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イベント

第15回
 平田敏夫さんとアニメの話をする会

日時■2003年9月21日(日)18時30分〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演■平田敏夫、丸山正雄、杉井ギサブロー、小黒祐一郎
司会■パルコキノシタ

主な上映作品
『ボビーに首ったけ』
『はれときどきぶた』
『花田少年史』OP
『まんが世界昔ばなし』
その他、代表作

 台風迫り来る雨の夜、電車も止まるかという危機感とは裏腹に、会場は穏やかな雰囲気に包まれていた。本日の主役である平田敏夫監督と、長年共に作品を作ってきた丸山正雄プロデューサーを壇上に迎え、イベントはスタート。まずは代表作3本の名場面を観ながら、お話をお聞きする。監督は穏やかな口調で訥々と、暖かい映像の裏に隠されたアニメーターの苦労を語られた。
 そして、客席から杉井ギサブロー監督が登場。「続けて作品を観て改めて思ったんだけれど、平田さんは(本来の意味での)アニメーションの良さと、日本アニメ独自の感覚を、両方取り込んで違和感なく使いこなせる、希な人だね」と語った。
 続いて『はれときどきぶた』の抜粋映像、『花田少年史』オープニング映像が流れ、監督の瑞々しい感性に改めて感嘆。『花田』は背景も含め、全て監督自ら彩色を施した作品で、ご本人も作業は大変だったよと苦笑。「でも、画面にはそのつらさが出ないんだよね。楽しんでやってる感じがする」と、杉井監督の明確な分析が入り、第1部は終了。休憩中には、会場入口付近に展示された貴重な絵コンテに人だかりができ、来場者が食い入るように見つめていた。
 第2部は再び平田、丸山両氏を迎え、いよいよ『ボビーに首ったけ』名場面集の上映に突入。言葉少なだった監督も、優秀なアニメーター達の仕事や、数々の特殊効果について楽しげに語り始める。一方、丸山Pは「この作品をまとまりがない欠陥商品なんですよ。だけど、魅力的な失敗作なんです。これからも完全な作品を目指すのではなく、魅力があるものを作っていきたいよね」と語る。名場面集の後半部分ではやはり、なかむらたかしによる伝説の背動クライマックスの話題に。「さてクイズ、このシーンでは鉛筆が何本必要だったでしょうか? というくらい、なかむら君が腕を真っ黒にして描いてました。あの仕上がりの良さは彼のセンス。凄いですよ。その前の湾岸道路を走っている白黒のセル部分は、福島敦子と森本晃司。今思えば、ドリームチームだよね」と平田さん。
 杉井監督もたまらず客席から再び壇上へ。「今日は、ここ最近自分の中でモヤモヤしていたものがはっきりした。デジタルの導入で、今のアニメは方向性を見失いがちだけど、ポンさん(平田監督の愛称)の作品を観て、すごく勉強になった。やっぱり、アニメ作家はアニメ作ろうよ!」という熱い言葉に、会場は静かな感動に包まれた。そこでも平田監督は「でも僕はね、コンピュータとかデジタルは好きなの。じゃなかったら『花田』はあんな短期間で作れなかったし(笑)。使いようだとは思う」と、さらりと語る。その柔軟な姿勢が、いつまでも瑞々しく暖かみのある作品を作り続けていく秘訣なのだろう。
 第3部では『まんが世界昔ばなし』から「うさぎのわるぢえ」「リア王」を上映。丸山「川尻(善昭)君のその後を決めてくきっかけの作品だと思う。平田さんがそういう機会を与えたんだ」。そして話はいつしか、アニメプロダクションの確執話へと発展。脱線したかのように思われつつ、その帰着点として『花田少年史』がある、という結論に着地。
 最新作(なんと3本も待機中!)の発表や、観客として来ていた大地丙太郎監督と佐藤竜雄監督に飛び入りで壇上に上がっていただく一幕もあり、和やかなムードのうちにいつしか終了時刻となった。最後に、平田監督からの締めくくりの言葉。「もういいかな、と思ってる時に『キャプテン・ハーロック』やって、『花田』やって、大変だったけど面白かった。短い製作期間でパッと終わっちゃったもんだから、まだ稼げるな、と思ってね。だから、もうちょっと頑張れるかな、と思っております」。

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