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■「編集長のコラム」 小黒祐一郎
第7回アニメフレーム物語(3) 『ビューティフルドリーマー』の正しい見方? |
前回、お話した(B)のスタイルのビスタサイズでは、劇場公開時には見えなかった画面の上と下が、TV放映時やビデオソフトでは見えるようになるという不思議な現象が起きます。
もう10年以上前に、とあるビデオメーカーのプロデューサーから聞いた話ですが、彼は自宅で『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』を観る際には、TVの上下に黒い紙を貼って画面をカットし、劇場公開時と同じフレームにするんだそうです。つまり、上下がカットされた方が、監督の意図に沿った画面であると判断し、そのフレームで観るというわけです。実にマニアックな鑑賞の仕方ですね。まだ、ワイドTVがなかった時代の話です。
(B)のスタイルのビスタサイズの作品をTV放映したり、ビデオソフト化した時に「セルバレ」、「背景バレ」という現象が起こる場合があります。つまり、劇場公開時にはマスクで隠れていた部分が観客に見えるとマズイような状態(画が描いてない、セルの端が見えてしまう等)になっており、それが見えてしまう事故です。元々、(B)のスタイルはマスクを外しても大丈夫なように画面を作るのが建前ですが、制作上の都合等で、劇場公開時にマスクに隠れる部分を、不完全な状態のままフィニッシュしてしまう事があるんですよ。勿論、マスクを外す際にフレームを修正(トリミング)する事はできるのですが、それをやらないとセルバレや、背景バレを起こしてしまうわけです。
これは実写の映画だと「フレームバレ」と呼ばれます。劇場での上映時にはマスクの下に隠れていた撮影機材のマイク等が、TV放映時やビデオソフトで見えるようになってしまうわけです。
また、(B)のスタイルで制作されても、必ずしも、TV放映やビデオソフトで、マスクが取られるとは限りません。例えば監督の希望でビスタサイズでビデオ化される場合等があるのです。近年では、劇場『デジモンアドベンチャー』(第1作)は、TV放映時はスタンダードでしたが、劇場公開時とビデオ、DVDソフトではビスタサイズでした。
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