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『千夜一夜物語』
 バグダッドの街にやってきた水売りの青年アルディンは、奴隷市場で売られている美女ミリアムを見初め、大竜巻が街を襲ったどさくさに紛れて彼女を連れ去る。それが彼の波瀾万丈の人生の始まりだった。ミリアムの死、40人の盗賊、女護ヶ島、巨人のいる島、魔王の船。そして、国王の座をかけた宝物合戦、ミリアムに似た少女との出逢い。アルディンの冒険は続く!
 手塚治虫と虫プロダクションが、世界初の大人のための長編娯楽アニメーションとして制作したのが、アニメラマの第1弾。「アニメラマ」とは、アニメとドラマの結合、アニメのシネラマ化などの意味の造語である。
 製作総指揮、脚本、絵コンテは手塚治虫。監督は『ジャングル大帝』も手がけた虫プロのエース・山本暎一。キャラクターデザインは、今では『それいけ! アンパンマン』の作者として知られるやなせたかしが担当。山本監督達がまとめた脚本を手塚が絵コンテで膨らませ、膨らみすぎたコンテを山本監督が整理するといったかたちで、手塚と他スタッフとの共同作業で物語は構築された。虫プロにとって初の劇場大作という事もあり、制作は難航し、公開に間に合わせるために終盤では虫プロスタッフ全員が参加。当時としては珍しい事だが、中小のアニメプロダクション20社に外注が出された。そういった熱気は確実にフイルムに反映されている。
 バイタリティ溢れる主人公像と、大胆に描かれるエロス。実写やミニチュアの合成を初めとする大胆な映像表現と、2時間を越える大ボリューム。波瀾万丈の物語。そして、青島幸男の熱演と豪華なメンバーの「一言出演」等々。『千夜一夜物語』は話題の豊富な、骨太な娯楽作として仕上がり、1969年の邦画興行成績第5位というヒットを記録。手塚治虫が手がけた劇場作品の中で、もっともエネルギッシュなフィルムとも言えるだろう。
 女護ヶ島でのエロチックなイメージシーンは、才人・杉井ギサブローが担当。身体の一部がメタモルフォーゼしながら絡み合うというもので、ハンス・ベルメールの絵画や彫刻を意識したものだそうだ。同じく女護ヶ島で、女王が大蛇にメタモルフォーゼする場面は、手塚治虫自身が原画を担当。アニメートとしても質が高く、彼の作画に関する代表作だろう。他に手塚は魔神のジニーが馬に変身する部分などの作画を担当。LDのスタッフコメンタリー(リリース中のDVDにも同じものが収録されている)によれば、アルディンと王様の宝くらべ最終ラウンドの、馬によるレースは東映系の大物アニメーターが作画を担当。詳しく知りたい方は、コメンタリーをチェックしていただきたい。
 主役のアルディンを演じた青島幸男は、当時は、人気タレントであり参議院議員。さらに本作には芥川比呂志、岸田今日子、小池朝雄と、劇団雲の錚々たる顔ぶれが出演。また、遠藤周作、大橋巨泉、大森実、大宅壮一、木崎国嘉、北杜夫、小松左京、佐賀潜、立川談志、筒井康隆、野末陳平、前田武彦、吉行淳之介と、著名人が一言出演をしている。主題歌を唄っているのは、『ルパン三世』第1シリーズ(1971年)の主題歌で知られるチャーリー・コーセーである。彼は当時、本作の音楽に演奏として参加していたヘルプフル・ソウルの一員で、ベースを担当していたのだ。『千夜一夜物語』の縁で、同じ田代音響監督の『ルパン三世』第1シリーズに参加する事になる。


