【情報局】アニメ音楽CD瓦版(27)
最終回!クリスマスイブはリリースラッシュ!
今回が今年最後の、そしてこの連載最後の更新となる。いままで読んで下さった方にはお礼を申し上げたい。前回もお伝えしたとおり、年明けにはアニメ音楽を扱った新たな連載が始まる予定だ。今後はそちらの方をご愛読いただけばありがたい。
今年も1年を通じて色々な事があったが、アニメ音楽の分野においては『マクロスF』関連CDのヒット、相次いだ古典的名作アニメのサントラ復刻、女性作曲家の台頭などが興味深い出来事だったと言えよう。ヒットチャート上位には頻繁にアニメ主題歌がランクインし、「CDが売れない時代」と言われる中で独特の存在感を発揮していたように思う。
まもなくクリスマスイブということで、24日から26日にかけて今年最後のリリースラッシュが予定されている。取り上げたいCDは数多いが、その中から泣く泣くごく一部に絞り込んで情報をお届けしたい。
1983年から放映された『魔法の天使クリィミーマミ』OP「デリケートに好きして」が、主題歌・主演を担当した太田貴子によって25年ぶりにセルフカバーされるという嬉しいニュースが入ってきた。発売は24日で、価格は2,200円の予定。
表題曲は原曲のアレンジを活かしながらも、よりキラキラとした華やかな装い。クリスマスイブにはぴったりだろう。太田貴子の独特な声も昔とあまり変わらない。
そのほかED「LOVEさりげなく」や中川翔子もカバーした挿入歌「BIN・KANルージュ」など5曲の新録と、それぞれの曲のカラオケ、更にリミックス2曲を収録。LD-BOXおよびDVD-BOXの特典ソングだった「Zutto Kitto Motto」は、今回新たに俊夫役の水島裕が参加したデュエットバージョンに仕上がっている。
最近ではTシャツなどの図案にもよく採用され、ファッションアイコンとしても人気がある『クリィミーマミ』。流行り廃りの激しいキャラクターデザインの世界で、25年後まで愛されるビジュアルを生み出した高田明美がジャケットを担当している。
『魔法の天使クリィミーマミ』OP「デリケートに好きして」(21st century ver.)/太田貴子
KDSD-00250/2,200円/ティームエンタテインメント
12月24日発売予定
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Kalafinaとして劇場『空の境界』の主題歌をヒットさせ、同作の劇伴も担当。実写作品でも北野武監督の「アキレスと亀」に参加するなど今年も活躍が目立った梶浦由記。さらに本人が「ライブの年にする」と宣言したとおり、年内に2本のソロライブを敢行し、更にはDream Port 2008にも出演するなど精力的なライブ活動を行っていた。
そして1年の締めくくりとして、24日にいよいよ初のライブDVDとなるYuki Kajiura LIVE 2008.07.31が発売される予定だ。7月に行われた渋谷O-EAST公演からの収録で、ヴォーカルにKalafinaのKEIKOとWAKANA、Fiction JunctionのKAORI、YURIKO KAIDAなど梶浦ソングではお馴染みの面々が参加している。
収録曲は今のところ唯一のソロアルバム「Fiction」からのナンバーを中心に、『NOIR』『コゼットの肖像』『.hack//SIGN』『ツバサ・クロニクル』『舞-HiME』など、今まで音楽を担当したきたアニメの挿入歌やBGMを盛り込んだ構成となっている。
なおこのDVDの発売を記念したスペシャルライブが27日に行われる予定。会場は横浜BLITZで参加メンバーはDVDとほぼ同じだ。詳しくは公式サイトで確認してほしい。
Yuki Kajiura LIVE 2008.07.31
VTBL-2/6,090円/JVCエンタテインメント
12月24日発売予定
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7月に公開された劇場『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』のDVD/Blu-rayが先週発売されたのはご存じの方も多いだろう。同時に川井憲次が手がけた音楽についても、新たなサントラCDが発売さることとなった。限定版となるLimited Edition、通常版の2種がいずれも先週17日にリリースされている。
