日時■2004年12月12日(日)15時〜
会場■LOFT/PLUS ONE
出演(飛び入り含む)■和田高明、今石洋之、細田守、中澤一登、吉松孝博、田中栄子、新井浩一
司会■小黒祐一郎
上映作品
第1部
自主アニメ『共学驚愕学園』部分
その他、和田高明作画名場面
第2部
CM『LEBRON JAMES IN CHAMBER OF FEAR』(NIKEのCM)
劇場『デジモングランプリ』
『きまぐれロボット』6〜10話
「ガチャメカスタジアム サルバト〜レ」(PS2ゲームムービー)
『風人物語』1、2話ダイジェスト
劇場『ポータブル空港』
その他
第3部
OVA『アニメ・アート・ビデオ・コレクション』
「あかずきんちゃん」
「おおかみと7ひきの子やぎ」
「ジャックと豆の木」
第4部
OVA『TOKUMAアニメビデオえほん はないちもんめ』
「草之丞の話」
とうとう今回で20回目となったアニメスタイルイベント。急に冷え込んで雨も降りそうなあいにくの天気ではあったが、会場は大入りの満員となった。冒頭、小黒編集長が登壇して本日のスケジュールをざっと説明した後、早速第1部和田高明特集がスタート! 今日も仕事場から直行という和田高明さんと、昔からの和田さんのファンである今石洋之さんが登壇し、まずは和田さんの作画による『カレイドスター』名場面を上映。ダイナミックな動きと、ロゼッタを始めとしたキュートな魅力満載の映像に観客は大いに盛り上がった。その後は、「リアクションの鬼」と今石さんも語る、過剰なまでの動きの表現と肉感的な画の魅力について話が弾む。
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この日は観客席に、『カレイドスター』スタッフをはじめ、スタジオぎゃろっぷ、OLMといった、和田さんと馴染み深いスタッフの方々が数多く来場されており、そうした方々からもコメントをいただいた。特にぎゃろっぷ時代からの付き合いのある方からの「昔から彼の仕事ぶりは変わらない。やっと皆が気がついたのが不思議」という言葉が大変印象的だった。
このコーナーの最後の上映作品は、レア作品中のレア作品『共学驚愕学園』。これは和田さんが大学在学中に作った自主アニメで、中学生の時にその大学の学園祭で見たという今石さんが、その魅力と衝撃について熱く語る。20分で7000枚近く使ったという、学生の自主アニメとは思えない見事な動かしぶりに観客からは驚きの声があがった。この頃から和田さんの目指す作画は変わっていないという感想が皆から出たところで、第1部は終了。なお、休憩時間には、できたてほやほやの「和田高明 カレイドスター原画集」の先行販売が行われた。
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続いて第2部は「短編特集」。今石さんに加え、細田守さん、中澤一登さん、吉松孝博さんら、予定外のゲストの登場に客席からは歓声が。話題は各作品についてだけでなく、様々な方向に展開。『風人物語』の自然現象を手で描くよさを細田さん、吉松さんが絶賛したり、中澤さんが『THE八犬伝[新章]』の「はまじ再臨」を観た当時の衝撃を軽快なトークで語ったりと、アニメ談義に花が咲いた。
第3部は「アニメアートビデオコレクション」。ゲストとして、吉松さんに加えて登壇したのはスタジオ4℃代表の田中栄子さん。このOVAシリーズのプロデューサーである田中さんの思い出話を交えながら、「あかずきんちゃん」「おおかみと7ひきの子やぎ」「ジャックと豆の木」が上映された。どの作品も誰もが知っている有名童話を、作家性の高い独自な映像で描いた正に「アートアニメ」。田中さんから各作品の裏話や、これが遺作となった森やすじさんのエピソードなどが披露された。また、上映中に吉松さんからタイミングのよく軽妙なツッコミが入り、場内を大いに湧かせていた。
最後の第4部は「草之丞の話」。キャラクターデザインと、ほぼ全カットの原画を担当した新井浩一さんが登壇。創作童話を原作とした『はないちもんめ』シリーズは、東映研修生が中心となって、その実力を発揮したシリーズ。この「草之丞の話」はその中でも傑作といわれながら、会場でもほとんど観た人のいなかったという、幻の一品だ。スケジュールも普通、作画枚数も25分ほどで3000〜3500枚と、けして潤沢とは言えない制作条件だったそうだが、隅々まで神経の行き届いた西尾大介さんの演出、石川山子さんの見事な美術、そして新井さんの素晴らしい作画と、少人数ならではの完成度に上映後、観客から拍手が起きた。一緒に登壇した細田守も、情感たっぷりな日常風景の描写やちょっとしたしぐさで登場人物の感情を表現する作画の巧みさを絶賛。当の新井さんは、西尾さんや石山さんの仕事に賛辞を惜しまない一方で、作画については「今観ると拙いところばかり目につく」とあくまで謙遜。そのストイックかつ真摯な態度も印象的だった。
長丁場のイベントが終了したのは、予定を1時間以上も過ぎた21時過ぎ。最後までおつきあいいただいた皆さん、お疲れさまでした。また来年ロフトプラスワンでお会いしましょう。良いお年を!
(04.12.27)
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