日時■2004年6月27日(日)17時〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演■湯浅政明、今石洋之、本郷みつる、佐藤竜雄、ロビン西、森本晃司、小黒祐一郎
司会■パルコキノシタ
■主な上映作品
『クレヨンしんちゃん』「ぶりぶりざえもんの冒険シリーズ」(ダイジェスト)
『かぼちゃ屋』(部分)
『スライム冒険記 〜海だ、イェー〜』
『映画 クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』(部分)
『マインド・ゲーム』予告編&名場面
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5ヶ月ぶりのお目見えとなった、今回のアニメスタイルイベント。『マインド・ゲーム』公開を控えて、今もっとも注目されるアニメクリエイターの1人、湯浅政明の特集だ。普段よりちょっと早い時間のスタートだったが、ふたを開ければ、大盛況。来場者数はアニメスタイルイベント始まって以来のなんと200人! 会場は人でパンパンに膨れあがり、開演30分前にはすでに座席がない状態となった。これにはスタッフもびっくりで、いったいどんな客層なんだろうか、と楽屋ではスタッフが首を傾げることしきり。いやいや、これも湯浅政明と『マインド・ゲーム』への注目度の現れなのだろう。
ということで、第1部スタート。人をかき分け、登壇したのは、パルコキノシタ、小黒、湯浅政明、そしてお客として来場していたはずの今石洋之の4人。初級編と題して、『クレヨンしんちゃん』スペシャルの傑作「ぶりぶりざえもんの冒険」シリーズなどを上映しつつ、湯浅政明の基礎事項にあれやこれやと迫る迫る。小黒が「『この人に話を聞きたい』では天才と呼ばれるといやだと言っていましたが」と水を向けると、「あ、『マインド・ゲーム』公開までは、それでいきます。他に売りがないので」と湯浅が飄々と答える、といった趣でトークは進行。小黒が「湯浅さんの画は基本的にはペラペラに見えるけど」と言うと、今石が「いや、あれはものすごく立体なんですよ」とアニメーターらしいツッコミを入れる一幕も。初期の代表作であるレア作品『かぼちゃ屋』を、彼自身がピクチャーサーチでビデオを再生しながら、解説するという美味しいコーナーでは、会場が爆笑に包まれた。 続いて、第2部中級編。まずは本日の目玉『スライム冒険記 〜海だ、イェー〜』の上映。Vジャンプイベントのみで上映されたという逸品だが、素晴らしいできに、来場者も満足満足。続いて、本郷みつる、佐藤竜雄両監督に登場していただき、湯浅政明の亜細亜堂時代の知られざる一面に迫る! ……はずが、亜細亜堂の知られざる側面にも迫る事に。本郷監督は、メモが書かれた手帳を片手に「湯浅くんが原画に昇格したのは、私のデータによれば入社翌年の1月」「いや、佐藤くんは動画は半年たたないうちに演出になったはず」と、ディテールをきっちりと押さえつつトークを進めてくれた(素晴らしい!)。 本郷監督は『エスパー魔美』の頃の湯浅の仕事ぶりや、『クレヨンしんちゃん』初期の秘話などを披露し、「くだらないデザインを考えるのは才能がいる」と絶賛(?)。一方、動画時代からの同期であった佐藤監督は、若き日の湯浅のユニークな人柄や、芝山努をはじめとする亜細亜堂の先輩達が、当時から彼を買っていたという逸話を紹介してくれた。普段、なかなかこういったイベントに出演しないという本郷監督だが、それを押して登場してくださったのは、『マインド・ゲーム』は素晴らしいのでぜひ劇場で観た方がいい、と伝えたかったからだとか。作画などの一面的な部分ではなく、作品として掛け値なしに面白い、という事を強調されていた。第2部最後には、湯浅がアニメーション演出として関わった、とある超レア作品の映像を上映。
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続いて、第3部は上級編。『マインド・ゲーム』のコーナー。ここまで見せちゃっていいの、というぐらい、本編の画像が流され、お客さん達も公開が待てなくなったのでは? ここでは、原作者のロビン西と、スタジオ4℃の森本晃司が登壇した。4℃に『マインド・ゲーム』の原作を流行らせた張本人が森本で、彼は一時期、この漫画を理解できるかどうかを、4℃での新人採用の基準にしたらどうか、とまで言っていたのだそうだ。湯浅は、自分は本当に好きな人から見ればこの原作を深く理解していないかもしれない、とクールにコメント。その逆説的な言い方も、作品の仕上がりに自信があるからだろう。原作者のロビン西も映画の仕上がりに満足げな様子だった。
その後、そのまま質問コーナーへ。熱心なお客さんからの質問がいくつもとび、興味深い話が聞かれたが、それは当日イベントに来た人だけのお楽しみとさせていただこう。気づけば、時計は10時を超過し、5時間以上に渡る長丁場となっていた。『マインド・ゲーム』公開後にもう一度、ネタバラシ・イベント開催を約束して、お開きとなった。
(04.07.01)
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