音楽の内容としては基本的に従来の構造を変えていないので、聴いた印象が大きく変わる事はないだろう。いわば純粋進化と呼ぶべきリメイクだ。
本盤の大きな特徴はサウンド面にある。まず全体が5.1chにリミックスされ、音の広がりが大きくなった。そしてコーラスやストリングスのパートが増補され、より厚みが増している。同じ押井守作品でも近年の『INNOCENCE』や『スカイ・クロラ』の音楽を体験してしまうと、1995年の『攻殻』は音質や厚みの点でやや見劣りする事は否めない。今回この点が改善されたのは大きく、純粋に楽曲の良さに耳を傾ける事ができるようになった。
Limited Editionは高音質の「SHM-CD」の仕様になっているほか、音楽トレーラーを収録したBlu-ray Discが付属する。ブックレットにはトラックシートやインタビューも掲載されているので、川井憲次ファンにとっては資料的価値も高い。
『GHOST IN THE SHELL-攻殻機動隊2.0』OST/川井憲次
Limited Edition:BVCH-47003〜4/4,515円/BMGジャパン
発売中
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『GHOST IN THE SHELL-攻殻機動隊2.0』OST/川井憲次
通常盤:BVCH-44004/2,940円/BMGジャパン
発売中
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最後に、今年8月に急逝したシンガーソングライターの河井英里の追悼盤が2種リリースされるので紹介する。彼女については第18回の記事で特集しているので、そちらも一読していただければ幸いだ。
まずは17日に発売済みの「風の道へ」。1997年に発表されたミニアルバム「青に捧げる」は本来フルアルバムになる予定だったものが、諸般の事情により一部の楽曲のみをリリースした作品だった。今回これにいくつかの未発表音源を加えて、本来のかたちに近づけてCD化されることとなった。デモ音源から起こしたものもあり、歌詞が未完成でメロディのみの曲もあるが、本人名義でのソロ作品が少なかっただけにファンにとって貴重な音源となるだろう。
風の道へ/河井英里
DDCZ-1581/2,940円/Piyopiyo Records
発売中
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もう1枚は24日に発売予定の「ひまわり」。ビクターからのリリースという事で『ARIA』シリーズからの音源を中心に構成されたものだ。今までのサントラやボーカルコレクションで発表された楽曲が中心となっている。
新録のものとしては、まず意外にも初のCD化となったアテナの「バルカローレ-独唱-」が挙げられる。アニメ本編と同じく完全な無伴奏で、伸び伸びとした歌声をじっくり楽しめる。
仮歌から発掘された音源もいくつかあり、「ウンディーネ-造語詞Ver.-」は単なるヴォーカリーズではなく、ファンにはお馴染みの独特な造語による歌唱だ。ほかにはアリス役の広橋涼が歌った「ルーミス エテルネ」の仮歌、『スケッチブック〜full color's〜』の最終回で使用された「たんぽぽ水車」の仮歌、『バンブーブレード』のキャラクターソング「SUNFLOWER」のピアノ弾き語りなどが含まれる。
そしてファンにとって最大のプレゼントは、昨年11月に行われた「ARIA The CONCERT」からのライブ音源だろう。「満月のドルチェ」「コッコロ」「バルカローレ」「サンタクロウスの空」と河井英里が歌った4曲すべてが収録されている。元々CD化を想定していなかった事もあって音質はデモレベルだが、貴重な音源である事は間違いない。ライブでもその歌声は唯一無二の存在感を放っており、返す返すも彼女の早世が惜しまれる。(W)
ひまわり/河井英里
VTCL-60083 /2,625円/JVCエンタテインメント
12月24日発売予定
[Amazon]
(価格はすべて税込)
(08.12.22)