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東映長編第3作。華果山の石から生まれた猿は、水簾洞で猿たちの王様となったが、やがて人間よりも偉くなりたいと思うようになり、ガールフレンドのリンリン達と別れて旅に出た。仙人の許で修行した石猿は、極意書と孫悟空という名を授かるが、天国でいたずらをしたため、お釈迦様によって五行山に閉じこめられてしまう。彼を想うリンリンの優しい気持ちに免じて、観音様は、三蔵法師に悟空のいましめを解かせるのだった。だが、その代わりに悟空は三蔵の供をして天竺まで旅する事になる。
手塚治虫の漫画「ぼくのそんごくう」をベースにして、「西遊記」を映画化。手塚は物語の構成と絵コンテ、キャラクター原案を担当したが、絵コンテは東映動画のスタッフにより手を入れられてしまい、彼にとっては不満の残る仕上がりとなった。大きな変更はヒロインのリンリンの扱いである。手塚の絵コンテでは、ラストは悟空が天竺から戻るとすでにリンリンは死んでおり、悟空が墓の前で泣くというものであったが、それが変更され、ラストはハッピーエンドとなっている。この作品でのフラストレーションが、後に手塚が虫プロダクションを設立するきっかけになったと言われている。
手塚色が薄まったとはいえ、その自由奔放なアイデアは作品の随所に活かされており、遊びの多い娯楽作となっている。また、作画的にも見所は多い。森康二は吹雪の中で五行山の悟空に食べ物を届けるリンリンを繊細に描き、名シーンに仕上げ、大塚康生は悟空と大サソリ、牛魔王との戦い等を描いた。 なお、本作の特報にはアニメと実写の合成で、悟空が東映動画の社長室を訪れて、社長の大川博と会話するという愉快な映像がある。これはDVD等にも収録されている。
[参考資料] 東映動画編『東映動画長編アニメ大全集』(上巻)徳間書店 大塚康生著『作画汗まみれ 増補改訂版』徳間書店
●公開データ
1960年8月14日公開 劇場作品 88分
●スタッフ&キャスト 企画/高橋秀行、渾太防五郎 構成/手塚治虫 脚本/植草圭之助 ※助=目+力(助の異字) 演出/薮下泰司、手塚治虫、白川大作 ※泰=券−刀+「したみず」(泰の異字) 音楽/服部良一 ※良=一+艮(良の異字) 動画監修/山本早苗 原画/森康二、熊川正雄、大塚康生、大工原章、古沢日出夫 動画/紺野修司、喜多眞佐武、楠部大吉郎、奥山玲子、寺千賀雄、吉田迪彦、永沢詢、杉山卓、堀川豊平、太宰眞知子、中村和子、長沼寿美子 美術/矢野雅章、沼井肇 色彩/前場孝一 背景/杉本英子、小沢和子、斉藤君子、浦田又治、横井三郎 トレース/進藤みつ子、本橋文枝、宮崎正子、吉田信子 彩色/川島純子、林冨喜江、岡迫亘弘 仕上検査/新納三郎 撮影/大塚晴郷、石川光明、杉山健児 録音/空閑昌敏、森武 音響効果/加納米一 編集/宮本信太郎、井草寛二郎 考証/邱永漢 製作進行/茂呂清一 作詩/西沢爽 ※爽のメは人(爽の異字) 歌/山東昭子、佐藤しげみ、ダークダックス 協力/コロムビアレコード 声の出演/小宮山清、新道乃里子、木下秀雄、篠田節夫、関根信昭、白坂道子、武田国久、尾崎勝子、加藤玉枝、巌金四郎
(04.07.30) |
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