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悪役レスラー養成機関「虎の穴」での厳しいトレーニングで鍛え上げられた伊達直人は、覆面レスラーのタイガーマスクとして日本に帰ってきた。直人は自分が育った孤児院「ちびっこハウス」を救うために、虎の穴に納める約束のファイトマネーを使ってしまう。虎の穴は、タイガーマスクを裏切り者と見なし、彼を倒すため悪役覆面レスラーを次々と送り込んでくるのだった。
『巨人の星』(1968年〜)、『あしたのジョー』(1970年〜)と並ぶ、昭和40年代のスポ根アニメを代表するタイトルである。奇天烈な覆面レスラーが次々と登場し、主人公と戦いを繰り広げるという筋立てではあるが、そのドラマはひどく大人びた筆致で、またハードなものとして描かれている。青春ものの色が濃い『巨人の星』『あしたのジョー』と好対照であると言えよう。
また、『巨人の星』と『あしたのジョー』が比較的原作に忠実に作られているのに対し、『タイガーマスク』はオリジナルのキャラクター、展開が多く、特に最終回は原作と全く違うものとなっている。原作では子どもをかばって車にはねられた伊達直人は、タイガーのマスクをドブ川に捨て人知れず死んでいくが、アニメの最終回でタイガーマスクは、宿敵タイガー・ザ・グレートとの試合中にその素顔を晒す事になり、死闘の果てにグレートを倒す。そして、ラストでいずこかへと旅立っていくのだ。
「アニメスタイル」的に注目したいポイントは、勿論、作画である。メインアニメーターである木村圭市郎の大胆なディフォルメとタイミング、力強い描線のキャラクターは、実に斬新なものであった。森利夫、小松原一男、窪詔之、村田四郎等の手による各話の作画も充実。作画史的には、いわゆる金田アクションの源流の作品という位置づけになる。また、この作品ではそれまでのハンドトレスではなく、動画の線をそのままセル画にコピーするゼロックス(後のマシントレスとは別の手法である。『太陽の王子ホルスの大冒険』や『空飛ぶゆうれい船』でも使われている)が全編に渡って効果的に使われている。そのため荒々しい作画の描線が、そのまま画面に反映されていたのである。
他にも、奇抜な色遣い、通常の数倍のサイズの背景(時には、畳二枚分ものサイズの背景を使ったと言われている)を使った縦横無尽のカメラワーク、あるいは実験的表現等々、見るべきところは多い。激しいアクションものを成功させたという意味も含め、東映動画(現・東映アニメーション)のTVアニメ史におけるエポックとなった作品である。
[放映データ・各話共通スタッフ]
[各話データ]
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