アニメ音楽丸かじり(49)
2010年最後は『パンスト』のサントラを紹介!
和田 穣
いよいよ年末も押し迫る中で、最後の最後に強力なサントラが登場する。先ごろ放映が終了した『パンスト』こと『Panty & Stocking with Garterbelt』のサウンドトラック盤が12月29日にリリースだ。OP主題歌「Theme for Panty & Stocking」とED主題歌「Fallen Angel」のほか、挿入歌3曲を含む全20曲を収録。曲数こそ少ないものの、ほとんどの楽曲が4分以上の長さがあり、トータルで79分と聴き応えがある。
楽曲はm-floのDJとして知られる☆Taku Takahashiがプロデュースし、自らが主宰するレコードレーベル「TCY Recordings」に関係するミュージシャンを起用して制作された。特に目立つ働きをしているのが最多の8曲に関わっているTeddyLoidで、まだ21歳という若さの作曲家・DJ・リミキサーだ。パンティ&ストッキングの変身シーンでフィーチャーされた「Fly Away」、スキャンティ&ニーソックスのテーマ曲「Theme for Scanty & Knee Socks」、第22話(第10回)でミュージッククリップ風の演出が話題となった挿入歌「D City Rock feat. Debra Zeer」はいずれも彼の手になるもの。
『パンスト』はカートゥーン調の絵柄といい、パロディや下ネタが盛りだくさんの作風といい、極めて個性的なアニメだが、そんな内容にふさわしく音楽も劇伴としては異色のスタイル。先述のように曲長は4分を超える長さだし、サウンドもビートの利いたハードなクラブミュージックだ。音楽担当に☆TakuをはじめDJ出身者が多いせいか、グルーブ感たっぷりのリズムに声ネタを絡めたサウンドは、いかにもDJ受けしそうなスタイル。クラブで流しても違和感がないし、歌は全て英語詞で発音もばっちりだから、海外のクラブシーンでも話題になるかもしれない。
もうひとつ『パンスト』らしさといえば、ズバリ「エロス」。ジャケットは当然のようにエロティックだし、曲名も「Beverly Hills Cock」「Dancefloor Orgy」「Juice」「Cherryboy Riot」「Technodildo」「Tenga Step」と、アダルトなネタがてんこ盛りだ。また、6曲目「Pantscada」や9曲目「Juice」などは、女性の喘ぎ声がたっぷりフィーチャーされているので、スピーカーで聴く際にはご注意を(笑)。
『Panty & Stocking with Garterbelt The Original Soundtrack』(音楽:TCY FORCE produced by ☆Taku Takahashi)
VTCL-60236/3,045円/フライングドッグ
12月29日発売予定
[Amazon]
11月30日の記事で、『機動警察パトレイバー』のCD SET-2を紹介したが、いよいよ12月22日にはラストを飾るCD SET-3が登場だ。このセットは劇場『機動警察パトレイバー2 the Movie』サントラを中心とした構成なのだが、特筆すべきはDISC4がなんと丸ごとTVシリーズの未収録トラック(全66曲!)で構成されていること。すでに過去にリリースされたサントラを所有しているファンにとっては、このセットこそ最も訴求力が高いかもしれない。
現在公式サイトでは、ブックレットに入りきらなかった詳細な録音データが公開されている。録音日、録音スタジオ、Mナンバー、収録先のCD SETが掲載されており、マニアには嬉しい配慮だ。
『機動警察パトレイバー』 PATLABOR TV+NEW OVA 20th ANNIVERSARY PATLABOR THE MUSIC SET-3
VPCG-84907/6,800円/バップ
発売中
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また『パトレイバー』絡みでもう1点、同じく12月22日にリリースされたDVD作品EMOTION the Best 機動警察パトレイバー MUSIC COLLECTIONのコストパフォーマンスが凄い。CD SET-2にも収録されている「機動警察パトレイバー CONCERT TOUR'92」の映像版と、「機動警察パトレイバー MUSIC CLIPS」をDVD1枚にまとめたパッケージだ。それぞれ1992年にVHSでリリースされているが、DVD化は今回が初めて。しかも2作品が入っていながら、お値段は2000円を切るという驚きの安さ。もちろん僕もすでに購入して、何度も視聴している。
「CONCERT TOUR'92」は、川井憲次バンドによる白熱の生演奏をたっぷり視聴できる貴重な映像だ。バンドは劇伴の録音メンバーを揃えているので、アンサンブルの息もぴったり。ストリングスも加えた編成で、重厚なバトルシーンの音楽も見事に再現してくれている。日常シーンなどに頻用されたフュージョン調の音楽は、ウィンドシンセを加えたライブならではの演奏でじっくりと聴かせる。ゲストボーカルとして主題歌担当の笠原弘子、泉野明役の冨永み〜なも参加。
(価格はすべて税込)
(10.12.28)