも大事な事ですし、美少女キャラの描き下ろしイラストを掲載する事がよくない事だなんて言いません。『美少女戦士セーラームーン』や『新世紀エヴァンゲリオン』が大好きで、喜んでその記事を雑誌で担当していた私が、そんな事を言うわけがありません。
 ただ、そればかりになってしまったのは、まずかったかもしれない。偏りすぎたかもしれない。
 私が「アニメスタイル」や「WEBアニメスタイル」でやりたい事は、いわゆる評論では、ないんでしょうね。多分、私は作品を理解したいと思っているんですよ。その作品がどんな状況で作られたのか、どんな人達が作ったのか、どんな技術が使われたのか。そして、その結果として、どんな作品が生まれたのか。
 もしも、作品にカタチがあるのなら、そのカタチをしっかりと知りたい。
 そういった事を知る事によって、もっとアニメを深く楽しむ事ができるようになるはずだ。そう信じています。
 そして、多くの人がアニメに対する理解を深める事によって、アニメとそれを取り囲む状況が、少しでも豊かになればいいな、と思っています。

 あらら、ちょっと堅すぎましたね(笑)。
 次回は少し柔らかくします。

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