●公開データ
1969年6月14日公開 劇場作品

●スタッフ&キャスト

日本ヘラルド映画株式会社
虫プロダクション作品

総指揮/手塚治虫
制作/富岡厚司
構成脚本/手塚治虫、深沢一夫、熊井宏之
原画/宮本貞雄、中村和子
背景/伊藤信治
技術/土屋旭
技術監修/山浦栄二
音響/田代敦己
美術/やなせ・たかし
音楽/冨田勲
原画/赤堀幹治、金山明博、松山マヤ、渡辺佳子、朝戸澄子、進藤満尾、牛越則与、佐々門信芳、樋口雅一、鈴木正俊、上口照人、北野英明、波多正美、瀬山義文、出崎統、月岡貞夫、杉井ギサブロー、坂本雄作、奥田誠治、正延宏三、村野守美、山本繁、平田敏夫、杉山卓、杉野昭夫、森田浩光、小川隆夫、日本アニメーションセンター、古沢日出夫
動画/谷沢豊、猿山二郎、牛越和夫、吉村昌輝、小林準治、内海武雄、若林常夫、上梨壱也、八幡正、新田雅利、新田敏夫、木口準、札木幾夫、進藤みゆき、小倉貞夫、野館誠一、飯島睦、堀越新太郎
トレス/島野昌子、北岡光代、六笠有子、松倉于草、山本洋子、柴山尚子、秦光江、池田径子、竹内※、原屋瓔子、天野あけみ、大石洋子、岸みどり、窪*春美、若月初美 ※=羽かんむり+辛、*=士かんむり+寸
絵具/沢井裕之
ブラシ/橋爪朋二
仕上検査/近藤和江、木戸桂子、田村マヤ
彩画/高橋富子、福永雅子、宇田川弓、橋口洋子、伊藤幸世、煤孫カヨ、西田文子、白畠江似子、清水和子、阿部マリ子、織田恵美、井上悦子、山本貞子、柿崎有子、家城雅子、渋江幸子、関根史子、松田和子、福田由美子、黒木美枝子、佐藤節子、小高喜美恵、神田由美子、村木史子
背景/阿部幸次、渡部孝、明石貞一、槻間八郎、竹内俊英、宮本清司、阿土延子、西村邦子、島田耕志、宮川一男、山守博昭、田辺めぐみ、内田好之、平林茂、渡辺毅、藤井勝江、鈴木森繁、八村博也、西田稔
撮影/原屋楯男、森昭彦、島敏之、山崎茂、深野純一、諌川弘、小林三男、柴田昌利、八巻磐、吉坂研一、熊谷幌史、大岩久剛、月岡英生、辻本幸七
実写撮影/脇野良雄
照明/上村栄喜
実写進行/竹之内淳剛
特撮セット/平松美術工房
編集/古川雅土
助手/尾形治敏、大岩羨子
合成編集/伊藤叡
絨緞/第一敷物
舞踊振付/榊原舞踊研究所
現像/東洋現像所
録音/東京スタジオセンター
チーフミキサー/吉田庄太郎
助手/大友洋二
音響/浦上靖夫、明田川進、月岡弘
構成助手/北野英明、出崎統、瀬山義文、平田敏夫、月岡貞夫、村野守美、杉山卓、西牧秀雄、波多正美
演出助手/藤本四郎、南川博、上口照人、赤堀幹治、林重行
企画/川畑栄一、池内辰夫、米山安彦
構成協力/北杜夫、小松左京、大宅壮一
資料/野崎欣宏
考証/前嶋信次
制作進行/金沢秀一、国井洋一、安達登、中川宏徳、片山秀雄、山本文雄、本橋誠、広川和行、渡辺忠美
演奏/ヘルプフル・ソウルフールサンズ
指揮/横山菁児
効果/柏原満、東京演劇音響
レコード/日本ビクター ワールドグループ
声の出演/青島幸男、芥川比呂志、岸田今日子、伊藤幸子、小池朝雄、加藤治子、三谷昇、高木均、文野朋子、名古屋章、有馬昌彦、渥美国泰、内田稔、新村礼子、ほか現代演劇協会“雲”、“梓”
友情出演/安藤孝子、遠藤周作、大橋巨泉、大森実、大宅壮一、木崎国嘉、北杜夫、小松左京、佐賀潜、立川談志、筒井康隆、野末陳平、前田武彦、吉行淳之介(アイウエオ順)
監督/山本暎一

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